ブランドコンセプトの作り方|顧客の声を「選ばれる理由」に変える5ステップ

顧客の声を持ち寄り、ブランドコンセプトを考えるチームのイラスト

ブランドコンセプトは、「誰に、どのような価値を、なぜ自分たちが届けるのか」を言葉にした、ブランドの判断軸です。商品開発や接客、発信の方向をそろえるために使います。

「社内では良い言葉だと言われたのに、顧客には伝わらない」「抽象的な表現になり、次の商品をどうつくるか決められない」。こうしたときは、顧客が実際に何を選び、どこで迷っているのかに戻ると、考える材料が見えてきます。

この記事では、顧客の声をブランドの提供価値へつなぐ5ステップを解説します。架空の食器ブランドの記入例、社内で使えるシート、次世代との対話の実践事例を通じて、コンセプト案をつくり、確かめるところまで進めます。

一般社団法人Re-Generation 代表理事 右近宣人

この記事の筆者

右近 宣人 Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|次世代との対話・共創

企業と次世代の接点をつくり、生活者の価値観を企画につなげる対話・共創プログラムを企画・運営。NECとの未来社会共創プログラムや、SMBCなどと連携したワークショップを通じて、企業の問いと若者の日常をつなぐ場づくりに取り組む。

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

学生との面談経験と、企業で次世代向けの事業を考えた経験を原点に、生活者との対話を大切にしている。本記事では、顧客の発言をその背景とともに捉え、ブランドの提供価値を考える手順を解説する。

右近宣人の想いと、リジェネレーションの歩みを知る →

参加者が自分の経験や考えを共有するワークショップの様子
参加者が経験や考えを共有するワークショップの様子

ブランド・商品企画に、若者の視点を

若者の「なぜ?」から、
ブランドの
選ばれる理由を探る。

インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。

  • 選択の理由を深掘り
  • 企画の仮説を確認
  • 次の打ち手を検討

NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。

コンテンツ

ブランドコンセプトとは?言葉と体験をつなぐ判断軸

対象者、提供価値、実現できる根拠をつなぎ、商品・接客・発信の判断に使うブランドコンセプトの関係図
誰に何を届けるかと、その根拠をそろえ、具体的な判断に使います。 クリックで拡大。

たとえば「暮らしを豊かにする」という言葉だけでは、誰のどんな暮らしを変えるのか、判断が分かれます。「帰宅が遅い一人暮らしの人が、準備や片付けに追われず、自分のための食事を楽しめる」と具体化すると、器の形、使い方の案内、商品写真で見せる場面まで検討しやすくなります。

ブランドコンセプトには、言葉としての分かりやすさと、実際の体験で届けられることの両方が必要です。見栄えの良い一文をつくった後も、商品やサービスのどこに表れるかを確認します。

言葉主に決めること食器ブランドで考えた例
パーパスなぜ事業や組織が存在するのか日々の食事を、自分を大切にできる時間にする。
ブランドコンセプト誰に、どんな価値を継続して約束するか忙しい日の「ちゃんと食べたい」を、準備と片付けの少ない食卓で支える。
商品コンセプト個別の商品が、どの場面の何を解決するか温めから食卓まで一つで使え、収納時は重ねられる一人用ボウル。
キャッチコピー価値を、相手に届く表現へどう置き換えるか帰ってからの一皿を、もっと気軽に。
すべて説明用の架空例です。用語の使い方は組織によって異なるため、制作前に社内で意味をそろえます。

ブランディングは、この判断軸を商品・サービス・コミュニケーションで実現していく活動です。全体の進め方はブランディング戦略の記事で確認できます。ここでは、その土台となるコンセプトのつくり方を扱います。

つくり始める前に、今回決めることをそろえる

事業課題、対象と場面、守る資産と制約、決定範囲と責任者という準備時の4つの確認事項
言葉を考える前に、今回の検討で決めることを共有します。 クリックで拡大。

最初の打ち合わせでは、言葉の案を出す前に、事業上の課題と今回の決定範囲を共有します。「若者に好かれたい」だけでは、話を聞く相手も、良いコンセプトの基準も定まりません。

