Z世代は仕事ができない？Z世代の特徴・価値観・課題から見るマネジメントのポイント

December 30, 2024October 13, 2025

「最近の若手は指示待ちが多い」「何を考えているかわからない」——そんな声を耳にしたことはありませんか？
SNSを使いこなし、情報感度が高く、柔軟な価値観をもつZ世代。一方で、上の世代からは「仕事ができない」「すぐ辞める」といったネガティブな印象を持たれることも少なくありません。

しかし本当に、Z世代は「できない世代」なのでしょうか？
実は、その多くが世代間の認識ギャップにすぎません。Z世代は「怠けている」わけではなく、「働く意味」や「納得感」をより重視するだけなのです。この記事では、Z世代の特徴や価値観を整理しながら、彼らの力を引き出すマネジメントのコツを具体的に解説します。

コンテンツ

Z世代とは？デジタルネイティブが育った時代背景

Z世代とは、1990年代後半〜2010年前後に生まれた世代を指します。インターネット・SNS・スマートフォンと共に育ち、あらゆる情報がリアルタイムに更新される社会を当たり前として生きてきました。つまり、彼らにとって「変化」や「多様性」は特別なものではなく、常に身近にある日常です。
そのため、仕事においても次のような傾向が見られます。

効率性や合理性を重視する
上下関係よりもフラットな関係を好む
「なぜやるのか」目的を理解してから動きたい
社会的意義・個人の納得感を求める

彼らは「言われた通りにやる」よりも、「意味を理解して自ら考える」働き方を志向しています。
この価値観のズレが、しばしば「Z世代は仕事ができない」と誤解される原因になります。

Z世代への理解を深める際には、ゆとり世代との比較をすることが効果的です。一般社団法人リジェネレーション(Re-Generation)の調査チームがまとめたリサーチ結果を公開しています。よりZ世代を理解し、より良いコミュニケーションを取るための情報としてお役立てください。

Z世代の仕事観：何が課題で、何に不安を感じているのか？

「仕事ができない」と言われるZ世代の実態とは？

「Z世代は仕事ができない」という声は、多くの企業で聞かれる悩みです。しかし、これは本当に事実なのでしょうか？多くの場合、「仕事ができない」という評価は、Z世代の価値観や働き方に対する理解不足から生まれています。

例えば、マイナビの調査では、Z世代は仕事の優先度が比較的低く、共働きを自然なものと捉えている傾向があると報告されています。これは、従来の世代とは異なる価値観を持つ彼らが、仕事とプライベートのバランスを重視していることを示唆しています。
(参考：Z世代の価値観：仕事と家族、働き方への考え方とは？【マイナビ最新調査で考察(2024年更新)】)

例えば、指示待ちではなく、自主的に行動することを好むZ世代にとって、詳細な指示がないと動けないと感じる上司は、彼らを「仕事ができない」と誤解するかもしれません。また、デジタルネイティブである彼らにとって、メールよりもチャットでのコミュニケーションが自然なため、メールでの連絡を怠っていると見なされる可能性もあります。

「仕事ができない」と誤解されやすい行動	Z世代の視点	対応策
指示待ちで自主性が低い	明確な目標と裁量権を求めている	目標設定を共有し、自律的な行動を促す
コミュニケーション不足	チャットなどのデジタルツールを好む	適切なコミュニケーションツールを選択する
成果が分かりにくい	プロセス重視、チームワーク重視	成果だけでなく、プロセスや貢献度も評価する

Z世代が抱える仕事への不安と課題を理解する

Z世代は、これまで生きてきた環境から、仕事に対して様々な不安や課題を抱えています。
リジェネレーションが実施してきたワークショップでは、下記のようなものが挙げられました。

将来への不安からくる、キャリアパスへの迷い
ワークライフバランスを両立する方法
同世代との給料の違いからくる、経済的な不安定さ
めまぐるしく変わる社会構造の変化への対応
企業側からの期待に応えられないことへのプレッシャー
上司や同僚との世代間ギャップによるコミュニケーションの難しさ

最近では、ネオ終活という、「単に終末期に備えるだけでなく、人生をより良く、より自分らしく生きるために、今この瞬間からできることを積極的に行うという考え方」もZ世代から生まれてきています。

Z世代が抱える不安や課題をきちんと理解することは、彼らが安心して働ける職場づくりの第一歩です。一人ひとりの背景や価値観を尊重しながら、柔軟にサポートしていくことで、Z世代は自分の力を存分に発揮できるようになります。環境が整えば、彼らのモチベーションは自然と高まり、結果的にチームや企業全体の成長にもつながります。

Z世代マーケなら、Re-Generationに相談

「Z世代だから…」で終わらせない！個性を尊重したマネジメント手法

「Z世代は仕事ができない」という偏見は、彼らの価値観や働き方を理解していないことから生まれている可能性が高いです。Z世代を効果的にマネジメントするには、下記3つのポイントを意識しましょう。

マネジメント手法：Z世代の特徴・価値観に合わせた仕組みづくり
コミュニケーション方法：相互に尊重した、明快で成長につながるコミュニケーション
職場環境の整備：多様な働き方を認め、柔軟な環境を整備する

Z世代新入社員の即戦力化については、「Z世代新入社員の即戦力化：育成のポイントとコミュニケーション戦略」にて、より詳細に解説しています。新入社員のオンボーディングに活用してください。

