脱炭素の意識調査は、関心の高さに加え、実際の行動と、行動を難しくする条件を分けて把握する調査です。「認知度を知る」の一歩先に、どの施策を、誰に、どう届けるかという判断を置くと、設問と分析の目的が明確になります。
この記事では、自治体の普及啓発や、企業の若者向けサービス・共創企画を考える担当者に向けて、設問例、対象者の選び方、集計・対話の読み方を整理します。掲載する設問や分析の表は企画用の例です。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
脱炭素の施策を、
暮らしの声から考える。
若者の価値観や生活条件を捉え、施策やサービスの企画につなぐ調査・対話を設計します。
- 設問・進行案の設計
- 生活場面と理由を理解
- 企画の判断材料を整理
調査結果を、若者と考える学び・対話の企画へつなげたい場合もご相談ください。
脱炭素の意識調査は、施策で決めたいことから逆算する

調査の最初に、結果を使う会議や決定事項を一つ定めます。例えば「公共交通の利用促進で、案内を改善するか、利用条件を見直すか」です。関心の有無だけを聞く調査では、この違いを判断する材料が足りません。
| 決めたいこと | 確かめたい内容 | 結果の使い道 |
|---|---|---|
| 普及啓発の入口 | 知識、関心のきっかけ、普段の情報源 | 題材・言葉・届ける場所を選ぶ |
| 行動を支える方法 | 現在の行動、頻度、費用・時間・利用条件 | 情報提供と環境整備の役割を分ける |
| 若者との共創テーマ | 困りごと、期待、関係者との接点 | 対話で深める仮説を選ぶ |
脱炭素の用語が分からない人も対象に含めます。最初から関心の高い参加者だけに聞く場合は、調査結果が表す範囲をその参加者に限定して示します。基本用語は脱炭素の意味を解説した記事で整理できます。
設問例:関心・行動・理由を一つの質問に混ぜない

「環境を意識して行動していますか」には、意識と行動の両方が含まれます。回答の解釈をそろえるため、期間・場面・行動を具体化し、一問で一つの内容を聞きます。選択肢には「分からない」「該当しない」も検討してください。
| 確認する内容 | 設問例 | 設計のポイント |
|---|---|---|
| 認知 | 『脱炭素』という言葉をどの程度知っていますか | 聞いたことがある/意味を説明できる等を区別 |
| 関心のきっかけ | 気候変動や省エネルギーに関心を持ったきっかけは何ですか | 関心がない人にも答えられる選択肢 |
| 最近の行動 | 直近7日間の通学・通勤で利用した移動手段を教えてください | 複数利用、日数、在宅・通学なしを扱う |
| 選択の理由 | その移動手段を選んだ主な理由は何ですか | 便利さ、費用、所要時間、他の選択肢等 |
| 変えにくい条件 | 別の移動手段を使うとき、難しいと感じることは何ですか | 複数回答と自由記述を組み合わせる |
| 支援への期待 | 利用しやすくなるために、何が変わるとよいですか | 情報不足と、便数・費用等の条件を分ける |
| 判断できる範囲 | 生活で使う設備やサービスを、主に誰が選んでいますか | 本人、家族、学校・職場等を区別 |
| 追加の対話 | 最近、その選択で迷った場面を教えてください | 抽象的な賛否から、具体的な経験へ進む |
上記は移動を題材にした設問例です。電気や買い物を扱う場合も、対象者が実際に選べる場面を決めてから調整します。「脱炭素のために当然行うべき」といった誘導を避け、回答者の言葉を引き出します。
関心・意向・実際の行動を分けた後は、脱炭素の行動変容を促す施策の考え方を参照すると、回答からどの支援を検討するか整理できます。
対象者と調査方法を、知りたい範囲に合わせる