  • 事業課題:新しい顧客に届いていないのか、既存顧客が選ぶ理由を説明できないのか。解決したい問題を一つの文にする。
  • 対象と場面:年齢に加え、どのような生活や利用場面に注目するかを決める。
  • 守る資産と制約:顧客から評価されてきた点、品質、技術、価格帯、供給や運営上の条件を整理する。
  • 決定範囲と責任者:ブランド全体か、商品シリーズかを明確にし、誰が何を根拠に決めるかを合意する。

たとえば「既存の器づくりの技術を活かし、一人暮らしの平日の食事に向けたブランドの軸を決める」と置きます。ロゴの変更や新商品の全仕様まで同時に決めようとせず、まず誰のどの困りごとを引き受けるかを検討します。

ブランドコンセプトの作り方:顧客の声から考える5ステップ

現状整理、行動の聞き取り、発言と解釈の分離、提供価値の言語化、反応の確認という5ステップと各工程の成果物
各工程で残すものを決めると、言葉をつくる根拠を共有できます。クリックで拡大。

ステップ1:現状を整理し、顧客の選択肢と自社の強みを確かめる

自社が伝えたいこと、顧客が評価していること、顧客が比較する選択肢を並べます。社内の想いは創業時の資料や商品開発の経緯から、顧客の評価はレビュー、問い合わせ、購入後の声などから拾います。評価された場面と、困った場面の両方を残しましょう。

食器の例なら、比較対象は別の食器ブランドだけとは限りません。手持ちの器を使う、総菜の容器のまま食べる、外食するなど、同じ場面で実際に選ばれている行動も候補になります。顧客が何と何を比べたのかは、本人に確認して初めて分かります。

3Cなどのフレームワークを使う場合も、枠を埋めることが目的にならないようにします。各欄に「確認できたこと」「社内の解釈」「次に確かめたいこと」を添え、強みと呼べる根拠を残します。この段階の成果物は、今回の課題と未確認の仮説の一覧です。

ステップ2:「どう思うか」の前に、実際の行動と迷いを聞く

対象者には、最近の具体的な出来事を振り返ってもらいます。「どんなブランドが好きですか」だけで終わらず、最後に買ったとき、使ったとき、購入を見送ったときの流れを聞くと、判断の背景に近づけます。

  • 最後に平日の夕食を家で食べた日は、帰宅してから片付けるまで何をしましたか。
  • そのとき、どの器を選びましたか。ほかの選択肢と迷ったことはありましたか。
  • 準備や片付けのどこに手間を感じましたか。反対に、気分が変わった場面はありましたか。
  • 最近、食器を買おうとして見送ったことはありますか。その理由は何でしたか。

同じ「一人暮らし」でも、自炊する人と総菜をよく買う人では、選び方が異なるかもしれません。年齢などの属性と、利用状況や行動の違いを組み合わせて対象者を考えます。調査方法や対象者の設計はブランドリサーチの記事も参考にしてください。

ここで残すのは、発言そのものと、その前後の場面です。担当者が「つまり便利さを求めている」と要約する前に、本人が使った言葉を記録します。

ステップ3:発言と解釈を分け、満たしたい気持ちを見つける

発言からコンセプトへ飛びつくと、一人の要望をそのままブランドの軸にしてしまいます。まず、何が起きたかという記録と、なぜそうしたかについての解釈を分けます。下の表は、考え方を示すための架空の発言例です。

