Z世代の調査データの読み方|調査レポートを比較する6つの確認点

Z世代の調査データの読み方|調査レポートを比較する6つの確認点を表現した人物と道具のイラスト

Z世代の調査データは、見出しや割合だけでなく、いつ、誰に、何を、どう聞いた結果かを確認して使います。同じ「Z世代調査」でも、対象年齢、参加者の集め方、商品カテゴリー、質問文が違えば、数字の意味も変わります。

本稿は、すでに公表された調査レポートを読む担当者に向けた記事です。調査を自分で実施する手順は別記事に分け、外部データを企画の根拠として使う際の六つの確認点を、実際の一次資料で説明します。

一般社団法人Re-Generation 代表理事 右近宣人

この記事の筆者

右近 宣人 Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|若者との対話・共創

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として、脱炭素や社会課題領域の新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

NEC、SMBC、ロート製薬などとの取り組みを通じて、若者が自身の経験や価値観を言葉にし、企業と未来の社会・暮らしを考える対話や共創の場を企画・運営している。本記事では、これらの実践を踏まえて、公表調査の条件を確かめ、自社の問いにつなぐ読み方を解説する。

代表・右近宣人の想いと、リジェネレーションの歩みを知る →

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

調査データの先にある、
若者の経験を知る。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

コンテンツ

確認1:公表日と調査実施日を分けて読む

新しい記事でも、調査時期を確認。公表日:いつ公開されたか、実施日:いつ回答を集めたか、利用場面:今の判断に合うか。
新しい記事でも、調査時期を確認。画像をタップすると拡大できます。

最初に見るのは、記事の更新日だけでなく、回答を集めた時期です。生活環境、商品、媒体の使われ方が変わっている場合、過去の調査は当時の状況を理解する資料として使い、現在の判断へそのまま当てはめないようにします。

たとえば、GMO NIKKOが2026年3月に公表した4カテゴリーの調査は、基礎化粧品が2025年12月、お茶飲料・菓子・アパレルが2026年1〜2月に実施されています。公表日が同じでも、すべての回答を同じ日に集めたわけではありません。一次資料:調査概要。

社内で使うときは「2026年のZ世代データ」とだけ書かず、実施時期と対象商品を添えます。季節や学校行事、販売状況の影響が考えられるテーマなら、自社が企画する時期との違いも確認しましょう。

確認2:「Z世代」の範囲と、対象者・人数を確かめる

誰の回答かを、調査ごとに確認。年齢・属性:対象の範囲、人数:全体と各集団、募集:どこから集まったか。
誰の回答かを、調査ごとに確認。画像をタップすると拡大できます。

Z世代の区分は資料ごとに異なります。調査概要の年齢、居住地域、学生・就業者などの条件を先に読み、自社が知りたい人と重なる範囲を確認します。人数も、全体の人数と特定の図表の対象人数を区別してください。

一次資料の例対象・人数の確認点
サイバーエージェント「2025年Z世代のSNS利用率」全国17〜60歳の2,884サンプルのうち、Z世代17〜28歳は1,236サンプル。インターネット調査。
GMO NIKKOの4カテゴリー調査国内16〜28歳を対象。基礎化粧品210名は女性のみ、他の各回は500名。1,710名は各回の人数の合計。

出典:サイバーエージェントの調査概要、GMO NIKKOの調査概要。どちらも同じ年齢範囲・同じ設問を使った調査ではないため、結果を単純に足したり平均したりしません。

リジェネレーションの実践 / NEC

参加の場から得た声は、その場の条件と一緒に読む

NECとリジェネレーションによる未来社会を考えるワークショップ
NECとの取り組み。実施レポート

2024年9〜10月、リジェネレーションはNECと、関西・九州・東北で「2030年の自分と未来社会」を考えるプログラムを実施しました。参加者は自身の経験や価値観を言葉にし、社会課題を探索したうえで未来の社会像を構想しました。

この実践から考えること(筆者の考察)
NECとのプログラムは、経験や価値観を言語化して未来社会を考える実践です。そこで得られる考えを読む際も、誰がどのように参加し、何を学び、どんな問いに答えたかが重要になります。ワークショップの参加者の声を、世代全体の比率へ読み替えることはできません。

確認3:質問文と選択肢から、数字が表すものを読む

似た言葉でも、測る内容は違う。利用:使っているか、意向:使いたいか、行動:実際に何をしたか。
似た言葉でも、測る内容は違う。画像をタップすると拡大できます。

「使っている」「知っている」「使いたい」「購入した」は異なる内容です。調査の見出しを読むだけでなく、質問文と選択肢を確認すると、数字が何を表しているかを見極められます。

サイバーエージェントの2025年SNS調査では、「使っている」などの選択肢を示した設問が公表されています。この回答から分かるのは、その設問に対する利用状況であり、毎日の利用時間、広告接触、商品購入への寄与までを直接示すものではありません。一次資料:設問と調査手法。

質問文が掲載されていない場合は、資料に書かれた範囲で説明し、推測した設問を補いません。担当者への確認や詳細資料が必要な項目として残します。また、質問の前に商品説明や動画を見せたかによって、回答の条件が変わる点も意識します。

