シティプロモーションとは、地域の価値や魅力を整理し、相手に応じて伝えながら、まちとの継続的な関係を育てる取り組みです。観光PRや移住情報の発信だけではありません。住民・企業・学校・団体・関係人口などと地域の魅力を見つけ、誰に何を届け、どのような関わりへつなげるかを設計します。
本記事では、シティプロモーションの意味、アンケートと対話の使い分け、計画づくり、若者・住民と進める実践を整理します。人口増加や観光客増加を一つの施策だけの成果として断定せず、発信と関係づくりを分けて確かめる方法を解説します。
地域の魅力を、若者・住民と一緒に見つけませんか
対象者、目的、確かめたい問い、時期を整理し、対話・ワークショップから発信につながる企画を設計します。
- 若者・住民の声を可視化
- 地域の魅力と課題を整理
- 対話から企画・運営まで支援
シティプロモーションの意味と、移住施策・観光PR・地域ブランディングとの関係

シティプロモーションは、地域の魅力を一方的に宣伝するのではなく、地域内外の人に共感される価値を育て、継続的な関係へつなげる取り組みです。秋田市の「シティプロモーション基本方針2026」では、ブランディングで整理した都市のイメージを、定住人口・関係人口・交流人口、世代、興味関心などの対象ごとに発信し、共感を通じて関係性を育む取り組みと定義しています。
| 取り組み | 主な役割 | シティプロモーションとの関係 |
|---|---|---|
| 地域ブランディング | 地域資源や人の営みを価値として整理し、共通の軸をつくる | 何を伝えるかの土台 |
| 観光PR | 訪問や体験につながる情報を届ける | 交流人口との接点の一つ |
| 移住・定住施策 | 暮らし、仕事、住まい、支援情報を届ける | 定住を検討する人との接点の一つ |
| シティプロモーション | 対象別の発信と参加の接点を通じ、関係を育てる | 複数分野を共通の価値や世界観でつなぐ |
それぞれは重なりますが、同じものではありません。たとえば、観光情報の閲覧数が増えても、住民の誇りや継続的な関係が高まったとは限りません。目的ごとに対象と指標を分けて考えます。
対象と目的を決め、地域の事実・魅力と生活者の声を集める

発信物をつくる前に、「誰に、何を知ってもらい、どのような接点をつくりたいか」を決めます。観光で訪れる人と、生活の場を探す人、地域で活動を続ける住民では、必要な情報が異なります。
発信の前に、地域の魅力と確認できる事実を整理する
住民や若者の声を集める場では、抽象的な「よいまち」だけでなく、暮らしの場面、利用する場所、人との関係など、具体的な経験を聞き取ります。聞き取った言葉は、個人の経験、複数の参加者に共通する見方、公式資料で確認できる事実に分けます。一度のワークショップの声を、地域全体の意見と表現しないことが大切です。
- 届けたい相手と、次につくりたい接点を明確にする
- 暮らし・仕事・学び・活動など具体的な場面から聞く
- 参加者の声、確認済みの事実、企画案を分けて記録する
地域の将来像を考える前提は、まちづくりの基本的な考え方も参照してください。
アンケートと対話の役割、設問例と代表性の限界

アンケートは、同じ設問で複数の回答を集め、傾向を整理するのに向きます。対話は、回答の背景や言葉になっていない経験、意見の違いを知るのに向きます。どちらか一方で地域全体を理解したと考えず、目的に応じて組み合わせます。
| 知りたいこと | 設問・問いの例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日常の魅力 | 地域外の人に紹介したい日常の場所や過ごし方は何ですか | 有名観光地だけに限定しない |
| 関係を続ける条件 | また関わりたいと思える機会や役割は何ですか | 好意と実際の参加を同じにしない |
| 伝わりにくさ | 外から見たイメージと、暮らして感じる実態に違いはありますか | 個人の経験と地域全体の傾向を分ける |
回答者の年代、居住地、関わり方、募集経路を記録します。回答数だけで代表性を判断せず、まだ聞けていない人を明確にして次の対話へつなげます。
声を集めて終わらない、地域共創の設計を
アンケートや対話の目的、対象者、問い、記録方法、次の参加機会まで一緒に整理します。
- 若者・住民の声を可視化
- 地域の魅力と課題を整理
- 対話から企画・運営まで支援
魅力の言語化→役割分担→発信→観測・振り返り

