ブランドコンセプトは、企業と顧客を結びつける羅針盤です。明確で魅力的なコンセプトは、顧客の共感を呼び、ブランドロイヤリティを高め、ビジネスの成長を加速させます。本記事では、独自性と共感を両立するブランドコンセプトの作り方を、事例を交えながら解説します。
右近宣人1999年生まれ 神戸大学 法学部卒業
学生時代、キャリア支援サービスを行う、NPO法人en-courege 9期 本部メンバーとして、事業/組織づくりに携わり、メンバー3700名・会員8万名規模に拡大
2023年6月、学生との面談経験と新規事業開発経験から、若者と企業が繋がる仕組みを創るため、 一般社団法人Re-Generationを設立
大企業・自治体と連携し、全国のZ世代/α世代を対象としたプログ
ラムをはじめ、探究学習デザイナーとしても活動している。
ブランドコンセプトとは:企業と顧客をつなぐ架け橋
ブランドコンセプトの定義
ブランドコンセプトは、企業の提供する価値や理念を、顧客に分かりやすく伝えるための言葉です。
それは、ブランドの存在意義、顧客に提供する独自の価値、そして顧客との関係性を定義するものです。
ブランドコンセプトは、企業が顧客に対して約束する価値の中核を成すものであり、
顧客がそのブランドを選ぶ理由を明確にする役割を担います。
これは単なるスローガンではなく、企業文化、製品、サービス、そして顧客体験全体を包括する、
より深い意味を持つ概念です。
ブランドコンセプトが明確であれば、企業は一貫性のあるメッセージを発信し、
顧客との信頼関係を築き、長期的な成功を収めることができるでしょう。
ブランドコンセプトは、企業の羅針盤となり、すべての活動の方向性を示す灯台のような存在です。
それがあることで、企業は迷うことなく、顧客にとって最良の選択肢を提供し続けることができるのです。
ブランドコンセプトの重要性
明確なブランドコンセプトは、社内外への一貫したメッセージの発信を可能にし、
ブランドイメージの確立、顧客ロイヤリティの向上、そして競争優位性の確立に貢献します。
社内においては、従業員が共通の目標に向かって努力するための原動力となり、
組織全体の方向性を定めることができます。
社外においては、顧客に対してブランドの独自性を明確に伝え、
競合他社との差別化を図ることができます。
ブランドイメージの確立は、顧客がブランドに対して抱く印象を形成し、
長期的な関係性を構築する上で不可欠です。
顧客ロイヤリティの向上は、リピート率の増加や口コミによる新規顧客の獲得につながり、
企業の収益向上に貢献します。
競争優位性の確立は、市場におけるブランドの地位を確立し、
持続的な成長を可能にします。
ブランドコンセプトは、企業の成長戦略の中核をなすものであり、
その重要性は計り知れません。
ブランドコンセプトとブランディング
ブランディングは、ブランドコンセプトを具現化し、顧客体験全体を通してブランド価値を伝える活動です。
ブランドコンセプトは、ブランディング戦略の根幹をなすものであり、すべての活動の指針となります。
ブランディングは、広告、広報、デザイン、顧客サービスなど、さまざまな要素を組み合わせ、
ブランドイメージを構築するプロセスです。
ブランドコンセプトは、これらの活動全体を貫く一貫したメッセージを提供し、
顧客にブランドの価値を明確に伝える役割を担います。
例えば、ブランドコンセプトが「革新的な技術で人々の生活を豊かにする」であれば、
ブランディング活動は、そのコンセプトを体現するような革新的な製品やサービス、
先進的なイメージのデザイン、そして顧客の期待を超えるサービスを提供することを目指します。
ブランドコンセプトとブランディングは、互いに補完しあい、
相乗効果を生み出すことで、ブランドの成功を導くことができるのです。
共感を呼ぶブランドコンセプトの作り方:5つのステップ
ステップ1:現状分析と市場調査
自社の強みや弱み、市場のトレンド、競合の状況などを分析し、
ブランドを取り巻く現状を把握します。TOHO株式会社のような大手企業から個人商店まで、
規模に関わらず重要なステップです。
現状分析では、SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)などのフレームワークを活用し、
