子どもが参加するまちづくり|意見を聴き、反映し、結果を返すワークショップ設計

子どもが参加するまちづくり。意見を聴き、反映し、結果を返すを示す説明用イラスト

子どもの意見を聴くワークショップは、開催して終わりではありません。目的を伝え、参加しやすい方法を選び、意見を記録し、検討した結果と理由を子どもへ返すところまでが一つの流れです。

この記事では、こども家庭庁の「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」第2版を参照し、自治体や地域団体がまちづくりの場を設計するときの考え方を整理します。一般社団法人リジェネレーションが関わった2つの実例も、確認できる事実と応用案を分けて紹介します。

この記事でわかること
  • 子どもの意見を聴く目的と、参加しやすい方法の選び方
  • 意見の記録、検討、結果を返すまでの設計
  • 安全・個人情報・写真の扱いを含む事前確認
  • 実例を自治体・地域の企画へ応用するときの注意点

自治体・地域団体・教育機関のご担当者へ

子どもの声を、地域の検討につなぐ場をつくる。

対象年齢、テーマ、地域の条件に合わせて、対話・フィールドワーク・提案・結果の返答まで設計します。

コンテンツ

子ども参加のまちづくりとは何か、意見を聴く目的

子どもの意見を目的、対話、判断へつなぐ流れを示したイラスト
目的を伝え、意見を聴き、判断へつなぐ。 作成:一般社団法人リジェネレーション

子どもが参加するまちづくりは、地域の使い方や困りごとを子どもと一緒に考え、判断へつなげる取組です。最初に「何を決めるために意見を聴くのか」を具体的にします。

こども家庭庁のガイドラインは、行政職員がこども・若者の意見を政策に反映する際の工夫を示しています。本記事では、その考え方を参照しながら、地域のワークショップで使える企画例を提案します。行政の指針と、個々の民間企画の運営条件は分けて確かめます。

年齢・背景・参加しやすさに合わせた方法を選ぶ

絵、地図、対話など複数の参加方法を示したイラスト
参加者に合う表現方法を複数用意する。 作成:一般社団法人リジェネレーション

方法を選ぶときは、集めたい意見と、参加者が表現しやすい手段を組み合わせます。以下は実施例の報告ではなく、企画を検討するための例です。

例えば公園の使い方を考えるなら、地図に好きな場所と困る場所を示す方法があります。絵、短いメモ、対話から選べるようにすると、発表が得意な参加者の意見だけに偏っていないかを振り返れます。会場まで来にくい人には、別の日時や方法で参加できるかも検討します。

テーマ、説明、意見の記録、任意参加を含む事前設計

テーマ、記録、任意参加、返答時期を確認する事前設計のイラスト
開催前に、意見の使い道と返答まで決める。 作成:一般社団法人リジェネレーション

事前設計では、テーマと使い道、記録の方法、判断する担当者、結果を知らせる時期を一つの流れにします。「自由に考えてください」だけでなく、変えられる部分と、現時点では変えられない条件を説明すると、提案を考えやすくなります。

本記事の企画例では、募集案内に目的、活動内容、参加方法、記録する情報、写真の扱い、問い合わせ先をまとめます。当日は説明を読んだかだけで判断せず、分からない点を尋ねられる時間を取ります。保護者への案内や同意の要否は、主催者の規程と参加条件を確認して確定します。

歩く・描く・対話する等のワークショップの流れ

歩く、描く、対話する、提案する流れを示したイラスト
地域を見て、表現し、対話し、提案へ進む。 作成:一般社団法人リジェネレーション

ワークショップの流れは、地域を観察して感じたことを共有し、その理由を確かめて提案へつなぐ順序で組み立てます。歩く活動を入れる場合は、経路、引率、天候、休憩場所等の条件を先に確認します。

