調査の用語は、意味を覚えるだけでなく、依頼書や報告書でどのように使うかを知ると理解しやすくなります。この記事では、設計、対象者、手法、集計・分析、成果物の順に基本用語を整理します。
表の例は、食事の定期宅配サービスを題材にした架空の作成例です。人数や割合は調査結果ではありません。専門用語を社内で使うときも、同じ定義で理解しているかを確認してください。

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調査設計で使う用語

| 用語 | 意味 | 実務での使用例 |
|---|---|---|
| 調査目的 | 情報を得て、どの判断に役立てるか | 次の改修で優先する機能を決める |
| 調査課題 | 目的のために明らかにする問い | 注文変更のどの場面で利用者が迷うか |
| 仮説 | 調査で確かめる、現時点の説明 | 変更期限の表示に気づかず操作を諦めているのではないか |
| 調査設計 | 対象、方法、項目、分析などを組み立てること | 解約者の経験を聞き、継続者との違いを整理する計画 |
| 一次情報・一次データ | 自分たちの目的に合わせて直接集める情報 | 今回の利用者インタビューの記録 |
| 二次情報・二次データ | 既に別の目的で収集・公表された情報 | 公的統計や既存の業界レポートを今回の企画で参照する |
| デスクリサーチ | 既存の資料や公開情報を調べる作業 | 公的統計と競合の料金表から事前に状況を整理する |
| RFP・調査依頼書 | 提案してほしい目的・条件・範囲を伝える資料 | 対象者、期限、希望成果物をまとめ、複数社へ同じ条件を伝える |
「目的」と「知りたいこと」が混ざると質問が増えすぎます。具体化の手順はテーマ・仮説の決め方で扱っています。
対象者・募集で使う用語

| 用語 | 意味 | 実務での使用例 |
|---|---|---|
| 母集団 | 調査によって理解したい対象全体 | あるサービスを過去3か月に利用した人全体 |
| 標本・サンプル | 母集団から調査対象として取り出した一部 | 条件に合い、アンケートに回答した人 |
| サンプルサイズ・n | 集計や分析の対象となった件数 | 有効回答300件をn=300と示す。設問ごとに人数が違う場合は別記する |
| パネル | 調査への参加候補として登録された人の集まり | 調査会社の登録者から条件に合う人を募集する |
| リクルーティング | 対象者を募集・選定すること | 最近解約した人に参加条件と日程を案内する |
| スクリーニング | 本調査の条件に合うか事前に確認すること | 過去1か月に注文変更を試みた経験があるかを尋ねる |
| 割付 | 対象者の構成を事前に定めること | 継続者と解約者を分け、必要な比較ができる人数を設計する |
| バイアス | 募集・質問・回答などに生じる偏り | 熱心な利用者だけが参加し、離脱者の経験が含まれない |
| 代表性 | 対象全体の特徴をどの程度反映するか | オンライン登録者の回答を、未登録者にもそのまま当てはめてよいか検討する |
人数を増やせば、あらゆる偏りが消えるわけではありません。誰に、どの経路で、どのような条件で答えてもらったかを報告に残します。

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調査手法・質問で使う用語

| 用語 | 意味 | 実務での使用例 |
|---|---|---|
| 定量調査 | 回答を数値として捉え、割合や差を調べる調査 | 変更機能の認知率を利用歴別に集計する |
| 定性調査 | 言葉や行動から経験の背景・意味を理解する調査 | 変更を諦めた場面を詳しく聞く |
| デプスインタビュー | 一対一で経験や判断の背景を深く聞く方法 | 最後に注文した日の行動を順にたどる |
| グループインタビュー・FGI | 複数人の対話から意見や背景を理解する方法 | 試作品の使い方について語り合ってもらう |
| モデレーター | インタビューや議論を進行する人 | 誘導を避けながら、発言の意味を確かめる |
| インタビューフロー・質問ガイド | 聞くテーマと質問順を整理した資料 | 導入、生活背景、具体的な経験、振り返りを並べる |
| CLT・会場調査 | 会場に来てもらい、提示・試用などを行う調査 | 同じ環境でパッケージや試食品を評価する |
| HUT・ホームユーステスト | 家庭で製品を使って評価する調査 | 数日間使って、利用場面や困った点を記録する |
| 自由回答・FA | 決められた選択肢によらず回答する形式 | 解約のきっかけとなった出来事を文章で書く |
| 単一回答・SA/複数回答・MA | 選択肢を一つ/複数選ぶ形式 | 最も重視する点は一つ、経験した不便は複数選んでもらう |
手法の概要はインテージの定性調査の説明も参照できます。用語が同じでも、実施時間や参加条件まで同じとは限りません。
集計・分析で使う用語

| 用語 | 意味 | 実務での使用例 |
|---|---|---|
| ローデータ | 回答者ごとの回答を記録したデータ | 一人を1行にし、各設問の回答を列で持つ |
| データクリーニング | 分析前に不備や矛盾を確認・処理する作業 | 重複回答や対象条件に合わない回答の扱いを記録する |
| 単純集計・GT | 一つの設問について全体の分布を集計すること | 回答者全体で、各解約理由を選んだ件数を数える |
| クロス集計 | 属性や別の回答で分けて分布を比較すること | 利用歴別に、解約理由の回答を比較する |
| 相関 | 二つの変数が一緒に変化する関係 | 利用頻度と満足度が関連しているかを見る。原因の証明とは分ける |
| 因果 | ある要因が結果を生じさせる関係 | 画面変更が完了率を変えたか、ほかの条件も考えて検証する |
| コーディング | 発言や文章に意味を表すラベルを付けること | 「予定が変わったが減らせなかった」に「数量変更の制約」と付ける |
| アフターコーディング | 回収後の自由回答などを分類すること | 解約理由の自由記述を、内容を確認してカテゴリに整理する |
| インサイト | 行動の背景についての理解や気づき | 「安さ」より「予定変更への対応」が継続判断に関わる可能性を考える |
| 示唆 | 結果から、判断や次の行動に向けて導く論点 | 数量を減らす操作を改善し、利用テストで確かめる |
自由回答に同じ言葉が何回出たかだけで、重要性は決まりません。誰のどの経験か、反対の例はあるかも確認します。割合を報告するときは分母と対象を、解釈を報告するときは元の発言や行動を示しましょう。
指標・顧客理解・可視化で使う用語

