シティプロモーションとは?地域の魅力を若者・住民と育て、発信につなぐ進め方

自治体担当者・若者・住民が地域の地図を囲み、魅力と発信先を整理するイラスト

シティプロモーションとは、地域の価値や魅力を整理し、相手に応じて伝えながら、まちとの継続的な関係を育てる取り組みです。観光PRや移住情報の発信だけではありません。住民・企業・学校・団体・関係人口などと地域の魅力を見つけ、誰に何を届け、どのような関わりへつなげるかを設計します。

本記事では、シティプロモーションの意味、アンケートと対話の使い分け、計画づくり、若者・住民と進める実践を整理します。人口増加や観光客増加を一つの施策だけの成果として断定せず、発信と関係づくりを分けて確かめる方法を解説します。

一般社団法人リジェネレーション 代表理事 右近宣人

右近 宣人 / Ukon Norihito

一般社団法人リジェネレーション 代表理事|若者参画・地域共創

若者参画を専門に、企業・自治体とともに都市開発・まちづくりの共創プロジェクトを企画・運営。神戸・三宮での対話を原点に、大阪・うめきた、佐賀の中心街、兵庫県三木市などで、若者の視点を地域の未来につなぐ場づくりに取り組む。

現場で得た知見をもとに、日本経済新聞社大阪本社・大阪商工会議所共催シンポジウムで登壇。全国市街地再開発協会の広報誌「CITY in CITY」vol.36の座談会にも参加し、次世代とともに進めるまちづくりのあり方を発信している。

まちづくりから始まった、右近宣人の想いとリジェネレーションの歩みを知る →

地域の魅力を、若者・住民と一緒に見つけませんか

対象者、目的、確かめたい問い、時期を整理し、対話・ワークショップから発信につながる企画を設計します。

  • 若者・住民の声を可視化
  • 地域の魅力と課題を整理
  • 対話から企画・運営まで支援
コンテンツ

シティプロモーションの意味と、移住施策・観光PR・地域ブランディングとの関係

地域ブランディング、対象別の発信、継続的な関係のつながりを示す図
地域の魅力を整理し、相手別に発信し、継続的な関係へつなげる

シティプロモーションは、地域の魅力を一方的に宣伝するのではなく、地域内外の人に共感される価値を育て、継続的な関係へつなげる取り組みです。秋田市の「シティプロモーション基本方針2026」では、ブランディングで整理した都市のイメージを、定住人口・関係人口・交流人口、世代、興味関心などの対象ごとに発信し、共感を通じて関係性を育む取り組みと定義しています。

取り組み主な役割シティプロモーションとの関係
地域ブランディング地域資源や人の営みを価値として整理し、共通の軸をつくる何を伝えるかの土台
観光PR訪問や体験につながる情報を届ける交流人口との接点の一つ
移住・定住施策暮らし、仕事、住まい、支援情報を届ける定住を検討する人との接点の一つ
シティプロモーション対象別の発信と参加の接点を通じ、関係を育てる複数分野を共通の価値や世界観でつなぐ

それぞれは重なりますが、同じものではありません。たとえば、観光情報の閲覧数が増えても、住民の誇りや継続的な関係が高まったとは限りません。目的ごとに対象と指標を分けて考えます。

対象と目的を決め、地域の事実・魅力と生活者の声を集める

住民・若者の具体的な経験と公式資料・既存調査を分けて整理する図
経験・共通する見方・確認済み事実を混同しない

発信物をつくる前に、「誰に、何を知ってもらい、どのような接点をつくりたいか」を決めます。観光で訪れる人と、生活の場を探す人、地域で活動を続ける住民では、必要な情報が異なります。

発信の前に、地域の魅力と確認できる事実を整理する

住民や若者の声を集める場では、抽象的な「よいまち」だけでなく、暮らしの場面、利用する場所、人との関係など、具体的な経験を聞き取ります。聞き取った言葉は、個人の経験、複数の参加者に共通する見方、公式資料で確認できる事実に分けます。一度のワークショップの声を、地域全体の意見と表現しないことが大切です。

  • 届けたい相手と、次につくりたい接点を明確にする
  • 暮らし・仕事・学び・活動など具体的な場面から聞く
  • 参加者の声、確認済みの事実、企画案を分けて記録する

地域の将来像を考える前提は、まちづくりの基本的な考え方も参照してください。

アンケートと対話の役割、設問例と代表性の限界

アンケートで傾向を整理し、対話で背景を理解して次の問いを考える図
回答数だけで地域全体を代表させず、目的に応じて組み合わせる

アンケートは、同じ設問で複数の回答を集め、傾向を整理するのに向きます。対話は、回答の背景や言葉になっていない経験、意見の違いを知るのに向きます。どちらか一方で地域全体を理解したと考えず、目的に応じて組み合わせます。

知りたいこと設問・問いの例注意点
日常の魅力地域外の人に紹介したい日常の場所や過ごし方は何ですか有名観光地だけに限定しない
関係を続ける条件また関わりたいと思える機会や役割は何ですか好意と実際の参加を同じにしない
伝わりにくさ外から見たイメージと、暮らして感じる実態に違いはありますか個人の経験と地域全体の傾向を分ける