公園を題材にした企画例なら、①使ってみたい場所を地図で選ぶ、②利用する場面と困る場面を絵や言葉にする、③異なる意見を並べる、④試してみたい改善案を選ぶ、という流れが考えられます。「ベンチがほしい」という要望には、「誰が、いつ、何のために座るのか」を尋ねると、設置場所や別の方法も検討できます。

まちづくりワークショップの進め方と120分の進行例を見る →

子どもが参加する場には、まちへの提案を考える場と、地域の文化に触れる場があります。どちらも参加の入口になりますが、体験を開催したことだけで行政の意思決定に意見が反映されたとは言えません。こども家庭庁の意見の政策反映に向けたガイドラインは、2026年5月29日改定の第2版を現行として掲載しています。企画の目的に応じて、意見をどこへ届け、誰がどう検討するかを別に設計します。

自治体・地域団体・教育機関のご担当者へ

参加体験と、意見を反映する仕組みを一緒に設計します。

ワークショップ当日の進行に加え、募集、記録、関係部署への引き継ぎ、参加者への返答までご相談いただけます。

CASE 01 / 三木市 / 地域資源を若者の問いへ

若者ミーティング
調べる・提案する・フィードバックを受ける

三木若者ミーティングで地域資源の説明を聞く参加者
2023年8月〜2024年7月に実施した三木市の若者ミーティング。出典:一般社団法人リジェネレーションの実施レポート。

三木市の市制70周年記念事業では、市内の高校生・大学生が、地域資源を調べて将来のまちの提案を考えました。一般社団法人リジェネレーションは、ワーク設計、職員への事前レクチャー、当日の進行支援、アウトプットへのフィードバックなどを担当しました。

高校生の身近な言葉から問いを始め、現場の人に話を聞き、発表に対する講評を受ける流れを組みました。確認できるのは、調査・対話・提案・フィードバックを実施したことです。提案すべてが政策に採用されたという成果としては扱いません。

このテーマへ活かすなら

企画では、子どもの日常の困りごとから問いをつくり、検討結果を返す担当者と時期を先に決める方法へ応用できます。本事例の主な参加者は高校生・大学生です。小学生向けには、資料の言葉、活動時間、表現手段を別に設計する必要があります。

CASE 02 / 土佐和紙 / 体験を地域への関心の入口へ

親子の土佐和紙づくり
説明をものづくり体験につなぐ

和紙づくりの道具を使い、花を飾った和紙を仕上げる参加者
2024年4月4日・5日、ららぽーと甲子園で開催した土佐和紙作り体験。出典:一般社団法人リジェネレーションの実施レポート。

井上手漉き工房が、ららぽーと甲子園で親子向けの土佐和紙作り体験を開催しました。一般社団法人リジェネレーションは、開催までの企画、会場との調整、レイアウトや広告のデザイン、当日の運営などを支援しました。

和紙の製造工程を子どもにも理解しやすい物語にし、説明から実際のものづくりへつなげました。これは地域の伝統文化に触れる体験の実施例です。子どもの意見が都市計画や行政の意思決定に反映された実績としては扱いません。

このテーマへ活かすなら

地域を知る入口では、言葉だけで説明せず、素材に触れる、つくる、気づいたことを絵や短い言葉にする方法が考えられます。その後に地域への提案を聴くなら、意見の使い道と検討する担当を別に定めます。ここで示す方法は本記事の応用案です。

まちづくりワークショップ7事例の比較を見る →

意見を整理し、反映の可否と理由を子どもに返す

意見、検討、判断、理由の返答を循環させるイラスト
採用の可否だけでなく、検討過程と理由を返す。 作成:一般社団法人リジェネレーション

意見を聴いた後は、何を検討し、どう判断したかを参加者に返します。公式ガイドラインは、主な意見、反映結果、反映しない場合の理由を、読みやすい形で伝えることを示しています。

本記事の企画例では、意見ごとに「提案の内容/確認した条件/判断したこと/次の確認」を記録します。まだ決まらない提案には、検討中であることと次に伝える時期を示します。判断を知らせる担当者をあらかじめ決めておけば、開催報告の作成だけで取組が終わることを防ぎやすくなります。