客観的な視点から自社の状況を評価します。
市場調査では、顧客のニーズや競合他社の動向を把握し、
市場における自社の立ち位置を明確にします。
これらの分析結果を基に、ブランドコンセプトを策定することで、
市場のニーズに合致し、競争優位性を確立できる可能性が高まります。
また、現状分析と市場調査は、定期的に行うことで、
常に変化する市場環境に対応し、ブランドコンセプトを最適化することができます。
このステップを疎かにすると、的外れなコンセプトを打ち出してしまうリスクがあるため、
十分な時間とリソースを投入することが重要です。
ステップ2:ターゲット顧客の明確化
年齢、性別、ライフスタイル、価値観など、詳細なペルソナを設定し、
ターゲット顧客を明確にします。ターゲット顧客のニーズや願望を理解することが、
共感を呼ぶコンセプトを作る上で不可欠です。
ペルソナとは、理想的な顧客像を具体的に描いたもので、
氏名、年齢、職業、年収、趣味、価値観など、詳細な情報を含みます。
ペルソナを設定することで、マーケティング担当者は、
ターゲット顧客の視点からブランドコンセプトを評価し、
より効果的なメッセージを作成することができます。
ターゲット顧客のニーズや願望を理解するためには、
アンケート調査、インタビュー、ソーシャルメディア分析など、さまざまな手法を活用します。
これらの情報を基に、ターゲット顧客が抱える課題や欲求を明確にし、
それらを解決または満たすようなブランドコンセプトを策定します。
ターゲット顧客の明確化は、ブランドコンセプトの成功を左右する重要な要素であり、
十分な検討を行う必要があります。
ステップ3:独自の価値提案(UVP)の策定
競合他社にはない、自社独自の価値を明確にします。
顧客が自社を選ぶ理由を明確に言語化することで、
ブランドコンセプトの中核を形成します。
独自の価値提案(UVP:Unique ValueProposition)とは、
自社が顧客に対して提供できる独自の価値を明確に表現したものです。
UVPは、競合他社との差別化を図り、顧客に自社を選ぶ理由を明確に伝える役割を担います。
UVPを策定する際には、以下の点を考慮することが重要です。
-顧客のニーズに応える価値であるか
– 競合他社にはない独自の価値であるか
-実現可能な価値であるか
これらの点を考慮し、自社ならではの価値を明確に言語化することで、
顧客にとって魅力的なブランドコンセプトを構築することができます。
UVPは、ブランドコンセプトの中核をなすものであり、
すべてのマーケティング活動の指針となります。
ステップ4:ブランドストーリーの構築
ブランドの誕生秘話、創業者の想い、商品開発の背景などをストーリーとして語り、
ブランドに人間味を与えます。ストーリーは、顧客との感情的なつながりを深め、
共感を呼び起こします。
ブランドストーリーとは、ブランドの歴史、理念、価値観などを物語として語ることで、
顧客との感情的なつながりを深めるための手法です。
ブランドストーリーは、単なる事実の羅列ではなく、
感情に訴えかけるような魅力的な物語であることが重要です。
ブランドストーリーを構築する際には、以下の要素を含めることが効果的です。
-ブランドの誕生秘話
– 創業者の想い
– 商品開発の背景
-ブランドが社会に貢献したいこと
これらの要素を盛り込み、ブランドの個性を際立たせることで、
顧客はブランドに対して共感を抱き、より強い愛着を持つようになります。
ブランドストーリーは、ウェブサイト、広告、ソーシャルメディアなど、
様々なチャネルで発信することで、ブランドの認知度向上にも貢献します。
ステップ5:コンセプトの言語化と検証
上記の要素を統合し、ブランドコンセプトを簡潔かつ覚えやすい言葉で表現します。
言語化したコンセプトは、ターゲット顧客に響くかどうか、社内外で検証を行い、
必要に応じて修正します。
ブランドコンセプトの言語化とは、これまでのステップで明確にした要素を基に、
ブランドの核心的な価値を簡潔かつ覚えやすい言葉で表現することです。
言語化されたブランドコンセプトは、社内外へのコミュニケーションツールとして活用され、
ブランドイメージの一貫性を保つ役割を担います。