顧客の反応を一つの数値にまとめるときは、計算方法と調査条件も確認します。以下も食事の定期宅配サービスを題材にした架空の例です。
| 用語 | 意味 | 実務での使用例 |
|---|---|---|
| NPS(ネットプロモータースコア) | 推奨意向を0〜10点で尋ね、9〜10点の推奨者の割合から0〜6点の批判者の割合を引く指標。7〜8点は中立者 | 有効回答100人のうち推奨者50人、中立者30人、批判者20人なら、50−20=30。得点の理由も尋ね、改善点を確認する |
| セグメンテーション | 顧客や市場を、ニーズ・行動・属性などでグループに分けること | 年齢だけでなく「平日の調理時間を減らしたい人」と「栄養管理を重視する人」に分け、選ぶ理由を比べる |
| 平均・標準偏差 | 平均は値の中心を、標準偏差は平均の周りのばらつきを表す指標 | 1か月の注文回数が平均4回でも、利用者ごとの差が大きいかを併せて確認する |
| 回帰分析 | ある変数と、説明に使う一つ以上の変数との関係をモデル化する分析 | 注文回数と利用期間・世帯人数との関連を検討する。関連が見つかっただけで因果関係とは判断しない |
| データの可視化 | 分布や差、推移をグラフなどで表すこと | 月別の注文回数は折れ線、解約理由の割合は棒グラフで示し、対象期間・分母・複数回答の有無を添える |
NPSの計算方法はBain & Companyの公式解説を参照しています。数値だけで売上や継続利用の原因を断定せず、質問文・対象者・測定時期をそろえて比較します。
調査参加・情報管理で確認する用語

募集や記録の扱いも、依頼側と実施側で意味をそろえておきます。次の表は運用を具体化するための例です。
| 用語 | 意味 | 事前に決める具体例 |
|---|---|---|
| 説明に基づく同意 | 調査の目的や内容を理解したうえで参加を選んでもらうこと | 60分のオンライン対話を録画する目的、誰が閲覧するか、回答しない選択肢、問い合わせ先を募集時と開始時に説明する |
| データの最小化 | 調査目的に必要な情報だけを集め、共有する考え方 | 利用経験を理解する調査で、不要な住所や勤務先名まで質問しない |
| 保存期間・アクセス範囲 | 記録をいつまで、誰が扱えるかの取り決め | 録画は分析担当者だけが閲覧し、報告書では氏名を参加者番号へ置き換える。保存期限と削除担当者も決める |
ICC/Esomarの国際綱領(2025年版)は、自発的な参加、目的の説明、必要な情報への限定などを示しています。参加者番号に置き換えただけで個人を特定できなくなるとは限らないため、引用した経験や属性の組み合わせにも注意します。
対話・共創の現場では、専門用語を経験の言葉へ置き換える

Re-Generationの次の実践は対話・共創の事例です。用語の意味を検証した調査ではありませんが、参加者と前提をそろえる設計を考える参考になります。
SMBC:情報を学んでから未来の利用場面を考える
2024年1月の「第2回Umekita Pot feat.SMBC」では、Web3.0やNFTのレクチャーを受け、2040年の日常を構想するワークショップを実施しました。新しい概念を共有する時間と、参加者が考えを発展させる時間を組み合わせた実践です。

Web3.0やNFTのような言葉を知っていても、想像する利用場面は人によって異なります。調査の依頼側が使う「利用意向」も、対象者に尋ねるときは「どんな場面で使うと思うか」「今の方法と何が変わるか」と具体化します。
三木市:高校生・大学生の視点から地域を考える
三木市の「市制70周年記念 若者ミーティング」では、高校生・大学生が三木金物、山田錦、ゴルフなどの地域資源を切り口に将来のまちを考えました。Re-Generationはワーク設計、レクチャー、市職員への事前説明、進行支援、提案へのフィードバックなどを担いました。

「地域資源」や「関係人口」といった企画側の言葉は、そのまま質問にする必要はありません。「誰かに紹介したい場所」「最近参加した地域の活動」のように経験へ置き換え、回答を分析するときに調査課題へ戻します。
用語を確認したら、調査の条件も一緒に確認する

見積書に「分析込み」と書かれていても、単純集計、属性別比較、解釈、企画会議までのどこを含むかは異なります。言葉の意味と同時に、具体的な成果物と担当範囲を確認してください。
調査の全体像は基本ガイド、見積書の項目は費用の内訳へ進むと、用語を実際の計画に結びつけられます。

マーケティング・商品企画のご担当者へ
知りたいことを、
調査の計画に。
若者の声を商品・サービスや地域の企画へ活かすために、目的の整理から対話・共創、結果の活用までご相談いただけます。
- 目的から調査を設計
- 若者の声を引き出す
- 企画への活用を支援
若者の声を企画につなぐ支援内容・進め方・実践事例をご紹介しています。


