Z世代のスマホ依存とは?SNS疲れ・デジタルデトックスを整理

Z世代のスマホ利用とSNS疲れを考える記事のイラスト入りアイキャッチ

「スマホを長く使っているから依存」「通知が気になるのはドーパミン中毒」と、利用時間や俗称だけで状態を決めることはできません。必要なのは、使った時間、使う目的、やめたい場面で止められるか、睡眠・学業・仕事・人間関係に困りごとが出ているかを分けて確かめることです。

この記事では、こども家庭庁の国内調査、WHO欧州地域事務局の国際調査、厚生労働省の睡眠ガイドをもとに、SNS疲れやデジタルデトックスを整理します。SNSの利用率・目的は若者のSNS利用実態、SNSから距離を取る理由は若者のSNS離れで詳しく扱っています。

コンテンツ

Z世代のスマホ依存とは?利用時間だけで判断しない

利用時間・生活への影響・利用の制御を分けて確認する図
長時間利用だけで依存を判断しない考え方。WHOの問題的利用の考え方は本文参照。

日常語として使われる「スマホ依存」には、長時間利用、SNSを何度も確認する習慣、生活への支障など異なる状態が混ざります。WHO欧州地域事務局が2024年9月に公表したHBSC調査では、問題的なSNS利用を、利用の制御が難しい、利用できないときに落ち着かない、ほかの活動を後回しにする、日常生活に悪影響が出るといった兆候から捉えています。

同調査は、2022年に欧州・中央アジア・カナダの44の国・地域で11歳・13歳・15歳の約28万人を対象に実施され、問題的なSNS行動の兆候がある回答は11%でした。日本のZ世代の割合ではなく、日本の個人を診断する数値でもありません。利用時間の多さと、制御の難しさや生活への悪影響を分ける考え方の参考として扱います。出典:WHO/Europe “Teens, screens and mental health”。

「ドーパミン中毒」という言葉だけで原因を決めない

SNSの習慣を説明する際に「ドーパミン中毒」という表現が使われることがあります。しかし、この言葉だけで、特定の脳内物質が原因だと断定したり、本人の状態を診断したりはできません。記事や企画では、医学的なラベルを先につけず、通知を開く場面、利用を止めにくいきっかけ、翌日の睡眠や集中への影響を具体的に聞きます。

本人が利用を減らしたいのに制御できず、学校・仕事・睡眠・人間関係への影響が続いている場合は、自己責任で片づけず、医療・保健・学校などの専門的な相談先につなぐことも検討します。本記事は診断や治療を行うものではありません。

日本の青少年はどれくらいネットを使う?2025年度調査

調査対象10歳から17歳、平日平均約5時間27分、7機器合計を示す図
こども家庭庁令和7年度調査。対象・時期・集計条件は本文参照。

こども家庭庁の令和7年度(2025年度)調査では、満10〜17歳5,000人を対象に2025年11月1日〜12月18日に調査し、3,060人から回答を得ました。インターネットを利用していると答えた青少年の平日1日あたり平均利用時間は、約5時間27分でした。小学生(10歳以上)は約3時間54分、中学生は約5時間24分、高校生は約6時間44分です。

この時間はスマートフォンだけではありません。スマートフォン、契約していないスマートフォン、携帯電話、自宅用PC・タブレット、GIGA端末、ゲーム機、テレビの7機器の利用時間を合算しています。機器を同時に使った場合の重複や、学習・連絡・娯楽など目的の違いも考慮して読む必要があります。出典:こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」。

確認するもの分かること分からないこと
平均利用時間対象集団の利用量の目安個人が依存状態か
利用目的学習・連絡・娯楽などの内訳本人が困っている程度
生活への影響睡眠・集中・関係性の困りごと原因がスマホだけか

マーケティングや教育の現場では、平均値を「Z世代はスマホに依存している」という世代像へ広げません。年齢、生活環境、利用目的をそろえ、本人が便利だと感じる点と負担だと感じる点を両方聞きます。 数字を世代の特徴として使う前の確認点は、Z世代の特徴を調査の対象・条件から読む記事にまとめています。

SNS疲れとデジタルデトックス|全部やめない設計

睡眠・通知・公開範囲を小さく見直す図
全部やめるのではなく、困りごとが出る場面を一つずつ調整する。

SNS疲れは、通知への反応、比較や評価への緊張、情報量、複数アカウントの使い分け、公開範囲への不安など、いくつもの負担が重なって起こります。まず1週間ほど、いつ・何のために開いたか、使った後にどう感じたか、翌日の生活へ影響したかを記録すると、変える場面を見つけやすくなります。