言語化したコンセプトが、ターゲット顧客に響くかどうかを検証するためには、
アンケート調査、インタビュー、グループインタビューなど、様々な手法を活用します。
また、社内での共有会やワークショップを通じて、
従業員の意見を収集し、コンセプトに対する理解を深めることも重要です。
検証の結果、コンセプトがターゲット顧客に響かない場合は、
必要に応じて修正を行い、より効果的なコンセプトを目指します。
ブランドコンセプトの言語化と検証は、ブランドの成功を左右する重要なステップであり、
慎重に進める必要があります。
成功事例から学ぶ:共感を呼ぶブランドコンセプト
スターバックス:サードプレイスの提供
自宅や職場とは異なる、くつろげる第三の場所を提供するというコンセプトは、
多くの顧客に支持されています。快適な空間と高品質なコーヒーが、
顧客の日常に豊かな時間をもたらしています。
スターバックスは、単なるコーヒーショップではなく、
「サードプレイス」という独自のコンセプトを打ち出すことで、
顧客のライフスタイルに深く根ざしたブランドとなりました。
サードプレイスとは、自宅や職場とは異なる、
人々がくつろぎ、交流し、創造的な活動を行うことができる場所のことです。
スターバックスは、快適な空間、無料Wi-Fi、そして高品質なコーヒーを提供することで、
顧客にとって魅力的なサードプレイスとなり、多くの人々に支持されています。
このコンセプトは、顧客のニーズを的確に捉え、
感情的なつながりを生み出すことに成功した好例と言えるでしょう。
スターバックスの成功は、ブランドコンセプトが単なる商品やサービスの提供だけでなく、
顧客体験全体をデザインすることの重要性を示しています。
Francfranc:「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
日々の生活を彩る、カラフルでデザイン性の高いインテリア雑貨を提供するFrancfranc。
好きな色に囲まれた生活を送るというコンセプトは、感度の高い女性を中心に共感を呼んでいます。
Francfrancは、「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」というブランドメッセージを掲げ、
カラフルでデザイン性の高いインテリア雑貨を提供することで、
顧客の個性を表現し、日々の生活を豊かにすることを提案しています。
このコンセプトは、特に感度の高い女性を中心に共感を呼び、
Francfrancは、インテリア雑貨業界において独自の地位を確立しました。
Francfrancの成功は、ブランドコンセプトが、
顧客の感情や価値観に訴えかけることで、
強いブランドロイヤリティを築くことができることを示しています。
また、Francfrancは、SNSを活用した情報発信や、
コラボレーション企画など、様々なマーケティング活動を通じて、
ブランドコンセプトを積極的に発信し、顧客とのエンゲージメントを深めています。
QBハウス:「10分のみだしなみ」
時間を有効活用したい顧客に、短時間で手軽に利用できるカットサービスを提供するQBハウス。
忙しい現代人のニーズに応える、明快なコンセプトが支持されています。
QBハウスは、「10分のみだしなみ」というコンセプトのもと、
短時間で手軽に利用できるカットサービスを提供することで、
忙しい現代人のニーズに応えています。
従来の理容室や美容室とは異なり、QBハウスは、
カットに特化し、予約不要、短時間、低価格という特徴を持っています。
このコンセプトは、時間を有効活用したい顧客層に支持され、
QBハウスは、短期間で全国展開を達成し、業界の常識を覆しました。
QBハウスの成功は、ブランドコンセプトが、
顧客のニーズを的確に捉え、効率的なオペレーションによって実現可能であることを示しています。
また、QBハウスは、店舗の清潔さやスタッフの技術力など、
サービス品質にもこだわり、顧客満足度を高める努力を続けています。
ブランドコンセプトを強化する:一貫性と継続性
ブランド体験全体での一貫性
ブランドコンセプトは、広告、ウェブサイト、店舗デザイン、顧客対応など、
あらゆる顧客体験を通して一貫して表現される必要があります。