回答者の年代、居住地、関わり方、募集経路を記録します。回答数だけで代表性を判断せず、まだ聞けていない人を明確にして次の対話へつなげます。

声を集めて終わらない、地域共創の設計を

アンケートや対話の目的、対象者、問い、記録方法、次の参加機会まで一緒に整理します。

  • 若者・住民の声を可視化
  • 地域の魅力と課題を整理
  • 対話から企画・運営まで支援

魅力の言語化→役割分担→発信→観測・振り返り

魅力の言語化、役割分担、対象別発信、参加の接点、観測と振り返りの5段階を示す図
届いたかと、関係が進んだかを分けて観測する
  1. 魅力を言語化する:誰のどの経験に基づく価値なのかを明確にする
  2. 役割を分ける:行政、住民、学校、企業、関係人口が担う範囲を決める
  3. 対象別に発信する:同じ魅力でも、相手が必要とする情報へ翻訳する
  4. 接点を用意する:イベント、対話、訪問、参加募集など次の行動を案内する
  5. 観測して振り返る:発信の到達と、参加・関係の継続を分けて見る

表示回数、動画再生、記事閲覧は「届いたか」を見る指標です。参加申込、再参加、協働提案などは「関係が進んだか」を見る別の指標です。人口や経済への影響を短期間の発信だけに帰属させません。住民・企業・行政の協働については、官民連携でまちづくりを進める考え方も参考になります。

秋田市の公式方針から読む進め方と、計画と実績の区別

地域の価値と若者・市民の視点を対象別の発信へつなぐ関係図
方針・予定と、実施済みの成果を区別する

秋田市が2026年3月30日に更新したシティプロモーション基本方針2026は、地域の価値を磨くブランディングを土台に、対象に応じた発信と継続的な関係づくりを位置づけています。住民のまちへの誇りや愛着と、外部に向けた認知の広がりは、関連していても同じ指標ではありません。

同方針では、2026年度中に市民や関係人口のワークショップと専門家の視点を取り入れ、ブランドメッセージを作成するとしています。これは公表された方針・予定であり、メッセージが既に完成したことや、移住・観光の増加が実測されたことを示す実績ではありません。

共同作業記録するもの区別するもの
魅力を聞く具体的な経験・場所・担い手個人の経験と地域全体の傾向
表現を考える伝えたい相手・根拠・確認結果企画案と確認済み事実
接点を用意する担当・案内先・次の参加機会認知の広がりと関係の継続

地域の魅力を、若者・住民と一緒に言葉と企画へつなげた事例

兵庫県三木市と佐賀県佐賀市の若者参画事例を比較する図
若者の視点を言葉や企画にし、現地の接点へつなげた2事例

シティプロモーションでは、発信物だけでなく、地域の魅力を見つけ、言葉にし、参加の接点へつなげる過程が重要です。ここでは、若者や住民が地域資源を考え、実際の企画へつないだ異なる2事例を紹介します。

CASE 01|兵庫県三木市|周年事業・地域資源

高校生・大学生が三木金物・山田錦・ゴルフから、10年後のまちを考える

三木市市制70周年記念 若者ミーティングで高校生と大学生が地域資源を話し合う様子
三木市市制70周年記念 若者ミーティング。高校生・大学生が地域資源を手掛かりに10年後のまちを検討

2023年8月から2024年7月にかけて全4回の協議・フィールドワークを実施し、2024年7月7日の市制施行70周年記念式典で最終発表しました。三木市内の1大学・5高校から約50名が参加し、一般社団法人リジェネレーションはワーク設計、職員向け事前レクチャー、当日進行、各チームへのフィードバック等を担当しました。

本記事へ活かす視点:自治体が用意したPR文を若者に発信させるのではなく、地域資源を自分たちの経験と将来像から捉え直し、何を誰に伝えたいかを言葉にする過程を設計します。参加者の声を若者全体の意見とみなさず、参加者・期間・問いを明示します。

三木市「市制70周年記念 若者ミーティング」の実施レポートを見る

CASE 02|佐賀県佐賀市|駅前公共空間・若者参画

若者のアイデアを、佐賀駅前で実際に人が集まる風景へつなげる

Terrace de Cheers!で若者が佐賀駅前のステージや出店を運営する様子
Terrace de Cheers!@さが維新テラス。若者の活動を駅前の道路空間へひらいた実践

2024年9月4日、サガつく!・佐賀県庁・佐賀商工会議所青年部の共催で開催しました。若者のステージ、トーク、出店、名尾手すき和紙の体験、キャンドル、乾杯を実施。ロングテーブルでの乾杯には約140名が参加しましたが、これはイベント全体の来場者数や経済効果とは区別します。

本記事へ活かす視点:魅力を言葉で発信するだけでなく、地域で活動する若者が出演・出店し、来訪者が見る・話す・体験する接点をつくることで、発信内容と現地体験をつなげられます。認知向上や移住増加の因果成果とは表現しません。

Terrace de Cheers!@さが維新テラスの実施レポートを見る

若者・住民参加の企画を相談するときに整理する情報

地域、対象、目的、問い、時期、資料の6項目を示すチェック図
決まっていない項目があっても、問いを明確にする
  • 地域と対象:どの地域で、誰の声を聞きたいか
  • 目的:魅力の発見、計画づくり、発信、参加機会づくりのどこか
  • 確かめたい問い:まだ決まっていない判断や、意見が必要な論点
  • 時期と次の接点:いつまでに、どの施策・場へつなげるか
  • 既にある資料:総合計画、既存調査、地域資源一覧、発信物、関係者

一般社団法人リジェネレーションは、建築設計や移住の成果保証ではなく、若者・住民との接点づくり、対話の設計、ワークショップ、アイデアの具体化、実施後の振り返りを支援します。地域の魅力を「伝える内容」と「関わる経験」の両方から整理したい場合にご相談ください。

地域の魅力を、共感と参加につなげる

若者・住民の声を聞くところから、企画、ワークショップ、発信につながる実践まで、目的に合わせて伴走します。

  • 若者・住民の声を可視化
  • 地域の魅力と課題を整理
  • 対話から企画・運営まで支援
コンテンツ