睡眠:寝室に端末を持ち込まないところから

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながるとしています。就寝前の強い光は、メラトニン分泌を抑制し、睡眠・覚醒リズムを遅らせ、入眠を妨げる可能性があります。出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」。

通知:必要な人・時間帯・アプリを選ぶ

通知をすべて止める必要はありません。家族や学校・仕事など緊急性のある連絡は残し、販促や自動通知は止める、集中する時間だけおやすみモードを使う、ホーム画面から頻繁に開くアプリを外すなど、目的ごとに分けます。変更前後で、確認回数や集中のしやすさを比べます。 発信する企業側も、確認の手間や所要時間を明示できます。Z世代のタイパと時間に見合う価値を参考に、通知の多さだけで接点を増やさない設計を考えます。

プライバシー:公開範囲と端末権限を定期的に確認する

投稿の公開範囲、過去の投稿、位置情報、写真の背景、連絡先との同期、カメラ・マイク・写真へのアプリ権限を確認します。サービスごとに設定名や仕様は異なるため、各サービスの公式ヘルプを見て、不要な権限を外します。企業や学校が調査を行うときは、取得する情報、利用目的、保存期間、閲覧者、削除方法を先に説明します。

負担が出る場面小さく試す変更確認すること
寝る直前まで見る寝室の外で充電する入眠・翌朝の眠気
通知で作業が中断必要な通知だけ残す中断回数・集中
投稿後に不安になる公開範囲と位置情報を確認安心して共有できたか

デジタルデトックスは、罰として全部やめることではなく、困りごとが起きる場面を一つ選び、変化を確かめる方法として扱います。仕事や学習で端末が必要な人もいるため、連絡手段や代替方法を先に決めます。 対面の活動を企画する場合も、SNS投稿や常時接続を参加条件にする必要はありません。初参加の負担に配慮したイベント企画では、見学・体験・交流の入口を分ける考え方を紹介しています。

実例:NECと若者が「技術・くらし」を対話したプログラム

振り返る・分ける・試すの対話設計を示す図
実例は対話設計の参考で、スマホ依存の治療・改善効果を示すものではありません。
NECと若者が2030年の自分と未来社会について対話するワークショップの実施写真
実施写真:NECとRe-Generationによる「2030年の自分と未来社会」プログラム。スマホ依存の治療・改善を目的とした事例ではありません。出典:公式実施レポート。

対象:全国3地域(関西・九州・東北)の若者・U30、NEC社員・メンターなど約80名。背景:これからの社会価値を若者と企業が言語化し、次世代と企業の接点をつくるために、2024年9〜10月に実施しました。

実施内容:NEC社員によるレクチャーの後、参加者が自分の過去・現在の経験や関心を振り返り、「政治・行政」「カルチャー」「技術」「くらし・働き方」の切り口で違和感や課題を言語化。チームで共有し、2030年にあってほしい社会像を発表しました。詳細:NECと考える、2030年の自分と未来社会。

この記事の論点との関係:この実例は、スマホ依存を改善した事例ではありません。抽象的な「デジタル疲れ」「便利すぎる」といった言葉を、本人の経験、技術、くらしの場面に分け、他者との対話で具体化する設計の参考です。デジタル・ウェルビーイングを考える企画でも、解決策を先に教えるのではなく、使う目的と困りごとを本人の言葉で整理します。 この設計を自社の調査へ応用するなら、「最近便利だと思った場面」と「負担を感じた場面」を別々に聞き、両方を残します。これは本稿からの応用提案で、同プログラムがデジタル利用を調査・改善したという意味ではありません。

企業・自治体が若者と確認したい5つの問い

  • どの場面でスマホやSNSが役立ち、どの場面で負担になるか。
  • 利用時間ではなく、やめたいのに止めにくい・生活に影響する場面はあるか。
  • 通知、睡眠、比較、公開範囲のうち、最初に変えたいものは何か。
  • 変更後に何を見れば、本人にとって改善したと判断できるか。
  • 回答データの利用目的・保存期間・削除方法を参加者へ説明したか。

若者数名の発言を世代全体へ広げず、異なる意見も残します。調査結果は、商品・サービスの利用制限を一方的に決めるためではなく、本人が安全に選べる設定、説明、相談導線を整える材料にします。 具体的な聞き方は、若者インタビューの進め方を参照し、答えを決めつけない質問にします。

Z世代のスマホ利用を理解する第一歩は、利用時間を責めることではありません。目的・制御・生活への影響・安心して使う条件を分け、本人と一緒に小さな変更を確かめることです。

あわせて読む:若者のSNS利用実態 / 若者のSNS離れ / Z世代インサイト探究ラボ

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