【山口県×Re-Generation】「やまぐち未来環境アクション学生プログラム」DAY2を開催|美祢・秋吉台を巡り、資源・産業・自然のつながりから持続可能な未来を考える

秋吉台でフィールドワークに参加する学生たち

8月22日、「やまぐち未来環境アクション学生プログラム」のDAY2を、
美祢・秋吉台を舞台に開催しました。

ワークシートを使って対話する参加者

本プログラムは、山口県が主催し、一般社団法人Re-Generationが事務局を務める、
高校生・大学生等を対象とした次世代環境リーダー育成プログラムです。

気候変動や脱炭素、山口県の地域課題について学ぶだけでなく、フィールドワークや企業との対話を通じて、自分自身の興味・関心を深堀りし、仲間とともに脱炭素社会の実現に向けたアクションへとつなげていきます。

「やまぐち未来環境アクション学生プログラム」特設サイトはこちら

8月2日に開催したDAY1キックオフセッション(導入研修会)では、山口県、環境省中国四国環境局、エシカルバンブー株式会社から気候変動や脱炭素について多面的に学ぶとともに、「環境自分ごと化ワークショップ」を通じて、自分の日常生活の行動と環境とのつながりを考えました。

DAY1開催レポートはこちら

DAY2・DAY3フィールドワークは「志合宿」として、自分たちの目で山口の「環境」と「歴史」を確かめます。

志合宿のテーマは、

「山口の“環境”と“歴史”を知り、未来の“志”へ」

環境・地域・事例について地元の方の声を聞き、仲間との対話を通じて、
今後企業とともに取り組むプロジェクトテーマを具体化!

秋吉台での集合写真
コンテンツ

なぜ、DAY2の舞台を「美祢・秋吉台」にしたのか

志合宿の1日目(DAY2)のテーマは「環境」です。

美祢には、かつて地域の発展を支えた石炭と、現在も地域産業を支えている石灰石、そして日本を代表するカルスト台地である秋吉台があります。

つまり、

1つの地域の「資源によって地域が発展してきた歴史」から「資源を利用する現在の産業」、そして「自然を将来へ残していくための環境保全」を、体験することができます。

当日は、美祢市役所から大嶺炭田(過去のエネルギー・地域社会の変革)、UBE三菱セメント株式会社山口工場伊佐地区(現在の基幹産業)、Mine秋吉台ジオパーク(環境保全)へと移動することで、環境問題に対するアクションが「自然を守る」だけではなく、産業・経済・暮らし・地域社会につながることを気づく設計にしました。

美祢市役所前のSLからスタート。「資源がまちをつくった」歴史を知る

最初に訪れたのは、美祢市役所前に保存されているSLです。

ここを最初のポイントとしたのは、この後巡る大嶺炭田を「炭鉱の跡」として見るのではなく、石炭という資源が交通や産業、地域の発展そのものを生み出していたことに気づいてもらうためです。

石炭を採掘するだけでは、地域産業は成立しません。

石炭を採掘する人が集まれば、住宅や商店が必要になり、そこに人々の暮らしが生まれ、さらに、採掘した石炭を運ぶために鉄道や道路も整備されていきます。

この後に巡る炭田跡を見る前に、「一つの資源が地域全体を動かしていた」という視点を持つことで、参加者が一つひとつの場所をつながったストーリーとして見ることができます。

美祢市役所前のSLを背景にした集合写真

Mine秋吉台ジオパークのガイドと巡る、大嶺炭田の歴史

続いて、大嶺炭田跡を巡るフィールドワークを実施しました。

《巡ったスポット》

「海軍キーストーンモニュメント」
「荒川水平坑跡」
「山陽無煙白岩住宅跡」
「桃ノ木露天掘り跡」
「豊浦山神社」

ガイドの方から、その土地に残る遺構だけでなく、炭田が栄えていた当時の人々の仕事や暮らし、地域の変化などの話を聞きながら巡り、地域に根ざした学びとなりました。

海軍キーストーンモニュメント|石炭が「国家のエネルギー」だった時代を知る

出発点は、「海軍キーストーンモニュメント」です。

キーストーンとは、坑道入口の上部に設けられる石のこと。ここには、大嶺炭田が海軍直営であった時代を伝えるキーストーンが保存されています。

この場所を最初に訪れることで、石炭を単なる地下資源ではなく、当時の日本の産業や国家を支える重要なエネルギーだったことから捉えました。

現在では身近に見る機会の少ない石炭ですが、かつては社会や産業のあり方を大きく左右する資源でした。

「その時代に必要とされた資源が、地域の役割を決めていく」ことを学びました。

荒川水平坑跡|「炭鉱で働く」を、実際の坑道から体感する

次に訪れたのが「荒川水平坑跡」です。
炭鉱を外から眺めるのではなく、実際に人が働いていた空間へ入り、採掘という仕事を理解します。

ここでは、明治期につくられた坑道の内部に入り、当時使われていた道具や、石炭を運搬する炭車などを見学しました。

参加者からも、「普通は入れないところに入り、実際に使用していた道具を見ることができた」という声がありました。

「石炭があった」という知識から、「ここで人が働き、石炭を掘り、地域を支えていた」という実感を持つことができ、フィールドワークならではの体験となりました。

山陽無煙白岩住宅跡|産業がなくなった後、地域に何を残すのか

次に訪れた「山陽無煙白岩住宅跡」は、炭鉱で働く人々の集合住宅があった場所です。

この場所のポイントは、「炭鉱が栄えていた時代」を見るだけではありません。

現在は、かつて炭鉱住宅が存在した土地が太陽光発電など、新しい用途へと転換されている姿を見ることができ、「かつて石炭産業を支えた土地や施設を、次の時代にどのように活用するのか」を考えるきっかけになりました。