割合や層ごとの差を知りたい場合は、対象集団、募集経路、回収見込み、必要な比較を決めます。SNSで自主応募を集めた結果と、住民全体の傾向は同じものではありません。年齢だけでなく、居住地域、移動環境、住まい、就業・就学の条件も検討します。
少人数のインタビューや対話は、選択の理由を深く知るために使います。発言を人数比に置き換えて、若者全体の統計として示すことはできません。まず対話で仮説をつくり、その広がりをアンケートで確かめる組み合わせも考えられます。
実施前に少人数で試し、質問の意味、選択肢の漏れ、回答時間を確認します。記録する情報と結果の使用範囲、保管・共有の担当も事前に決めておくと、回答者への説明と報告がそろいます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
回答の背景を、
次の企画の判断材料へ。
知りたいこと、対象者、必要な成果物を整理し、設問や対話の進め方を考えます。
- 設問・進行案の設計
- 生活場面と理由を理解
- 企画の判断材料を整理
調査結果を、若者と考える学び・対話の企画へつなげたい場合もご相談ください。
分析は、関心の高低より行動を阻む条件に注目する

集計では、各設問の回答数と分母を示します。複数回答の合計が100%を超える場合や、条件に該当する人だけに聞いた質問は、そのルールも説明します。回答者が少ない区分では、割合の差だけを強調しないようにします。
| 分析で見えた状態の例 | 追加で確かめること | 施策の仮説 |
|---|---|---|
| 関心はあるが公共交通を使っていない | 時間帯、経路、運賃、同行者の条件 | 案内改善か、利用条件の改善かを検討 |
| 環境への関心は低いが省エネをしている | 家計、快適さ、習慣などの理由 | 生活上の便益から参加の入口を考える |
| 実行したいと答えたが後日実行していない | 試す機会、忘れやすさ、準備の負担 | 行動する場面と支え方を具体化 |
これは分析の読み方を示す例で、当団体の調査結果ではありません。年齢や関心と行動に関連が見えても、その関係だけで原因を確定できません。自由記述は分類の基準を記録し、異なる意見や少数の困りごとも残します。
情報源や参加しづらい条件が分かったら、自治体の脱炭素普及啓発の組み立て方で、学校・地域への届け方と参加の入口を具体化できます。
公開済みの対話・学習事例から、声の扱い方を考える

山口県:日常生活を振り返ってから、気づきを聞く
2026年8月2日の山口県主催DAY1では、Re-Generationが事務局を務め、参加者が一日の行動を書き出し、環境とのつながりと関心のあるテーマを考えました。実施レポートでは、その後のアンケートで寄せられた気づきが紹介されています。
生活場面を思い出してから理由を聞く設計は、意識調査を考えるうえでも参考になります。公表されているのは参加者の感想であり、県内の若者全体の割合や、行動が長期間続いたことを示す結果としては扱いません。

神戸・三宮:暮らしの視点と、行政・研究の情報を重ねる
2023年2月14日、神戸大学・IGESと法人設立前のRe:Generationが共催した場では、若者、行政、研究者が再開発とカーボンニュートラルを題材に対話しました。地域の情報を学んだうえで、まちの未来に向けた案を発表しています。
調査として行う場合は、情報提供の前後で発言が変わる可能性も記録します。この事例は共創ワークショップであり、発表された案が実装された成果や、代表性のある住民調査としては位置づけません。

調査結果を、施策の検討と次の確認へ引き継ぐ

報告は、回答や発言という事実、そこからの解釈、追加で確かめたい点を分けます。施策を変える担当部署や企業の企画担当者と、調査の段階から結果の使い方を合わせておくと、収集した声が次の検討につながります。
費用や期間は、調査の規模だけでなく、参加者募集、設問作成、記録、分析、報告、追加の対話の範囲で変わります。相談時には「次に決めたいこと」「聞きたい相手」「現在の仮説」「期限」を共有してください。
Re-Generationは、若者の価値観や生活場面を捉える調査・対話と、共創企画の設計を支援しています。施策の実施まで考える際は、脱炭素ワークショップの進め方も合わせてご覧ください。
調査で見つけた課題を継続的な学習へつなぐ場合は、脱炭素人材育成プログラムの設計で、対象者・各回の課題・成果物の決め方を確認できます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
調査で決めたいことから、
ご相談ください。
現在の仮説や施策、対象者の条件を伺い、必要な調査方法と支援の範囲をご提案します。
- 設問・進行案の設計
- 生活場面と理由を理解
- 企画の判断材料を整理
調査結果を、若者と考える学び・対話の企画へつなげたい場合もご相談ください。
実施期間や目的に合わせて、単発の脱炭素ワークショップもご覧ください。
主な参照資料:調査・共創支援の対応範囲、山口県DAY1実施レポート、神戸・三宮実施レポート。確認日:2026年10月3日。