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

調査データの先にある、
若者の経験を知る。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

確認4:割合の分母と、複数回答・集計方法を見る

割合には、必ず分母がある。分母:誰を100%としたか、回答方法:一つか、複数か、集計:重み付け等の条件。
割合には、必ず分母がある。画像をタップすると拡大できます。

「半数が支持した」という結果でも、全回答者の半数なのか、商品を知っている人だけの半数なのかで意味が変わります。グラフの見出しに加え、対象者数、注記、集計条件を確認してください。

説明用の架空例読み取れること
全回答者100人のうち40人が利用この回答者全体では40%が利用。
利用者40人のうち20人が継続意向あり利用者の50%。全回答者の50%ではない。
複数回答でAが60%、Bが50%同じ人がAとBの両方を選べるため、合計が100%を超えても直ちに誤りではない。

表は計算と読み方を説明するための架空例で、実際のZ世代調査ではありません。集団別の回答数が異なる場合は、割合だけでなく人数も併せて確認します。小さい集団の差を過度に強調しないようにします。

公表資料に重み付けなどの調整が記載されていれば、その条件も記録します。手元の人数だけから公表割合を再現できるとは限りません。調整方法が分からない場合は、不明としたまま使う範囲を判断します。

確認5:世代比較・前年比較は、同じ条件かを点検する

差がある理由を、一つに決めない。年齢:人生段階の違い、時期:その年の環境、条件:対象・設問の違い。
差がある理由を、一つに決めない。画像をタップすると拡大できます。

若い人と年上の人の回答が違っても、すべてを世代固有の特徴と説明できるわけではありません。年齢や生活段階、調査時期、商品との関係が違う可能性があります。Pew Research Centerは、世代比較で年齢の影響を考慮し、同じ人生段階を比較できる歴史的データを重視しています。一次資料:世代研究の方針。

前年との比較では、対象年齢、地域、募集方法、質問文、選択肢、集計方法が同じかを確認します。数字が動いた理由を、生活者の変化だけに求めず、調査条件の変更も点検してください。

  • 同じ人を追跡したのか、毎回別の回答者を集めたのか。
  • 対象年齢や属性の構成はそろっているか。
  • 質問文・選択肢・調査方法に変更はないか。
  • 表示された差の大きさを、人数や調査条件と合わせて読んでいるか。

比較できない項目は無理に一つのグラフへまとめず、別の調査として並べて紹介します。結論が違う調査も、対象や聞き方が違えば矛盾とは限りません。

確認6:外部データを、自社で確かめる問いへ変える

資料の結論を、自社の問いへつなぐ。事実:資料で確認したこと、適合:自社との共通点・差、次の問い:追加で確かめること。
資料の結論を、自社の問いへつなぐ。画像をタップすると拡大できます。

外部調査は、企画の答えをそのまま決めるものではなく、見落としていた違いや検証する論点を見つける材料です。「資料で分かったこと」「自社にも当てはまりそうな理由」「まだ分からないこと」を分けると、次の調査や施策につなげやすくなります。

リジェネレーションの実践 / SMBC・HashPort・U-FINO

外から得た知識を、本人の暮らしと結び直す

SMBCなどと実施した未来の暮らしを考えるプログラム
SMBC・HashPort・U-FINOとの取り組み。実施レポート

2024年1月の「第2回Umekita Pot feat.SMBC」では、SMBC、HashPort、U-FINOとリジェネレーションが、Web3・NFTを切り口に未来の暮らしを考える機会をつくりました。参加者は現在の一日を振り返り、2040年の生活をチームで構想し、発表とフィードバックを行いました。

この実践から考えること(筆者の考察)
専門テーマのレクチャーと、現在の生活を振り返る構成は、外部情報をそのまま結論にせず、本人の経験と結び直す考え方の参考になります。調査レポートを使う場合も、資料にある傾向が自社の対象者のどの場面で表れるかを、具体的な経験から確かめます。

社内共有メモ記入する内容
出典と時期元のURL、公表日、調査実施日
対象と方法年齢、地域、条件、人数、募集・調査方法
確認できた内容質問文と対応する結果、集計上の注記
自社への示唆共通する条件と、違う条件
未確認・次の一手追加で聞くこと、試す施策、判断する担当

自社で調査を実施する段階に進む場合はZ世代リサーチの進め方へ、事業課題と施策の整理はZ世代マーケティング戦略の記事へ進んでください。外部データの示唆を若者との対話や共創へつなげる相談は、リジェネレーションの支援内容をご覧いただけます。

NECとリジェネレーションのワークショップ参加者
NECとのワークショップの様子

商品企画・マーケティングのご担当者へ

調査データの先にある、
若者の経験を知る。

若者の経験や価値観を知り、商品・サービスの仮説を深める調査と共創を支援します。問いの整理から、参加者との接点づくり、対話・アイデアの具体化までご相談ください。

  • 問いと対象者を整理
  • 経験や価値観を深掘り
  • 次の企画・検証へ

支援範囲・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

コンテンツ