マネジメント手法：Z世代の特徴・価値観に合わせた仕組みづくり

Z世代は、目的意識が高く、社会貢献や環境問題など、企業の社会的責任（CSR）にも関心が高い傾向があります。また、柔軟な働き方を好み、ワークライフバランスを重視する傾向も強いです。これらの価値観を理解した上で、彼らの強みを活かすマネジメントが必要です。

Z世代の特性	マネジメント手法
目的意識が高い	仕事の意味や目的を明確に伝え、社会貢献性などを強調する。目標達成へのプロセスを一緒に考え、主体的に取り組める環境を作る。
デジタルネイティブ	デジタルツールを積極的に活用した業務効率化を支援する。新しい技術やツールへの学習機会を提供する。
多様性を重視	個々の能力や特性を理解し、適材適所の人事配置を行う。多様な意見を尊重し、自由に発言できる雰囲気を作る。
ワークライフバランスを重視	柔軟な勤務時間制度やリモートワークなどを導入し、プライベートと仕事の両立を支援する。休暇取得を推奨し、有給休暇の取得率を高める。
フィードバックを重視	定期的な面談を実施し、進捗状況や課題を共有する。具体的なフィードバックを行い、成長を促す。

上記の表のように、Z世代の特性を理解し、それぞれの特性に合わせたマネジメントを行うことで、彼らの能力を最大限に引き出すことができます。

コミュニケーション方法：世代間ギャップを埋めるためのポイント

また、Z世代へのマネジメントを実施する際には、Z世代の価値観・行動に合わせたコミュニケーション方法を取ることがポイントです。以下に、コミュニケーション方法と、そのメリット・デメリットを記載しました。また、コミュニケーション実施時のポイントを記載しています。

Z世代とのコミュニケーション方法

コミュニケーション方法	メリット	デメリット
定期的な1on1面談	個々の状況や課題を把握し、個別対応が可能。信頼関係構築に繋がる。	時間確保が難しい場合がある。
チームランチや懇親会	親睦を深め、非公式な場で意見交換が可能。	参加が難しいメンバーがいる可能性もある。
チャットツール活用	迅速な情報共有が可能。気軽に質問できる環境が作れる。	情報が散逸する可能性がある。適切な運用ルールが必要。

コミュニケーションを実施時のポイント

ポイント	具体的な対応
目的意識の明確化	「部署の目標は、〇〇なので、〇〇さんには、〇〇を目的としてこの業務をやってほしい」と伝える。
具体的な指示出し	指示は具体的に、そして簡潔に。曖昧な表現は避け、フィードバックもこまめに行いましょう。
業務を通じた成長機会の提供	業務を通じて、どのような成長をすることができるのかを明確に伝えましょう。また、研修や資格取得支援など、自己成長をサポートする制度を設け、キャリアパスを明確に示しましょう。
相互尊重の姿勢	異なる価値観を認め合い、お互いを尊重する姿勢が大切です。彼らの意見を積極的に聞き入れ、議論に参加しましょう。

職場環境の整備：多様な働き方を認め、柔軟な環境を整備する

Z世代は、従来の画一的な働き方に疑問を持つ傾向があります。リモートワーク、フレックス制、時短勤務など、多様な働き方を柔軟に受け入れる環境を整えることが重要です。具体的には、以下の点を考慮しましょう。

取り組み	具体的な方法	期待できる効果
柔軟な働き方の導入	リモートワーク、フレックスタイム制、副業の許可など	ワークライフバランスの向上、生産性向上、離職率の低下
自律的な働き方を促進	目標管理制度の導入、自己評価制度の活用、裁量労働制の導入など	責任感の向上、主体的な行動の促進、創造性の向上
多様な人材の採用・育成	性別、年齢、国籍、経験など、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用し、育成プログラムを提供	多様な視点の導入、イノベーション促進、企業イメージの向上
オープンなコミュニケーションの促進	定期的な1on1ミーティング、チームビルディングイベントの実施、意見交換の場を設けるなど	相互理解の促進、情報共有の円滑化、問題解決能力の向上
メンター制度の導入	経験豊富な社員がZ世代社員をサポートし、キャリア形成を支援	早期キャリア形成、スキルアップ、定着率の向上

Z世代マーケなら、Re-Generationに相談

一般社団法人リジェネレーションが取り組む、Z世代との関わり方成功事例

一般社団法人リジェネレーション(Re-Generation)は、日本最大級のZ世代・若者共創プラットフォームです。これまで数多くの企業・自治体とZ世代との連携を支援してきました。Z世代との関わり方の具体例としてご参考ください。

兵庫県三木市：市制70周年記念若者ミーティング

2023年〜2024年にかけて、「三木市市制70周年記念若者ミーティング」に実施協力させていただきました。50名以上の高校生を対象に実施しましたが、ワークショップの全体像を常に共有することや、学生たちの成長に貢献することができるレクチャーを実施しました。
最後まで安定してプロジェクトを進行することができた結果、三木市の地域資源の利活用を考えるたくさんのアイデアを創出することができ、シンポジウムでの発表も成功に終わりました。

神戸市：未来社会デザインとカーボンニュートラル

神戸市・神戸大学・IGESと連携し、都心三宮再整備を機会としてカーボンニュートラルな都市体験を考える、「未来社会デザインとカーボンニュートラル」を開催しました。
環境分野の専門家からのレクチャーや、プロジェクト担当者を各チーム1名配属することで、Z世代の成長機会を設けました。結果、学生団体の幹部たち25名が参加し、脱炭素に向けた行動変容など社会問題解決に向けたアイデア出しを行うことができました。