整理する段階架空の記入例次に確かめること
発言・行動の記録「総菜を器に移すと落ち着く。でも疲れている日は、洗うものを増やしたくなくて容器のまま食べる」どの日、どんな食事でそうしたのか。器を使った日との違いは何か。
解釈・仮説食事を大切にしたい気持ちと、片付けの負担を減らしたい気持ちが同時にあるのではないか。実際には洗い物よりも、収納場所や器の重さが理由ではないか。
価値の方向性準備から片付けまで負担を増やさず、自分のための食卓を整えられる。その価値を求める人はどんな状況にいるか。器の工夫で本当に実現できるか。
発言・解釈・提案を分ける整理例。実際の調査結果や利用者の声ではありません。

「洗い物が面倒」という表現が出ても、全員が同じ理由とは限りません。似た発言と異なる発言を見比べ、行動を説明できるかを検討します。社内に都合の良い発言だけを選ばず、仮説に合わない声も残すと、修正すべき点を共有しやすくなります。

ステップ4:顧客に約束する価値と、それを実現する根拠をつなぐ

ここまでの材料を、「誰に」「どの場面で」「どんな価値を」「何によって届けるか」の順で文章にします。最初から短いコピーにせず、意味が伝わる説明文を書き、その中心を一文にまとめましょう。

説明文の型:私たちは、[対象者]が[生活場面・困りごと]に向き合うとき、[自社の資産・提供方法]によって、[得られる価値]を届ける。

食器の例では、「私たちは、帰宅が遅い一人暮らしの人が平日の夕食を整えるとき、準備・食事・片付けをつなぐ器と使い方の提案によって、手間を抑えて自分の食事を楽しめる時間を届ける」と書けます。

この中心を、「忙しい日の『ちゃんと食べたい』を、準備と片付けの少ない食卓で支える」というコンセプト案にまとめます。これは架空の案であり、器の性能や体験によって実現できるかは確認が必要です。「独自性」「高品質」といった言葉を足すだけで済ませず、顧客が選ぶ理由を具体的に説明します。

ステップ5:伝わり方と生活での使われ方を確かめ、磨き直す

コンセプト案を見てもらったら、「好きですか」だけで判断せず、どのような意味で受け取ったかを相手の言葉で説明してもらいます。続いて、役に立ちそうな場面、違和感、信じるために必要な情報を聞きます。

たとえば「準備と片付けの少ない食卓」を見て、使い捨て容器のブランドだと思われたなら、意図した価値と伝わった意味にずれがあります。言葉を直すのか、具体的な商品や使用場面を添えるのかを検討します。

複数案を比べるときは、同じ価値の言い換えを比べているのか、提供価値そのものを比べているのかをそろえます。少人数の対話は意味や理由を探る材料です。市場全体の支持や売上を示すものとは分けて扱い、必要に応じて次の調査を設計します。残すものは、採用理由・修正点・まだ確かめる必要がある点です。

作成した案を調査で確かめる段階では、誰に何を見せ、どんな質問を行い、結果をどう判断するかを設計します。コンセプトテストの進め方では、提示方法の違い、質問例、採用・修正・再検証につなぐ判断シートを紹介しています。

参加者が自分の経験や考えを共有するワークショップの様子
参加者が経験や考えを共有するワークショップの様子

ブランド・商品企画に、若者の視点を

若者の「なぜ?」から、
ブランドの
選ばれる理由を探る。

インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。

  • 選択の理由を深掘り
  • 企画の仮説を確認
  • 次の打ち手を検討

NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。

そのまま使えるブランドコンセプトシートと記入例

シートでは顧客、価値と根拠、コンセプトと次の行動を一緒に整理し、未確認の内容には仮説と明記する
本文の10項目を使い、言葉と根拠、未確認事項を一枚にまとめます。 クリックで拡大。

次の項目を一枚にまとめると、コンセプトの言葉だけでなく、その根拠も共有できます。各項目に自社の情報を入れ、根拠が足りない欄は「仮説」と明記してください。以下は架空の食器ブランドの例です。商品性能、顧客の発言、検証内容も説明用の設定です。

