若者向けの脱炭素人材育成プログラムは、各回の学びを、現場で確かめる問いと、次に提出する成果物へつなぐことで具体化できます。講師や訪問先を並べる前に、参加者が何を判断できるようになるかを定めます。
この記事では、実施担当者が使えるカリキュラムの構成例、運営の役割分担、成果物と評価を扱います。自治体の実施状況や継続型事業の比較は、全国47都道府県の脱炭素・環境リーダー育成調査をご覧ください。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
学び・現場・提案を、
一つの育成プログラムへ。
若者が環境課題と地域に出会い、自分の問いから企画を考えるプログラムを設計・運営します。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
プログラムの対象と、参加者が判断する課題を決める

脱炭素の人材育成には、地域の担い手を育てる学習、企業の排出量算定、技術・資格の専門研修など、異なる目的があります。この記事は、高校生・大学生等が地域や暮らしの課題を学び、企画・提案を考えるプログラムの設計を扱います。
到達点は「知識を身につける」から具体化します。例えば、身近な移動を題材にするなら、利用条件を調べ、排出との関係を説明し、関係者に確認すべき点を含めた案を提出できる状態です。技術的な計算や設備の判断が必要なら、その工程を担当する専門家を設計段階で確認します。
自然保全や資源循環も大切な学習の題材ですが、それだけで脱炭素の学習目標を満たすとは限りません。どの排出源や生活の選択と関わるのかを、各回の問いに入れます。
カリキュラムは、各回の課題と成果物をつなげて組む

次の表は、約3か月・集合6回で構成する場合の設計例です。山口県や兵庫県の実施日程を再現したものではありません。対象者の予定、地域の条件、学習目標に合わせて調整します。
| 回 | 学習課題 | 参加者の成果物 | 運営側の準備 |
|---|---|---|---|
| ①導入 | 暮らしと排出源のつながりを考える | 生活の振り返りと、自分の問い | 共通資料、記入例、参加条件の確認 |
| ②事前調査 | 現場で何を確かめるかを決める | 調べた事実と、訪問先への質問 | 資料の出典、質問の確認、訪問先との調整 |
| ③現地学習 | 産業・暮らし・地域の条件を観察する | 観察と聞き取りの記録 | 移動、ガイド、訪問範囲、当日の担当 |
| ④案づくり | 課題と、解決を支える仕組みを考える | 対象者、根拠、協力先を含む企画案 | 実務者からの助言、検討する条件の提示 |
| ⑤検証 | 小さな試行や関係者への確認で案を見直す | 確認したこと、修正点、未確認事項 | 受け入れ先、相談対応、必要な専門家 |
| ⑥発表 | 判断してほしい点と、次の一歩を伝える | 提案書と、今後の行動計画 | 聞き手、フィードバック方法、引継ぎ先 |
発表だけを最終目標にせず、質問、根拠、確認、修正がどの成果物に残るかを決めます。欠席した参加者にも、前の回の資料と成果物を参照し、チームへ戻れる方法を用意します。
導入や案づくりで行う対話の具体的な進行は、脱炭素ワークショップの120分構成例を参考に、各回のねらいに合わせて調整できます。
現地学習では、見た事実と自分の解釈を分けて記録する

訪問先は、学習課題から選びます。再生可能エネルギーの施設なら設備だけでなく、運営、地域との関係、利用条件について聞く。交通なら利用者の暮らしと提供側の事情を合わせて確かめる、といった設計です。
学習シートには、見た事実・聞いた説明、自分の解釈、追加で確かめる点を分けて記入します。「良かった」「驚いた」で終わらず、何を根拠に次の案を考えるかが残ります。
現地で確認した課題が広い環境・地域の問題であれば、排出の話と直接結びつく部分、別の価値として扱う部分を整理します。見学しただけで排出量や削減効果を把握できたとすることは避け、必要な資料を次の課題にします。
現地訪問の前後に使う資料や記録シートは、脱炭素教材の選び方で、対象者・学習目標・出典の確認項目を整理できます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
各回のつながりと、
運営の役割を具体化する。
学習内容、訪問先、課題、成果物、関係者との調整を一緒に考えます。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
運営表に、主催・事務局・専門家・地域の担当を入れる

