マーケティングリサーチ用語集:初心者にもわかりやすく解説

右近宣人

1999年生まれ 神戸大学 法学部卒業
学生時代、キャリア支援サービスを行う、NPO法人en-courege 9期 本部メンバーとして、事業/組織づくりに携わり、メンバー3700名・会員8万名規模に拡大
2023年6月、学生との面談経験と新規事業開発経験から、若者と企業が繋がる仕組みを創るため、 一般社団法人Re-Generationを設立
大企業・自治体と連携し、全国のZ世代/α世代を対象としたプログ
ラムをはじめ、探究学習デザイナーとしても活動している。

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マーケティングリサーチとは?基本と重要性

マーケティングリサーチの定義

マーケティングリサーチとは、企業が製品やサービスに関する意思決定を行うために不可欠なプロセスです。
具体的には、市場の規模や構造、顧客のニーズや購買行動、競合他社の戦略などを調査・分析し、その結果をマーケティング戦略の策定や改善に役立てます。

マーケティングリサーチは、単なるデータ収集にとどまらず、収集した情報を解釈し、ビジネス上の意思決定に繋げるための洞察を提供します。そのため、統計学的な知識だけでなく、市場や顧客に関する深い理解も求められます。
近年では、デジタル技術の発展に伴い、オンラインでのデータ収集や分析が容易になり、マーケティングリサーチの重要性はますます高まっています。企業は、顧客の行動履歴やソーシャルメディアのデータなどを活用することで、より詳細な顧客プロファイルを構築し、パーソナライズされたマーケティング施策を展開することが可能になりました。

マーケティングリサーチは、企業の成長戦略を支える重要な要素であり、継続的な投資と改善が求められます。

なぜマーケティングリサーチが重要なのか

マーケティングリサーチは、現代のビジネスにおいて、羅針盤のような役割を果たします。市場の動向、顧客のニーズ、競合の動きを正確に把握することで、企業はリスクを最小限に抑え、成功の可能性を最大限に高めることができます。

例えば、新製品を開発する際、マーケティングリサーチを行うことで、ターゲットとなる顧客層のニーズや要望を詳細に把握することができます。その結果、顧客のニーズに合致した製品を開発し、市場での成功率を高めることができます。
また、既存の製品やサービスを改善する場合にも、マーケティングリサーチは有効です。顧客からのフィードバックを収集し、分析することで、改善点や新たなニーズを発見し、顧客満足度を向上させることができます。
さらに、競合他社の動向を常に把握することも重要です。競合の製品戦略、価格戦略、プロモーション戦略などを分析することで、自社の競争力を強化し、市場シェアを拡大することができます。

マーケティングリサーチは、企業のあらゆる意思決定において、客観的なデータに基づいた判断を可能にし、企業の持続的な成長を支える不可欠な要素です。

マーケティングリサーチの種類:定量調査と定性調査

マーケティングリサーチは、その目的や手法によって、大きく定量調査と定性調査の2つに分類されます。

定量調査は、数値データを用いて、市場の規模や構造、顧客の購買行動などを客観的に分析する手法です。アンケート調査や統計分析などが代表的な手法として挙げられます。大規模なサンプルを対象とすることが多く、結果の一般化可能性が高いという特徴があります。
一方、定性調査は、言葉や行動の背後にある心理や動機を探求する手法です。インタビュー調査やグループインタビュー、行動観察などが代表的な手法として挙げられます。少人数のサンプルを対象とすることが多く、結果の一般化可能性は低いものの、顧客の深層心理やニーズを把握するのに適しています。

企業は、マーケティングリサーチの目的に応じて、定量調査と定性調査を適切に使い分けることが重要です。例えば、市場の規模を把握したい場合は定量調査を、顧客のニーズを深く理解したい場合は定性調査を選択するといった具合です。また、両者を組み合わせることで、より包括的な分析を行うことも可能です。

主要なマーケティングリサーチ用語

NPS(ネットプロモータースコア)

NPS(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤルティを測るための指標として、世界中で広く利用されています。

顧客に対して「あなたは、この企業(または製品/サービス)を友人に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問を行い、0から10までの11段階で回答してもらいます。
回答者を、推奨者(9-10点)、中立者(7-8点)、批判者(0-6点)の3つのグループに分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものがNPSとなります。NPSは、-100から+100までの値を取り、数値が高いほど顧客ロイヤルティが高いことを示します。
NPSは、顧客満足度調査とは異なり、顧客の将来の行動を予測するのに役立つと考えられています。高いNPSを獲得している企業は、口コミによる新規顧客の獲得や、既存顧客のリピート購入が期待できます。

NPSは、定期的に測定し、改善活動の効果を検証するために活用されます。また、競合他社との比較や業界平均との比較を行うことで、自社の立ち位置を把握することができます。

セグメンテーション

セグメンテーションとは、市場に存在する顧客を、特定の属性やニーズに基づいてグループ分けするプロセスです。年齢、性別、地域、所得、ライフスタイルなどの人口統計学的変数や、購買履歴、利用頻度、ブランドロイヤルティなどの行動変数、価値観、性格、ライフステージなどの心理学的変数などが、セグメンテーションの基準として用いられます。

