ブランド調査とは、自社のブランドが誰に知られ、どんな意味で捉えられ、なぜ選ばれているかを確かめる調査です。認知率を出すことだけが目的ではなく、商品・説明・接点のどこを改善するかを決めるために行います。
「若い人に選ばれない」と感じても、知られていないのか、価値が伝わらないのか、使う条件が合わないのかで打ち手は変わります。この記事では、ブランド担当者が調査の問いを具体化できるよう、目的別の質問例と結果の使い方を整理します。

ブランド・商品企画に、若者の視点を
調査の「問い」を、
次の企画につなげる。
インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。
- 選択の理由を深掘り
- 企画の仮説を確認
- 次の打ち手を検討
NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。
ブランド調査は「何を決めるか」から設計する

まず、調査後に選びたい行動を書きます。「認知度を知る」より、「認知を広げる施策と、商品の説明を直す施策のどちらを優先するか」と置くと、必要な情報がはっきりします。
| 現場の悩み | 調査で答える問い | 検討する行動 |
|---|---|---|
| ブランドを選んでもらえない | 知らないのか、知っても候補に入らないのか | 接触機会を増やす/価値の説明を見直す |
| 伝えたい印象と違う | どんな場面・情報から、その印象になったか | 商品ページ、接客、体験内容を見直す |
| 既存顧客の利用が減った | 利用場面や選択肢がどう変わったか | 商品・サービスの利用条件を改善する |
| 若年層を理解したい | どんな生活場面で、何と比較しているか | 対象場面と企画仮説を絞る |
調査の実施自体が認知やロイヤルティを上げるわけではありません。結果を使う部署と、誰が判断するかを先に決めることが、調査を実務につなぐ条件になります。
調査対象は、購入者・未購入者・離反者を分けて考える

自社のSNSフォロワーやイベント参加者だけに聞くと、接点のない人の認識は分かりません。ブランドを知っていることを参加条件にした調査で、対象市場全体の認知率を出すこともできません。
食器ブランドを例にすると、「直近3か月に自宅用の食器を買った人」と「自社で買った人」は異なる対象です。前者は選択肢全体の中での比較、後者は購入体験や利用後の評価を聞くために使います。期間は商品の購入頻度に合わせて設定してください。
対象人数は、全体の数字だけでなく、比較したい区分ごとにどの程度の回答が必要かから相談します。少人数の区分を細かく割るほど数値は不安定になります。オンラインパネル、会員、店頭募集など、集め方による偏りも記録し、参加者の結果を無条件に市場全体へ広げないようにします。
アンケート・インタビュー・対話を目的で使い分ける

| 方法 | 向いている問い | 得られるものと限界 |
|---|---|---|
| アンケート | 対象条件の中で、何がどの程度あるか | 回答分布や区分比較。対象の集め方と質問に結果が左右される |
| 個別インタビュー | なぜ選んだか、なぜやめたか | 行動の経緯や仮説。少人数の発言から比率を推計しない |
| グループでの対話 | 他者の経験を聞くと、何に気づくか | 比較や連想。周囲の意見に影響された反応を含む |
| 共創ワークショップ | どんな場面・企画を考えられるか | アイデアや判断の論点。自然な購入意向の測定と区別する |
| 口コミ・SNSの観察 | 公開された言及に何があるか | 既存の声の探索。投稿しない人や非公開の声は含まれない |
未知の課題を探るなら聞き取りから始め、その仮説の広がりをアンケートで確かめる方法があります。逆に、既存調査で気になる差が見えた後、インタビューで背景を調べることもできます。順序は一律ではなく、判断に足りない根拠で選びます。
認知・イメージ・選択理由を聞く質問票の例

以下は、自宅用食器を対象とした架空の設計例です。選択肢や期間は対象商品に合わせて調整し、本調査の前に少人数で質問の意味や回答しやすさを確認してください。
| 目的 | 質問文の例 | 回答形式・確認点 |
|---|---|---|
| 利用条件の確認 | 直近3か月に、自分のために食器を購入しましたか | 購入有無。贈答用とは分け、必要な対象を確認 |
| 純粋想起 | 自宅で使う食器のブランドで、思い浮かぶ名前をお書きください | 自由回答。ブランド一覧を見せる前に聞く |
| 助成認知 | 次のブランドについて、どの程度ご存じですか | 「知らない/名前だけ/特徴を知る/利用経験あり」などを区別 |
| イメージ | このブランドから思い浮かぶことを、自由にお書きください | 自由回答を先に置き、後の選択肢による誘導を避ける |
| 比較検討 | 直近の購入で、ほかに何を候補にしましたか | 他ブランド、無名の商品、購入しない選択も拾う |
| 選択理由 | 最後に購入を決めた理由と、そのときの状況を教えてください | 価格だけで終わらず、場面・比較対象・決め手を確認 |
| 見送り理由 | 知っていたものの買わなかった理由を教えてください | 対象者を分岐し、使う必要がない場合も含める |
| 利用後の評価 | 使う前の期待と、実際に使った感想はどう違いましたか | 利用者だけに聞く。良かった点と困った点を分ける |
「おしゃれで使いやすいと思いますか」のように二つの評価を一問にまとめないようにします。また、「環境に良いので買いたいですか」と理由まで質問に入れると、こちらの仮説を肯定する回答へ寄りやすくなります。「分からない」「当てはまらない」を必要に応じて用意し、無理に評価させないことも重要です。

ブランド・商品企画に、若者の視点を
調査の「問い」を、
次の企画につなげる。
インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。
- 選択の理由を深掘り
- 企画の仮説を確認
- 次の打ち手を検討
NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。
回答を施策に変える分析表と、KPIの読み方