記入項目架空の食器ブランドの記入例自社で書くときの確認点
1. 解決したい事業課題新しい一人暮らし層に向けて、器の機能説明を、平日の生活で選ぶ理由に結び付けたい。何ができれば今回の検討は前進したと言えるか。
2. 対象者・利用場面帰宅が遅く、総菜や作り置きを使いながら、自宅で一人分の夕食を取る人。年齢だけでなく、生活場面・現在の選び方を書けているか。
3. 顧客の声・行動「器に移すと落ち着くが、疲れた日は洗い物を増やしたくない」という架空の発言。実際の検討では、発言記録・対象者条件・聞いた場面を添える。
4. 背景にある気持ちの仮説食事を丁寧に楽しみたいが、準備と片付けの負担を増やしたくない。本人の発言と担当者の解釈が混ざっていないか。
5. 顧客が比べる選択肢手持ちの器に移す、総菜の容器のまま食べる、外食する。実際に比較した相手や行動か。自社の想定だけではないか。
6. 提供する価値忙しい平日でも、手間を抑えて自分のための食卓を整えられる。機能の列挙で終わらず、生活がどう変わるかを書けているか。
7. 価値を支える根拠温めから食卓まで使う設計、洗いやすさ、重ねやすさを検討する。性能・安全性は試作品などで確認する。すでに提供できることと、開発が必要なことを分けたか。
8. コンセプトの一文忙しい日の「ちゃんと食べたい」を、準備と片付けの少ない食卓で支える。対象者・価値・実現方法の説明と矛盾していないか。
9. 商品・体験への反映一人分の食事を盛る提案、手入れ方法、限られた収納での使い方を商品ページで伝える。商品企画、販売、接客の具体的な判断に使えるか。
10. 未確認事項・次の行動洗いやすさと収納のしやすさのどちらが選択に影響するかを、利用場面に沿って確かめる。誰が・いつ・何を確認し、どう判断するかを決めたか。
ブランドコンセプトシートの記入例。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

一文だけを会議に持ち込むと、言葉の好みの議論になりがちです。対象者、顧客の声、実現する根拠を一緒に示すことで、「この人のこの場面に合うか」という観点で検討できます。

コンセプト案を決めるときの5つの確認点

伝わるか、自分に関係があるか、選ぶ理由になるか、信じられるか、判断に使えるかの5つを確かめる
好みだけで判断せず、顧客の場面と実現の根拠に照らして確かめます。 クリックで拡大。
確認点会議で使える問い見直すきっかけ
伝わるか初めて読む人が、どんな価値のブランドか説明できるか。説明しないと意味が分からない。
自分に関係があるか想定した人が、自分の生活のどこで使うか話せるか。「良さそう」で止まり、場面が浮かばない。
選ぶ理由になるか今の選択肢と比べ、何を理由に選べるか。どのブランドにも当てはまる表現になっている。
信じられるか商品・運営・技術の何が、その価値を裏付けるか。実現方法がなく、約束だけが大きい。
判断に使えるか次の商品や接客案を、この軸で選び、修正できるか。あらゆる企画に当てはまり、優先順位が決まらない。
点数の合計だけで決めず、根拠と未確認事項を確認するための問いです。

意見が分かれたときは、「誰に届けるかが違う」「価値は同じだが表現が違う」「実現できる範囲の認識が違う」のどこで分かれたかを整理します。決定者の好みや多数決だけに委ねず、判断に足りない情報を集めてから決めます。

生活者の価値観を言葉にする、次世代との対話の実践事例

NECでは経験と価値観から2030年の社会を考え、SMBCなどでは一日の流れから2040年の日常を構想した対話の手順
2つの実践事例で使った問いの順序。ブランド開発への応用は本文で説明します。 クリックで拡大。

ブランドコンセプトを考えるとき、生活者が大切にしていることを、具体的な経験や暮らしの場面から聞く方法が役立ちます。ここでは、Re-Generationが関わった対話・共創の取り組みを紹介します。いずれも未来社会やアイデアを考えた事例であり、ブランドコンセプトの策定成果を報告するものではありません。

