Z世代との対話・共創の進め方|声を引き出し、次の行動につなぐ場づくり

Z世代との対話・共創の進め方|声を引き出し、次の行動につなぐ場づくりを表現した人物と道具のイラスト

Z世代との対話・共創は、若者の意見を集めるだけでなく、経験の違いを知り、一緒に考えられる問いをつくる取り組みです。参加の目的、話しやすい進行、意見の扱い、次の行動をセットで設計すると、発言が企画や実践につながりやすくなります。

「会話は盛り上がったが、何が分かったか説明できない」「一部の人しか話さない」といった課題に対して、本稿ではワークショップや継続的な交流の場をどう組み立てるかを解説します。

一般社団法人Re-Generation 代表理事 右近宣人

この記事の筆者

右近 宣人 Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|若者との対話・共創

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として、脱炭素や社会課題領域の新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

NEC、SMBC、ロート製薬などとの取り組みを通じて、若者が自身の経験や価値観を言葉にし、企業と未来の社会・暮らしを考える対話や共創の場を企画・運営している。本記事では、これらの実践を踏まえて、発言しやすい場をつくり、次の行動につなぐ方法を解説する。

代表・右近宣人の想いと、リジェネレーションの歩みを知る →

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

若者の声が活きる、
対話と共創の場を。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

コンテンツ

対話の目的と、参加者が関われる範囲を共有する

最初に、参加の約束をそろえる。目的:何を一緒に考えるか、範囲:何に意見を反映するか、返却:いつ結果を伝えるか。
最初に、参加の約束をそろえる。画像をタップすると拡大できます。

対話を始める前に、「今日は何を考えるのか」「意見はどこで使うのか」「誰が最終判断するのか」を伝えます。企業側が説明したい内容と、参加者が期待することを照らし合わせ、当日の到達点を決めます。

たとえば、未来の可能性を広げる会なら、実現案を一つに決める必要はありません。一方、次の実証企画を考える会なら、案の背景にある課題と、試すために必要な条件まで残します。目的が違う場を、発言数や満足度だけで同じように評価しないようにします。

参加前に伝えること確認する内容
目的発想を広げる、課題を理解する、案を選ぶ、のどれか
意思決定何が決定済みで、どこを一緒に考えられるか
記録と公開発言、写真、成果物を誰が何のために使うか
結果の共有いつ、どの方法で、企画の扱いを知らせるか

人数の多さよりも、必要な経験の違いを話し合える組み合わせを考えます。年齢が同じでも、地域や生活、テーマに関する経験は異なります。初対面同士か、すでに関係があるかも進行を決める材料です。

一人で考える時間と、小さな対話を組み合わせる

発言の入口を、複数用意する。個人で書く:自分の経験を整理、少人数で話す:違いを確かめる、全体で共有:論点を見える形に。
発言の入口を、複数用意する。画像をタップすると拡大できます。

大人数の場でいきなり意見を求めると、話すことに慣れた人の意見へ集まりやすくなります。最初に一人で書く時間を取り、次に少人数で共有し、最後に全体へ論点を持ち寄ると、複数の参加方法をつくれます。

書くことが得意な人、話しながら考える人、考えをまとめるのに時間が必要な人がいることを前提にします。発言しない人を意欲が低いと決めつけず、付箋や後からの記入など、その場の目的に合う参加方法を用意します。

リジェネレーションの実践 / NEC

自分の価値観から、社会の問いへ広げる

NECとリジェネレーションによる未来社会を考えるワークショップ
NECとの取り組み。実施レポート

2024年9〜10月、リジェネレーションはNECと、関西・九州・東北で「2030年の自分と未来社会」を考えるプログラムを実施しました。参加者は自身の経験や価値観を言葉にし、社会課題を探索したうえで未来の社会像を構想しました。

この実践から考えること(筆者の考察)
NECとの実践では、個人の経験・価値観と、未来社会という大きなテーマを結びつけています。場づくりに応用する際も、最初から抽象的な社会課題の正解を求めず、本人が語れる具体的な経験から始めると、対話の入口をつくりやすくなります。

進行役は、すぐに良し悪しを評価する役割と、話の背景を確かめる役割を区別します。企業担当者の評価が気になる場では、まず経験を共有し、その後に事業条件を検討するなど、時間を分ける方法があります。

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

若者の声が活きる、
対話と共創の場を。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

問いを、経験・背景・可能性の順に深める

具体的な経験から、可能性へ進む。経験:何が起きたか、背景:何が大切だったか、可能性:どう変わるとよいか。
具体的な経験から、可能性へ進む。画像をタップすると拡大できます。

「若者は何を求めていますか」と世代全体の代表を求めるより、「最近その場面で困ったことはありますか」と本人の経験を聞きます。出来事を確認した後に、そのとき大切にした条件や、別の選択肢を取らなかった理由を確かめます。

対話の段階問いの例
経験を共有する最近、似た場面で何をしましたか
背景を確かめるそのとき、何を大切にして選びましたか
違いを知る同じ場面でも、違う選び方をした人はいますか
可能性を広げるどの条件が変わると、別の行動を取りやすくなりますか