- 魅力を言語化する:誰のどの経験に基づく価値なのかを明確にする
- 役割を分ける:行政、住民、学校、企業、関係人口が担う範囲を決める
- 対象別に発信する:同じ魅力でも、相手が必要とする情報へ翻訳する
- 接点を用意する:イベント、対話、訪問、参加募集など次の行動を案内する
- 観測して振り返る:発信の到達と、参加・関係の継続を分けて見る
表示回数、動画再生、記事閲覧は「届いたか」を見る指標です。参加申込、再参加、協働提案などは「関係が進んだか」を見る別の指標です。人口や経済への影響を短期間の発信だけに帰属させません。住民・企業・行政の協働については、官民連携でまちづくりを進める考え方も参考になります。
秋田市の公式方針から読む進め方と、計画と実績の区別

秋田市が2026年3月30日に更新したシティプロモーション基本方針2026は、地域の価値を磨くブランディングを土台に、対象に応じた発信と継続的な関係づくりを位置づけています。住民のまちへの誇りや愛着と、外部に向けた認知の広がりは、関連していても同じ指標ではありません。
同方針では、2026年度中に市民や関係人口のワークショップと専門家の視点を取り入れ、ブランドメッセージを作成するとしています。これは公表された方針・予定であり、メッセージが既に完成したことや、移住・観光の増加が実測されたことを示す実績ではありません。
| 共同作業 | 記録するもの | 区別するもの |
|---|---|---|
| 魅力を聞く | 具体的な経験・場所・担い手 | 個人の経験と地域全体の傾向 |
| 表現を考える | 伝えたい相手・根拠・確認結果 | 企画案と確認済み事実 |
| 接点を用意する | 担当・案内先・次の参加機会 | 認知の広がりと関係の継続 |
地域の魅力を、若者・住民と一緒に言葉と企画へつなげた事例

シティプロモーションでは、発信物だけでなく、地域の魅力を見つけ、言葉にし、参加の接点へつなげる過程が重要です。ここでは、若者や住民が地域資源を考え、実際の企画へつないだ異なる2事例を紹介します。
CASE 01|兵庫県三木市|周年事業・地域資源
高校生・大学生が三木金物・山田錦・ゴルフから、10年後のまちを考える

2023年8月から2024年7月にかけて全4回の協議・フィールドワークを実施し、2024年7月7日の市制施行70周年記念式典で最終発表しました。三木市内の1大学・5高校から約50名が参加し、一般社団法人リジェネレーションはワーク設計、職員向け事前レクチャー、当日進行、各チームへのフィードバック等を担当しました。
本記事へ活かす視点:自治体が用意したPR文を若者に発信させるのではなく、地域資源を自分たちの経験と将来像から捉え直し、何を誰に伝えたいかを言葉にする過程を設計します。参加者の声を若者全体の意見とみなさず、参加者・期間・問いを明示します。
CASE 02|佐賀県佐賀市|駅前公共空間・若者参画
若者のアイデアを、佐賀駅前で実際に人が集まる風景へつなげる

2024年9月4日、サガつく!・佐賀県庁・佐賀商工会議所青年部の共催で開催しました。若者のステージ、トーク、出店、名尾手すき和紙の体験、キャンドル、乾杯を実施。ロングテーブルでの乾杯には約140名が参加しましたが、これはイベント全体の来場者数や経済効果とは区別します。
本記事へ活かす視点:魅力を言葉で発信するだけでなく、地域で活動する若者が出演・出店し、来訪者が見る・話す・体験する接点をつくることで、発信内容と現地体験をつなげられます。認知向上や移住増加の因果成果とは表現しません。
若者・住民参加の企画を相談するときに整理する情報

- 地域と対象:どの地域で、誰の声を聞きたいか
- 目的:魅力の発見、計画づくり、発信、参加機会づくりのどこか
- 確かめたい問い:まだ決まっていない判断や、意見が必要な論点
- 時期と次の接点:いつまでに、どの施策・場へつなげるか
- 既にある資料:総合計画、既存調査、地域資源一覧、発信物、関係者
一般社団法人リジェネレーションは、建築設計や移住の成果保証ではなく、若者・住民との接点づくり、対話の設計、ワークショップ、アイデアの具体化、実施後の振り返りを支援します。地域の魅力を「伝える内容」と「関わる経験」の両方から整理したい場合にご相談ください。
地域の魅力を、共感と参加につなげる
若者・住民の声を聞くところから、企画、ワークショップ、発信につながる実践まで、目的に合わせて伴走します。
- 若者・住民の声を可視化
- 地域の魅力と課題を整理
- 対話から企画・運営まで支援