一貫性のないブランド体験は、顧客の混乱を招き、ブランドイメージを損なう可能性があります。
ブランド体験とは、顧客がブランドと接するすべての機会を指します。
これには、広告、ウェブサイト、店舗デザイン、商品パッケージ、顧客対応、ソーシャルメディアなど、
様々な要素が含まれます。
ブランドコンセプトを強化するためには、これらの要素全体を通して、
一貫したメッセージを発信し、ブランドイメージを統一する必要があります。
例えば、高級感を打ち出したいブランドであれば、
広告、ウェブサイト、店舗デザイン、顧客対応など、すべての要素において、
高品質で洗練されたイメージを表現する必要があります。
一貫性のないブランド体験は、顧客の混乱を招き、
ブランドへの信頼を損なう可能性があります。
ブランド体験全体での一貫性は、ブランドコンセプトを強化し、
顧客ロイヤリティを高める上で不可欠な要素です。
長期的な視点での継続性
ブランドコンセプトは、一時的な流行に左右されることなく、
長期的な視点で維持する必要があります。社会の変化や顧客ニーズの変化に合わせて、
柔軟に進化させることも重要です。
ブランドコンセプトは、企業の羅針盤であり、長期的な成長を支える基盤です。
そのため、一時的な流行や短期的な利益に左右されることなく、
長期的な視点で維持する必要があります。
ただし、社会の変化や顧客ニーズの変化は常に起こりうるため、
ブランドコンセプトも、状況に合わせて柔軟に進化させる必要があります。
進化させる際には、ブランドの核となる価値観を維持しつつ、
新しいニーズに対応する要素を取り入れることが重要です。
例えば、環境意識の高まりに対応するために、
サステナビリティをブランドコンセプトに組み込む、といった対応が考えられます。
長期的な視点での継続性と、社会の変化への柔軟な対応の両立が、
ブランドコンセプトを強化し、持続的な成長を可能にする鍵となります。
社内浸透の重要性
ブランドコンセプトは、社内のすべての従業員に理解され、共有される必要があります。
従業員一人ひとりがブランドの代弁者となり、ブランドコンセプトを体現することで、
一貫性のあるブランド体験を提供することができます。
ブランドコンセプトは、単なるマーケティング部門のスローガンではなく、
企業全体の共通認識として、社内に浸透させる必要があります。
従業員一人ひとりがブランドコンセプトを理解し、共感することで、
日々の業務の中で、自然とブランドコンセプトを体現した行動をとることができます。
例えば、顧客対応の際に、ブランドの価値観に基づいた丁寧な対応を心がける、
商品の開発や改善において、ブランドコンセプトに沿ったアイデアを提案するなど、
様々な場面でブランドコンセプトを意識した行動が期待できます。
社内浸透のためには、研修やワークショップなどを実施し、
ブランドコンセプトに関する理解を深める機会を設けることが有効です。
また、社内報やイントラネットなどを活用し、
ブランドコンセプトに関する情報を定期的に発信することも重要です。
まとめ:共感を呼ぶブランドコンセプトで、持続的な成長を
ブランドコンセプトは、企業の成長を支える重要な要素です。
本記事で紹介したステップと事例を参考に、共感を呼ぶブランドコンセプトを構築し、
顧客との強固な関係を築き、持続的な成長を実現してください。
共感を呼ぶブランドコンセプトは、顧客の心に響き、
長期的なロイヤリティを育む力を持っています。
明確なブランドコンセプトは、企業活動の指針となり、
従業員のモチベーションを高め、組織全体を一体化させます。
効果的なブランドコンセプトを構築するためには、
現状分析、ターゲット顧客の明確化、独自の価値提案、ブランドストーリーの構築、
そしてコンセプトの言語化と検証という5つのステップを踏むことが重要です。
また、ブランドコンセプトは、一貫性と継続性を持って、
ブランド体験全体で表現される必要があります。
本記事で紹介した成功事例を参考に、自社のブランドコンセプトを見直し、
顧客との強固な関係を築き、持続的な成長を実現してください。
ブランドコンセプトは、企業にとって最も重要な資産の一つです。
大切に育て、活用することで、企業の未来を切り開くことができるでしょう。