実践事例 / 日本電気(NEC)

一人ひとりの経験から、未来に求める社会価値を言語化

NECと実施したプログラムで、自分の経験や価値観を言語化する参加者
2024年に開催したプログラムの様子。出典:Re-Generation実施レポート。

2024年9〜10月、NECと連携し、関西・九州・東北で「2030年の自分と未来社会」を考えるプログラムを開催しました。NEC社員のレクチャーと、参加者が自分の経験や価値観を言語化するワークショップを組み合わせています。

自分の過去・現在を振り返り、チームで共有した後、政治・行政、カルチャー、技術、くらし・働き方という切り口で、社会への違和感や課題意識を整理しました。そこから、2030年にあってほしい社会を考え、発表しています。

ブランド開発で活かせる視点抽象的な「理想の社会」をいきなり聞くよりも、本人の経験や関心を言葉にする工程を置く。ブランドが届けたい価値と、生活者が大切にすることの接点を探る際にも、この問いの順序を参考にできます。これは本記事での応用の提案です。

実践事例 / 三井住友銀行(SMBC)など

新しい技術を「未来の一日」に置き換えて考える

SMBCなどと連携したワークショップで、未来の日常を考える参加者
2024年1月のワークショップ。写真掲載元:Re-Generation実施レポート(画像配信元:U-FINO)。

2024年1月、SMBC、HashPort、U-FINOと連携したプログラムでは、Web3.0やNFTについて学んだ後、5チームでアイデアを検討しました。現在の一日の流れを書き出し、その場面に技術を組み合わせて、2040年の日常を構想しています。

参加者は、引っ越しや就職活動などの生活場面を使って、技術によって何が変わるかを考えました。専門的な仕組みを学ぶ時間に加え、自分たちの暮らしに引き寄せて考える工程が設けられています。

ブランド開発で活かせる視点自社の技術や機能を、そのままコンセプトの言葉にする前に、「それがあると、誰のどんな一日が変わるか」を考える。機能から生活者にとっての価値へ置き換える発想として参考になります。これは本記事での応用の提案です。

完成したコンセプトを、商品・接客・発信で使う

共通のコンセプトを、商品とサービス、販売と商品ページ、接客と問い合わせ対応の具体的な判断に反映する架空例
食器ブランドの架空例。約束した価値が各接点で実現するかを確認します。 クリックで拡大。

コンセプトが決まったら、関係する担当者と具体的な企画を一つ選び、その判断軸を使って見直します。「自分の部署では何を変えるか」を話すと、言葉の理解と実際の運用のずれが見えてきます。

担当する接点食器ブランドの架空例共有しておく判断
商品・サービス新色を増やす前に、使う・洗う・しまう流れで負担が増えていないか確認する。見た目に加え、日常の使いやすさを優先して検討する。
販売・商品ページ華やかな食卓だけでなく、平日の一人分の食事と手入れの方法を見せる。どの生活場面で役立つかが分かる情報をそろえる。
接客・問い合わせ対応使用条件、手入れ方法、収納方法を具体的に案内する。約束した価値と、実際にできることを一致させる。
コンセプトを接点ごとの判断に置き換える例。表現や販売施策の詳細は各担当者と検討します。

説明資料には、一文のコンセプト、対象者、顧客の声、提供の根拠、判断例、未確認事項をまとめます。改訂したときは、何を根拠に変えたかも残しましょう。発信の施策へ展開する際は、ブランドプロモーションの記事も参考になります。

コンセプトを、ブランドストーリー・コピー・タグラインに展開する

表現をつくるときは、判断軸そのものと、判断軸を伝える文章を分けます。同じ食器ブランドの架空例を使うと、役割の違いを確認しやすくなります。

要素役割一つのブランドでそろえた架空例
ブランドコンセプト誰にどんな価値を約束するか。企画の採否に使う忙しい日の「ちゃんと食べたい」を、準備と片付けの少ない食卓で支える
ブランドストーリーなぜその価値を大切にし、どう実現しようとするかを背景と行動で説明する疲れた日も器に移して食べたい、という課題の仮説から、使う・洗う・しまう流れを試作で確かめる物語
キャッチコピー媒体や場面に合わせ、価値の入口を短く伝える帰ってからの一皿を、もっと気軽に。
タグラインブランド名に添えるなどして、継続して使う短い表現毎日の食卓に、無理のない心地よさ。