セグメンテーションを行うことで、企業は、自社の製品やサービスにとって最適なターゲット顧客を特定し、その顧客層に合わせたマーケティング戦略を展開することができます。
例えば、若年層向けのファッションブランドであれば、年齢やライフスタイルを基準にセグメンテーションを行い、トレンドに敏感な若者層をターゲットとしたプロモーションを展開することができます。

セグメンテーションは、ターゲティング、ポジショニングと並んで、STP分析と呼ばれるマーケティング戦略の基本的なフレームワークの一つです。効果的なセグメンテーションは、マーケティング効率を向上させ、企業の収益向上に貢献します。

デプスインタビュー

デプスインタビューは、インタビュアーが対象者と1対1で、時間をかけて行うインタビュー調査です。構造化されたアンケート調査とは異なり、インタビュアーは、あらかじめ用意された質問項目に沿って質問するだけでなく、対象者の回答に応じて、自由に質問を深掘りすることができます。

デプスインタビューの目的は、対象者の表面的な意見や行動だけでなく、その背景にある動機や感情、価値観などを深く理解することです。そのため、インタビュアーは、対象者との信頼関係を築き、本音を引き出すためのコミュニケーションスキルが求められます。
デプスインタビューは、新製品のコンセプト開発、広告クリエイティブの評価、顧客満足度調査など、さまざまなマーケティングリサーチの場面で活用されます。特に、顧客のニーズやインサイトを深く理解したい場合に有効な手法です。

デプスインタビューの結果は、定量調査の結果と組み合わせて分析することで、より深い洞察を得ることができます。

マーケティングリサーチにおけるデータ分析の基礎

データの種類と分析手法

マーケティングリサーチで扱うデータは多岐に渡ります。大きく分けると、定量データと定性データがあり、それぞれに適した分析手法が存在します。

定量データは、数値で表されるデータであり、アンケートの回答結果、売上データ、アクセスログなどが該当します。定量データの分析には、統計学的な手法が用いられます。例えば、平均値や標準偏差を算出したり、相関関係や回帰分析を行ったりすることで、データの傾向やパターンを明らかにすることができます。
一方、定性データは、数値で表すことが難しいデータであり、インタビューの記録、自由記述の回答、ソーシャルメディアの投稿などが該当します。定性データの分析には、テキストマイニングやコンテンツ分析などの手法が用いられます。これらの手法を用いることで、データの意味内容を抽出し、パターンやテーマを明らかにすることができます。

マーケティングリサーチでは、目的に応じて適切な種類のデータを選択し、適切な分析手法を用いることが重要です。また、定量データと定性データを組み合わせることで、より深く多角的な分析を行うことができます。

データ分析ツールの活用

データ分析ツールは、マーケティングリサーチャーにとって、強力な武器となります。Excelのような汎用的なツールから、SPSSやSASのような高度な統計解析専用のツール、TableauやPowerBIのようなデータ可視化に特化したツールまで、様々な種類のツールが存在します。

Excelは、基本的なデータ分析やグラフ作成に便利なツールです。データの集計や簡単な統計分析、グラフ作成など、幅広い用途に利用できます。
SPSSやSASは、高度な統計解析を行うためのツールです。回帰分析、因子分析、クラスター分析など、複雑な分析を行うことができます。これらのツールは、専門的な知識が必要となりますが、より詳細な分析を行うことで、深い洞察を得ることができます。
TableauやPowerBIは、データを可視化するためのツールです。グラフやチャートをインタラクティブに作成し、データの傾向やパターンをわかりやすく表現することができます。これらのツールは、分析結果を共有したり、プレゼンテーションで使用したりする際に便利です。

データ分析ツールを効果的に活用することで、分析作業の効率化、分析の質の向上、分析結果の共有などが可能になります。

データの可視化

データの可視化とは、分析結果をグラフやチャートなどの視覚的な表現に変換することです。数値データやテキストデータだけではわかりにくいデータの傾向やパターンを、視覚的に捉えやすくすることで、より深い理解を促し、効果的な意思決定を支援します。

例えば、売上データの推移を折れ線グラフで表示したり、顧客属性の分布を円グラフで表示したり、地域ごとの売上高を地図上に色分けして表示したりすることで、データの傾向やパターンを一目で把握することができます。
データの可視化は、分析結果を共有する際にも有効です。グラフやチャートを用いることで、専門知識を持たない人にも、分析結果をわかりやすく伝えることができます。

データの可視化ツールは、Tableau、Power BI、Google DataStudioなど、様々な種類があります。これらのツールを活用することで、簡単に高品質なグラフやチャートを作成することができます。

マーケティングリサーチの倫理と注意点

個人情報の保護

マーケティングリサーチにおいて、個人情報の保護は最重要課題の一つです。個人情報保護法をはじめとする関連法規を遵守し、個人情報の取得、利用、管理、廃棄において適切な措置を講じる必要があります。