リジェネレーションの実践 / SMBC・HashPort・U-FINO

現在と未来を行き来し、構想の理由を言葉にする

SMBCなどと実施した未来の暮らしを考えるプログラム
SMBC・HashPort・U-FINOとの取り組み。実施レポート

2024年1月の「第2回Umekita Pot feat.SMBC」では、SMBC、HashPort、U-FINOとリジェネレーションが、Web3・NFTを切り口に未来の暮らしを考える機会をつくりました。参加者は現在の一日を振り返り、2040年の生活をチームで構想し、発表とフィードバックを行いました。

この実践から考えること(筆者の考察)
現在の一日から未来の生活を描く構成は、抽象的な未来像の背景にある経験をたどるヒントになります。進行では「なぜその未来がよいのか」「現在のどの経験につながるか」を聞き、構想を参加者の生活へ結び直します。

ブランドの理解・違和感・約束したい価値を聞く例

ブランド開発の対話では、説明前の個人の受け止め方と、説明・対話後の反応を分けて残します。「共感できますか」から始めず、どの言葉や経験が判断につながったかを聞きます。以下は進行に追加するための質問例です。

確かめること問いの例進行上の工夫
理解このブランドは、誰のどんな場面を助けるものだと思いますか最初に一人ずつ記入してもらい、企業側の説明前後を区別する
違和感意味が分からない言葉、実際の生活に合わない点はありますか否定的な声を反論で止めず、具体的な場面を聞く
約束する価値期待どおりだと感じるには、何が実際にできる必要がありますか欲しい機能だけでなく、期待を裏付ける体験や条件を残す

集団で聞いた意見は、他の参加者の発言やその場で得た情報の影響を受けます。ブランドの認知率や市場全体の支持を測る場合は、ブランド調査として別に対象と質問を設計します。

個別インタビューの質問設計はZ世代リサーチの記事へ分けています。ここでは参加者同士の違いを扱いながら、共同で考える場の進め方を中心にしています。

多数決の前に、共通点・違い・保留点を整理する

意見を、無理に一つにまとめない。共通点:同じ条件・経験、違い:理由や立場の差、保留点:まだ分からないこと。
意見を、無理に一つにまとめない。画像をタップすると拡大できます。

意見が複数あると、すぐに投票で一つを選びたくなります。しかし、違う案が出た背景に、利用場面や前提の違いがあるかもしれません。先に共通点と相違点を整理し、何を基準に選ぶかを共有します。

記録には、発言者の表現、進行役が付けた見出し、企業側の解釈を混ぜずに残します。たとえば「便利そう」という発言を「利用意向が高い」と言い換えると、意味が変わる可能性があります。まとめを参加者へ戻し、意図と違わないか確かめましょう。

  • 共通点:どの経験や条件が重なっているか。
  • 相違点:誰の、どの場面では違うか。
  • 保留点:追加で聞かなければ判断できないことは何か。
  • 次の問い:実際に試して確かめたいことは何か。

共創の結果は、参加した人々と、その場の情報・進行の条件の下で生まれたものです。市場全体の賛否や需要を示す結果として扱う場合は、別の検証が必要です。

対話の結果を返し、次の行動を決める

場の終わりに、次の接点をつくる。担当:誰が持ち帰るか、期限:いつ検討するか、共有:何を参加者へ返すか。
場の終わりに、次の接点をつくる。画像をタップすると拡大できます。

対話の最後に、出た意見の扱いと次の連絡を具体化します。「検討します」で終えると、参加者は何に役立ったかを確かめられません。検討する部署、次に判断する時期、共有できる内容を、決まった範囲で伝えます。

対話の記録を、社内で決める論点へ渡す

架空の例で「一人暮らし向けと聞いたが、収納できる大きさが分からない」という声が出た場合、発言を「若者は省スペース商品が好き」とまとめ直さず、そのまま残します。その上で「説明不足か、仕様が合わないかは未確認」と整理し、商品担当には寸法・収納条件、広報担当には案内の分かりやすさを確認してもらいます。

共有シートには、発言と利用場面、企業側の解釈、採用・保留・追加検証の扱い、決定者、参加者へ返す日を記入します。対話の場で言葉を一つに決めきる必要はありません。価値の言語化はブランドコンセプトの記事の手順につなぎ、最終判断の理由を参加者へ戻します。

継続する企画では、毎回同じメンバーだけに頼るのか、新しい経験を持つ人も招くのかを考えます。慣れた参加者の深い議論と、新しい参加者が気づく前提の違いには、それぞれ価値があります。参加の負担と役割も見直してください。

企業の姿勢や社会的な価値への共感はZ世代と非財務的価値の記事、案を商品に育てる進め方はZ世代との商品開発を扱う記事へ整理しています。対話の企画から運営までの支援はリジェネレーションのサービスページでご確認いただけます。

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

若者の声が活きる、
対話と共創の場を。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

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