たとえばストーリーの案は、「忙しくても自分の食事を整えたい。その気持ちを支えるために、私たちは準備から収納までを一つの体験として考え、器と使い方を見直します」と書けます。これは文章の組み立て例です。実在しない創業エピソードや顧客の発言を、実話として付け加えてはいけません。

コピーは媒体に合わせて変えても、約束する価値はそろえます。「片付けの負担を抑える」が軸なのに「映える食卓」だけを前面に出す場合は、狙いを再確認しましょう。タグラインとコピーの呼び分けは組織によって異なるため、使用期間・使用場所・改訂者を決めておくと運用しやすくなります。

ブランドコンセプトづくりでよくある質問

最初は説明文から、要望は場面と理由から、世代は具体的な生活と行動から考えるという3つの回答
迷ったときは、言葉の背景にある対象者・価値・根拠へ戻ります。 クリックで拡大。

ブランドコンセプトは一文でなければいけませんか?

最初から一文にする必要はありません。対象者、価値、実現する根拠を説明できる文章を先につくり、その中心を短くまとめます。社内で使うときは、一文と説明資料をセットにすると判断の背景が伝わります。

顧客の要望を、そのままコンセプトにすればよいですか?

要望を聞いた場面と理由を確認し、自社が継続して届けられる価値と組み合わせて考えます。「安くしてほしい」という声でも、予算が合わないのか、価格に見合う理由が伝わっていないのかで、検討する方向は変わります。

若者を対象にする場合、Z世代の特徴から決められますか?

世代の傾向だけで決めず、想定する人の生活や行動に具体化します。同じ世代でも利用場面、関心、購入経験は異なります。対象者をどのような条件で選び、何を聞くかを先に整理しましょう。

ブランドコンセプトは英語で何と書く?「コンセプト」と「コピー」は同じ?

英語ではbrand conceptと表記します。本記事でいうコンセプトは企画を判断する軸で、コピーは価値を伝える表現です。翻訳するときも短い一文だけを渡さず、対象者・利用場面・提供価値・根拠を添えると、言葉の印象だけで意味が変わることを防ぎやすくなります。

まずは「誰の、どんな場面を変えるか」を書き出す

対象者と利用場面、顧客の声、提供する価値を書き、足りない根拠を次の調査や対話で確かめる
まず3つを記入し、根拠の薄い箇所を次の問いにします。 クリックで拡大。

ブランドコンセプトづくりは、顧客の経験と、自社が届けられる価値をつなぐ作業です。現状を整理し、行動を聞き、発言と解釈を分けたうえで、提供価値を言葉にします。その後に伝わり方を確かめ、商品や体験の判断へつなげます。

まずはシートの「対象者・利用場面」「顧客の声」「提供する価値」を書いてみてください。書けない箇所や根拠の薄い箇所が、次に調べる問いになります。若者の声を聞くところから進めたい場合は、調査や対話の目的を整理する段階からご相談いただけます。

参加者が自分の経験や考えを共有するワークショップの様子
参加者が経験や考えを共有するワークショップの様子

ブランド・商品企画に、若者の視点を

若者の「なぜ?」から、
ブランドの
選ばれる理由を探る。

インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。

  • 選択の理由を深掘り
  • 企画の仮説を確認
  • 次の打ち手を検討

NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。

参考資料:アスマーク「ブランドコンセプトとは?作り方やポイントを解説」(用語の整理に参照)。実践事例は各実施レポートに基づき記載。手順・シート・架空例は本記事の説明用に構成しています。

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