個人情報を取得する際には、利用目的を明確にし、本人から同意を得ることが原則です。また、取得した個人情報は、安全に管理し、漏洩、紛失、改ざんなどを防止するための対策を講じる必要があります。
個人情報を第三者に提供する場合には、本人の同意を得るか、法令に基づく手続きを行う必要があります。また、個人情報の利用目的を達成した後は、速やかに廃棄することが望ましいです。
近年、個人情報保護に対する意識が高まっており、企業が個人情報保護を適切に行わない場合、法的責任を問われるだけでなく、社会的な信頼を失う可能性があります。

マーケティングリサーチャーは、常に個人情報保護に関する最新の情報を収集し、適切な対応を行う必要があります。

バイアスの排除

マーケティングリサーチの結果は、意思決定の根拠となるため、バイアスの影響を排除し、客観的なデータを得ることが非常に重要です。

調査設計におけるバイアスとは、質問の仕方や選択肢の提示方法によって、回答者の回答が偏ってしまうことです。例えば、誘導的な質問をしたり、特定の回答を促すような選択肢を用意したりすると、回答者の回答が偏ってしまう可能性があります。
データ分析におけるバイアスとは、分析手法の選択や解釈によって、結果が偏ってしまうことです。例えば、特定のグループに有利な分析手法を選択したり、都合の良い解釈をしたりすると、客観的な結果が得られません。

バイアスを排除するためには、調査設計やデータ分析において、客観的な視点を持ち、偏りのない方法を用いることが重要です。また、複数の担当者で結果を検証したり、第三者の意見を聞いたりすることで、バイアスを軽減することができます。

調査対象者への配慮

マーケティングリサーチは、調査対象者の協力なしには成り立ちません。調査対象者への配慮は、倫理的な観点からも、調査の質を高める上でも、非常に重要です。

調査対象者には、調査の目的、内容、所要時間などを事前に明確に説明し、参加の自由意思を尊重する必要があります。また、回答内容の秘密保持を約束し、個人情報が適切に保護されることを保証する必要があります。
調査への参加に際して、謝礼やインセンティブを提供する場合は、その金額や内容を事前に明確に提示する必要があります。ただし、謝礼やインセンティブが過剰な場合、回答に影響を与える可能性があるため、適切な範囲で設定する必要があります。

調査対象者の負担を軽減するために、調査時間を短縮したり、回答しやすい質問形式を採用したりすることも重要です。また、調査後には、参加への感謝の意を伝え、結果の一部を共有するなど、誠実な対応を心がける必要があります。

まとめ:マーケティングリサーチ用語を理解し、ビジネスに活かそう

用語の理解から実践へ

この記事では、マーケティングリサーチの基本的な用語について解説しました。NPS、セグメンテーション、デプスインタビューなど、これらの用語は、マーケティングリサーチの現場で頻繁に使用されるものです。これらの用語を理解することで、リサーチ結果の解釈や戦略立案がよりスムーズに行えるようになります。

マーケティングリサーチは、単なる知識ではありません。実際に調査を企画し、実施し、分析することで、その真価を発揮します。学んだ用語を、実際のビジネスシーンで活用し、成果に繋げていきましょう。
例えば、新製品のコンセプトを評価するためにデプスインタビューを実施したり、顧客満足度を向上させるためにNPS調査を実施したりするなど、具体的なアクションプランを立て、実行することが重要です。

マーケティングリサーチは、企業の成長を加速させるための強力なツールです。用語を理解し、実践に活かすことで、ビジネスの成功に大きく貢献することができます。

さらなる学習のために

マーケティングリサーチの世界は常に進化しており、新しい手法やツールが次々と登場しています。そのため、一度用語を理解しただけで満足せず、継続的に学習することが重要です。

書籍やオンラインコースを活用したり、セミナーや勉強会に参加したりすることで、最新の知識やスキルを習得することができます。また、マーケティングリサーチに関するニュースやブログを定期的にチェックすることも、情報収集の有効な手段です。
さらに、実際にマーケティングリサーチのプロジェクトに参加したり、自分で調査を企画・実施したりすることで、実践的なスキルを磨くことができます。経験豊富なマーケティングリサーチャーからアドバイスを受けたり、フィードバックをもらったりすることも、成長の糧となります。

継続的な学習と実践を通じて、マーケティングリサーチのプロフェッショナルを目指しましょう。

実践的な活用例

マーケティングリサーチは、企業の様々な活動において活用できます。

新製品開発においては、顧客のニーズや潜在的な不満を把握するために、デプスインタビューやアンケート調査が用いられます。これらの調査結果を基に、製品のコンセプトや機能を決定し、顧客の期待に応える製品を開発することができます。
広告効果測定においては、広告を見た人のブランド認知度や購買意向の変化を測定するために、アンケート調査やアクセスログ分析が用いられます。これらの測定結果を基に、広告の効果を検証し、改善策を講じることができます。
顧客満足度向上においては、顧客の満足度や不満点を把握するために、NPS調査や顧客アンケートが用いられます。これらの調査結果を基に、顧客満足度を向上させるための施策を実行し、顧客ロイヤルティを高めることができます。

これらの活用例はほんの一例であり、マーケティングリサーチは、企業のあらゆる活動において、意思決定を支援し、成果を向上させるために役立ちます。

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