| 業務 | 決めておく担当・判断 |
|---|---|
| 募集と選考 | 主催者の対象条件、募集経路、参加者への案内を事務局と確認 |
| 教材と課題 | 学習設計担当が作成し、必要な分野を講師・専門家が確認 |
| 現地学習 | 受け入れ先と事務局が訪問範囲、移動、当日の連絡体制を調整 |
| 各回の間の相談 | 連絡先、回答する担当、相談できる内容と時期を明記 |
| 成果物と発信 | 主催者が使用範囲を確認し、事務局が資料・写真・記録を整理 |
| 事後の引継ぎ | 提案を検討する部署・協力先、次の判断日を確認 |
全業務を同じ人に集めず、内容への助言と、日程・連絡の調整を分けます。現地訪問では、対象者に応じた参加条件、移動や施設の利用条件、天候等による変更判断も準備表に入れてください。
予算は講師費や会場費に加え、募集、教材、移動、訪問先調整、各回の間の支援、成果整理まで含めて考えます。見積もりを比較するときは、回数だけでなく担当する業務をそろえます。
山口・兵庫の実践から、各回をつなぐ方法を見る

山口県:日常から地域の資源へ、問いを広げる
山口県主催の2026年プログラムで、Re-Generationは事務局を担当しています。DAY1では暮らしと環境を考え、8月22日のDAY2では美祢・秋吉台を巡り、過去の石炭、現在の石灰石産業、自然の利用と保全を学びました。
8月23日のDAY3は萩を訪れ、先人の志や地域の歴史を題材に、自分が大切にしたいことを考えています。公開済みの実践から参考にできるのは、題材をつなぎ、学びを問いと企画に持ち帰る設計です。今後のアクションや排出削減は、実施済みの成果として扱いません。

兵庫県:現地での学びを、提言と発表へつなぐ
兵庫県主催の「ひょうごZ世代 里山・里海環境リーダー育成プログラム」で、Re-Generationは企画・運営を担当しました。2025年5月から約5か月の学びを経て、15名が4チームで9月27日の国際フォーラムに提言を発表しています。
この事例は、里山・里海や地域循環共生圏を中心とした環境リーダー育成です。脱炭素の削減実績の事例ではなく、現地学習、各回の間のメンタリング、外部への提言をつなぐ設計の参考として紹介します。

成果物の評価と、終了後の引継ぎを設計する

評価項目は、課題と成果物に対応させます。例えば提案書なら、対象者が明確か、根拠の出典があるか、協力を求める相手と未確認の条件が書かれているかを、同じ基準で確認します。文章や発表の上手さだけで学習成果を決めないことが大切です。
終了時には、提案を受け取る担当、試すための条件、次の相談先を残します。実行を評価する場合は、確認する時期、連絡方法、回答した人の範囲も決めます。排出への影響を評価する場合は、活動量や比較条件、必要な専門性を別途組み込みます。
プログラムの相談では、対象者、育てたい担い手の姿、扱いたい地域課題、期間、既存の協力先を共有してください。検討中の項目があっても、学習と運営の設計から一緒に整理できます。
終了後に実践の変化を確かめる場合は、脱炭素の行動変容と評価の考え方も参照し、理解・実行・排出への影響を分けて確認してください。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
育てたい担い手の姿から、
プログラムを組み立てる。
対象者、期間、地域の課題を伺い、企画・募集・運営・振り返りの支援範囲をご提案します。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
実施期間や目的に合わせて、単発の脱炭素ワークショップもご覧ください。
主な参照資料:山口県DAY1、山口県DAY2、山口県DAY3、兵庫県の環境リーダー育成、環境教育・次世代人材育成の対応範囲。確認日:2026年10月3日。