子どもに返す結果の説明を、企画の最初に用意する

意見を聴いた後の説明まで、開催前の計画に含めます。集まった意見のうち、どこに届けるか、誰が検討するか、いつ結果を返すかを、参加者が理解できる言葉で伝えましょう。すぐに判断できない提案は、検討中である理由と次に確認する時期を知らせる形も考えられます。実現できると決まっていない約束はしません。

結果を返す際は、採用の有無だけでなく、意見をどのように受け止め、何を検討したかを説明します。文書、図、対話の場など、参加者の年齢や参加方法に合わせた伝え方を用意します。ここで示すのは企画設計の例です。実際の運営では、公式ガイドライン、主催者の方針、保護者への説明、個人情報と安全の扱いを確認したうえで、必要な手続きを決めてください。

  • 意見を届ける先・検討担当・結果を返す時期を決める
  • 採用の可否だけでなく検討過程と理由を伝える
  • 実現が未確定の提案を約束に変えない

安全と情報の扱いを、開催前に確認する

安全、個人情報、写真、相談先を事前に確認するイラスト
安全と情報の扱いを、募集前に確認する。 作成:一般社団法人リジェネレーション

公式ガイドラインは、事故への備えに加え、不適切な関わりや個人を特定できる情報の掲載等のリスクを取り上げています。参加中に状況が変わることを想定し、相談できる体制も考えます。

本記事の企画例では、子どもの対応を担当する人、問題が生じた場合の報告先、休憩や参加を取りやめる際の対応を共有します。写真の撮影・掲載、名前の掲載、意見の引用は、それぞれの目的と範囲を確かめます。参加の案内を出す前に、主催者の最新規程と会場条件に照らして具体的な運用を定めます。

実施担当の役割と、相談時に確認する条件

進行、記録、判断、返答を担当者へ引き継ぐイラスト
進行・記録・判断・返答の担当を明確にする。 作成:一般社団法人リジェネレーション

実施担当の役割は、進行だけでなく、記録と判断の引き継ぎまで考えます。本記事の企画例では、進行役が対話を支え、記録役が意見と理由を残し、企画の責任者が関係部署への確認と結果の返答を受け持つ形です。人数や兼務は、参加者と内容に合わせて調整します。

相談するときは、地域、参加する子どもの年代、考えたい場所やテーマ、既に決まっている条件、希望時期を整理します。イベント開催、意見整理、判断への引き継ぎのどこまでを依頼したいかを共有すると、必要な準備と担当範囲を話し合いやすくなります。

大学生・若者と地域の役割分担を検討する場合は、ふるさとミライカレッジの大学・地域連携事例も参考にできます。

よくある質問

参加者の年齢が幅広い場合は、同じ方法で進めてもよいですか?

同じテーマでも、説明の言葉、活動時間、表現方法を年代に合わせます。全員に発表を求めるだけでなく、絵、付箋、地図、個別の対話などから選べるようにします。

集めた意見をすべて実現する必要がありますか?

すべての意見を採用すると約束する必要はありません。どの意見を誰が検討し、どのような条件で判断したか、採用できない場合はその理由を参加者に返します。

写真や子どもの発言は、開催報告に掲載できますか?

撮影・掲載の目的と範囲、名前や所属の扱いを事前に説明し、主催者の規程と必要な手続きを確認します。発言の引用も、個人が特定される可能性を含めて確認します。

自治体・地域団体・教育機関のご担当者へ

開催前の整理から、実施後のフィードバックまで。

地域、対象年代、考えたい場所やテーマ、希望時期が決まっていれば、分かる範囲でお知らせください。

公式情報・参照先

こども家庭庁|こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン

本記事は2026年10月7日時点で確認した第2版と、本文中にリンクした実施レポートをもとに構成しています。具体的な運営方法は、主催者の規程、対象者、会場条件に合わせて確定してください。

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