実際、その後の振り返りでも「使われなくなった施設を別の用途に転用する」という視点が複数のチームから出ており、現地で見た事例がアイデアへとつながっていました。

桃ノ木露天掘り跡|エネルギー産業の変化を「地層」から見る

続いて訪れたのは「桃ノ木露天掘り跡」です。

ここは、大嶺炭田の中でも後期に採掘された場所で、大型重機の発展によって、地下に坑道を掘るのではなく、地表から大規模に掘削する「露天掘り」が行われていました。

採掘によって露出した地層や石炭を含む岩石を見ることを通じ、「露天掘りによる大規模採掘」と、「露出した地層」の両方を学ぶことができました。

参加者からも、

「知識として知っていたことを実際に感じることが多く、とても感動した」

「実際に土地を踏みしめる経験ができたのがよかった」

という声が寄せられました。

豊浦山神社|資源の歴史から、「そこで暮らした人」へ視点を広げる

最後に訪れたのは、「豊浦山神社」です。

ここまで、石炭、坑道、住宅、採掘方法などを見てきました。最後に神社を訪れることで、視点を「産業」からそこで働き、生活していた人々へと視野を広げました。

炭田は、資源を掘るための施設だけで成り立っていたわけではありません。
働く人とその家族が暮らし、地域の文化やコミュニティがつくられていました。

炭田跡を巡ることが「昔の産業を見るツアー」ではなく、一つの産業が地域社会そのものをどのようにつくったのかを見るツアーでもあることを改めて認識しました。

「過去の石炭」から「現在の石灰石」へ。産業の主役の変化を見る

炭田を巡った後は、秋吉台方面へ移動。

途中、UBE三菱セメント株式会社山口工場伊佐地区・伊佐鉱山周辺を通りながら、現代の美祢を支える石灰石産業(セメント産業)へ視点を移しました。

ここで大切なのは、

「石炭は昔の資源、石灰石は今の資源」

という単純な比較だけではなく、時代によって求められる資源や産業が変わり、それに合わせて地域の役割も変わっていくことです。

大嶺炭田を見た直後に現在進行形の石灰石産業を見ることで、
参加者は「地域資源を使って発展すること」について、過去と現在の両方から考えました。

秋吉台・Karstar|「使う」と「守る」が共存する場所から考える

DAY2最後のフィールドは秋吉台です。

なぜ、石灰石産業を見た後に秋吉台を訪れるのか。

そこにDAY2の大きな問いがあります。

目の前に広がる美しいカルスト台地が石灰岩からできている一方で、
地域の産業を支えている資源も、同じ石灰石であることが紹介されました。

つまり同じ地域の同じ資源に、「使う価値」と「守る価値」の両方があります。

参加者からも、

「同じ石灰岩でも、消費と保全が存在していること」

「観光地と石灰掘削所という双方を、単純に善悪で分けられないと感じた」

という声が生まれました。

自然を利用しながら、どう次の世代へ残していくのか。
DAY2の最後に、参加者は簡単には答えの出ない問いと向き合いました。

現地での気づきを「未来へのヒント」へ

フィールドワーク中は、「フィールドワーク学習最大化シート」を活用しました。

「見たもの・聞いたこと」を書くだけでなく、

「なぜ気になったのか」
「脱炭素社会に向けて何ができそうか」
「チームメンバーは何を感じているか」

まで記録します。

参加者からは、

「炭田についてMinecraftとコラボしたら面白そう」

「エンタメを武器にアクションを起こせそう」

「セメントをブランド化するアイデアが面白そう」

など、現場から未来を考えるアイデアが生まれました。
DAY1で見つけた「自分の興味」が、DAY2では具体的な地域の課題や可能性と結びつき始めました。

参加者の声

DAY2終了後のアンケートでは、現地へ実際に足を運び、普段見ることのできない場所を体験できたことを評価する声が多く寄せられました。

「山口の現役の石灰と、今は引退している炭田の双方を、それぞれの観点をもって体感できました」

「現場を体感して、明治時代に栄えた資源と工業の視点から、持続可能な社会を形成するためのヒントを学ぶことができました」

「昔と今の資源に対する考え方の違いと共通点を学ぶことができました」

「住んでいる人、ガイドさんの説明や考えを聞けたことがよかったです」

参加者の回答を見ると、単に「知らなかったことを知った」だけではなく、
過去と現在、利用と保全といった複数の視点から地域を見る変化が生まれていました。

DAY3は萩へ。「資源」から「人の志」へ

DAY2終了後、参加者は萩セミナーハウスへ移動しました。

翌日のDAY3では、DAY2の「地域を動かしてきた資源」から視点を変え、「地域や社会を動かした人」に焦点を当てます。

なぜ山口から、社会を変える多くの人材が生まれたのか。
彼らは何を考え、どのように行動したのか。
そして、自分たちはこれから何を大切にして行動するのか。

「環境」を知るDAY2から、「歴史」を考えるDAY3へと続きます。

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