集計表を並べるだけで終わらせず、判断につながる形で整理します。以下は実際の調査結果ではなく、分析の書き方を示す架空例です。
| 仮の観察結果 | 考えられる解釈 | 次の行動・追加確認 |
|---|---|---|
| 名前は知っているが、特徴を説明できない回答が見られた | ブランド名への接触と、価値の理解が分かれている可能性 | 接触した媒体と記憶に残った情報を聞き、説明を試す |
| 購入者が「重ねてしまいやすい」と話した | 収納のしやすさが利用価値の一部かもしれない | 生活場面の異なる利用者にも確認し、訴求仮説にする |
| 未購入者からサイズが分からないという声が出た | 魅力より購入前の情報不足が課題かもしれない | サイズ比較や収納写真を追加し、理解を確認する |
| 再購入しない人でも商品評価は良い | 耐久品のため、購入機会が少ない可能性 | 買い足し時期や用途を確認し、再購入率だけで評価しない |
認知率は「誰を分母にしたか」、イメージ評価は「自由回答か選択式か」、購入意向は「どの条件を見せたか」を添えます。点数が高いことと、実際の購入や継続利用は別です。変化が小さい場合は、回答数や対象構成、調査時期の違いも確認してから施策を決めます。
NPSとブランドリフトは、別の問いに答える指標
「利用者が薦めたいか」と「広告によって認識が変わったか」は分けて調べます。認知・イメージ調査の代わりに一つの指標で済ませず、今回の判断に必要な場合に追加します。
| 方法 | 向いている問い | 計算・読み方 | 判断の限界 |
|---|---|---|---|
| NPS(Net Promoter Score) | 利用者の推奨意向と、その理由を継続して確認したい | 0〜10の回答から、9・10の割合-0〜6の割合。7・8も分母に含む | 認知率、実際の紹介件数、売上そのものではない |
| ブランドリフト調査 | 特定の広告が認知・広告想起・比較検討へ与えた影響を確かめたい | 広告接触群と対照群の回答差を見る。絶対差と相対差を区別する | 比較設計、回答数、配信条件によって解釈できる範囲が変わる |
NPSの計算例では、有効回答100人のうち9・10が45人、7・8が30人、0〜6が25人なら、45%-25%=20です。平均点とは違います。算出方法はBain & Companyの説明に基づき、人数は説明用の架空例です。スコアとともに理由を聞き、同じ利用段階・募集経路・質問文で追います。異なる国や商品、対象条件の数値をそのまま優劣の基準にしないようにします。
Google広告のブランド効果測定は、広告を見た人と表示対象だったが見なかった人の回答を比較する仕組みを説明しています。利用できるアカウントや配信条件には制約があるため、実施前に公式の利用条件を確認してください。
架空の例で肯定回答が対照群20%、広告接触群25%なら、絶対差は5ポイント、対照群を基準にした相対差は25%です。回答数や不確実性を添えずに「25%の人に効果があった」とは報告しません。また、施策前後の別々のアンケートで5ポイント上がっただけでは、広告以外の要因を除いた効果とは判断できません。
NEC・SMBCの対話事例から、背景を聞く問いを学ぶ

NECとのプログラムでは、参加者が自分の過去・現在を言語化し、価値観や関心を共有した後に、2030年の社会を考えました。最初から企業評価を尋ねるのではなく、参加者が何を大切にしているかを考える土台を用意しています。[実施レポート]
SMBCなどとの企画では、技術を学んだ後、現在の一日の流れから未来の日常を構想しました。抽象的な技術への賛否ではなく、生活のどの場面で関係するかを考える方法です。[実施レポート]
調査へ応用する場合は、「好きですか」という評価だけでなく、そう感じた経験や利用場面を聞きます。ただし、講義や他者との対話を経た回答には、その場の学習や相互作用が含まれます。事前の自然な認知・印象を測りたいときは、説明をする前に個別に回答してもらうなど、測定と共創を分けて設計します。


継続調査では、質問・対象・実施条件をそろえる

定点調査では、調査票の文言、質問順、選択肢、対象条件、募集経路を記録します。質問を変える必要があるときは変更点を明示し、以前の結果と同じ意味の指標として扱えるかを確認します。
調査員が聞く場合は、説明の仕方や追加質問の範囲もそろえます。日本マーケティング・リサーチ協会の実査管理の資料でも、調査の手順や質問・記入方法を調査員に共有する考え方が示されています。[JMRAの実査管理資料]
録音や発言の利用は目的と範囲を事前に説明し、本人が無理なく断れる運営にします。調査への協力と、営業連絡や広告への掲載は分けて扱ってください。報告時には、対象・期間・方法・回答数と、結果が当てはまる範囲を添えます。
調査を始める前に、一枚の設計書をつくる

設計書には、決めたいこと、対象者の条件、知りたい背景、質問項目、分析する区分、使う部署、実施時期を書きます。予算が限られるときは、質問を増やすより、今回の判断を絞ることから始めましょう。
調査で価値の仮説が見えたら、ブランドコンセプトの作り方へつなぎます。調査全体をどの戦略判断に使うかはブランディング戦略、依頼先の比較はブランディング会社・サービスの選び方を参照してください。
新しい商品・サービスの案ができたら、現在のブランド認識を捉える調査とは分けて、案の伝わり方や使う理由を確かめます。具体的な設計と質問例は、コンセプトテストの進め方をご覧ください。

ブランド・商品企画に、若者の視点を
調査の「問い」を、
次の企画につなげる。
インタビューや対話型リサーチで、選び方の背景にある価値観を探ります。調査の問いづくりから参加者募集、得られた気づきの企画への活用まで、目的に合わせて支援します。
- 選択の理由を深掘り
- 企画の仮説を確認
- 次の打ち手を検討
NEC・SMBCとの共創事例と、調査・企画支援の進め方をご紹介しています。



