脱炭素の行動変容を促すには、「知ってもらうこと」と「実行できる条件を整えること」をつなぐ必要があります。変えてほしい行動を具体化し、本人が選べる範囲と、地域・組織が支える条件を一緒に考えます。
「環境への関心はあるのに行動が変わらない」「講座の後が続かない」。この記事では、自治体・企業の担当者に向けて、行動の選び方、障壁の把握、小さく試す施策、評価の組み立てを整理します。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
学びを、暮らしで試せる
次の一歩へ。
若者が日常生活と環境のつながりを考え、行動や企画を具体化する学び・対話をつくります。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
行動変容は、認知・意欲・実行を分けて考える

気候変動や脱炭素を知っていても、通学に使える交通機関がない、住まいの設備を自分で選べない、初期費用が負担になるといった条件があります。行動しない理由を、関心や意欲だけで説明しないことが出発点です。
環境省の日本版ナッジ・ユニット(BEST)では、ナッジをはじめとする行動科学の知見を適切に活用する取り組みと資料を公開しています。表示や手続きの改善も検討できますが、必要な設備・サービス・費用の支えまで情報だけで代替できるとは限りません。
「今後やりたい」という回答は意向です。実際に試したか、どのくらい続いたか、排出にどう影響したかは、別の確認項目にします。
認知・関心・行動の違いを把握する質問は、脱炭素の意識調査の設問例で確認できます。行動の理由まで聞き、支援を選ぶ材料にしてください。
変えたい行動を、生活場面と排出源に結びつける

「脱炭素に協力してもらう」では、何を実行してよいか分かりません。誰が、いつ、どこで、何を変えるかを具体化します。例えば移動なら、対象を「通学全般」から「一定の条件で代替手段を選べる通学日」へ絞って考えます。
| 題材 | 行動を具体化する例 | 地域・組織が確かめる条件 |
|---|---|---|
| 移動 | 利用できる日に公共交通を試す | 経路、便数、運賃、所要時間、利用上の配慮 |
| 電気の利用 | 不要な照明や機器の使用場面を見直す | 管理権限、設備の用途、快適さ・安全性 |
| 食 | 購入量と使い切れなかった食品を振り返る | 保存、献立、売り方、世帯の事情 |
上記は施策を考える例です。公共交通や省エネルギーの効果は、もとの行動、利用条件、活動量によって変わります。資源循環や自然保全を扱う場合も、脱炭素とどの点で関わるかを説明します。一般的な対策の一覧は脱炭素の取り組み事例で確認できます。
行動を妨げる理由に合わせて、支援を選ぶ

参加者には「なぜしないのか」より、「最近、選ぶときに迷った場面」「試すとしたら難しいこと」を聞きます。費用、時間、設備、周囲との関係などを整理すると、本人の行動計画と、主催者が改善する課題を分けられます。
選択肢があるのに手順が分かりにくい場合は、案内や申込みの改善を試せます。選択肢自体がない場合は、サービス提供者や関係部署との検討が先になります。施策を複数重ねるときも、どの障壁に対応するものかを書き出してください。
同じ施策を全員に求めず、参加者が自分の条件に合う行動を選べるようにします。意見を聞く方法は、意識調査と対話の設計を組み合わせると具体化できます。
参加者と障壁や必要な支えを話し合う場は、脱炭素ワークショップの進め方を参考に、問い・進行・持ち帰る成果物を設計できます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
できない理由も、
企画のヒントに。
対象者の生活条件を伺い、情報提供、対話、実践へのつなぎ方を組み立てます。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
学習と対話の実践から、行動へのつなぎ方を考える

山口県:一日の行動から、環境とのつながりを見つける
2026年8月2日のDAY1では、参加者が起床から就寝までの行動を書き出し、環境の視点を加え、関心のあるテーマを整理しました。Re-Generationは山口県主催プログラムの事務局とワークの設計を担当しています。
実施レポートには、普段の行動を別の視点で捉えた参加者の感想が掲載されています。ここから行動変容を評価するなら、後日、試した行動と継続の条件を確認する工程が必要です。DAY1の感想を排出削減実績に置き換えることはできません。

神戸・三宮:個人の行動と、まちが支える仕組みを一緒に考える
神戸の共催ワークショップでは、若者・行政・研究者が、再開発とカーボンニュートラルを題材に未来のまちの案を考えました。歩きたくなるまちや、まちなかで環境との関係を意識できる仕掛けなどが提案されています。
この事例から参考にできるのは、暮らしの経験と行政・研究の情報を重ねる方法です。提案段階のアイデアを、実装済みの施策や行動の変化として紹介しません。

小さく試す施策に、実行と評価の条件を入れる

最初の試行では、対象の行動と実施期間を絞ります。例えば「次の一週間で、利用できる日に代替の移動手段を一度試す」といった案です。これは企画例であり、実施事例の当日の課題ではありません。
| 行動計画の項目 | 記入する内容の例 |
|---|---|
| 試す場面 | 授業の開始時間に間に合う日に、利用できる経路を試す |
| 必要な準備 | 時刻・運賃・所要時間・帰りの経路を調べる |
| 主催者の支援 | 分かりやすい案内、困ったときの相談先を用意する |
| 振り返り | 実行したか、使いやすさ、難しかった条件を記録する |
振り返りで実行できなかった参加者も、施策を改善するための大切な情報源です。できた人だけの声で「全員に効果があった」と評価せず、負担や利用条件の違いを確認します。
理解・実行・排出への影響を、別の指標で確かめる

理解は設問や成果物、実行は本人の記録や適切な行動データ、排出への影響は活動量と排出係数などで確かめます。どの資料を用い、何を比較したかを残します。自己申告と計測値も区別してください。
季節、生活環境、他の施策が変われば、前後の行動やエネルギー使用も変わり得ます。より厳密に施策の効果を確かめる場合は、比較対象、実施条件、必要なデータを専門家と設計します。参考の削減量を、参加者全員の実績にそのまま掛け合わせないことが大切です。
Re-Generationでは、若者の暮らしと環境を結ぶ学習・対話やプログラムの企画・運営を支援しています。参加者の行動計画と、行政・企業が支える条件の両方からご相談いただけます。
一度試した経験を次の学びにつなぐ継続企画は、脱炭素人材育成プログラムの設計で、各回の振り返りと成果物の評価を組み込む方法を確認できます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
若者と考える脱炭素施策を、
目的の整理から。
単発の学習から継続型のプログラムまで、実施と振り返りの範囲を相談できます。
- 高校生・大学生の視点
- 目的に合う学び・対話
- 企画・募集・運営の支援
実施期間や目的に合わせて、単発の脱炭素ワークショップもご覧ください。
主な参照資料:環境省・日本版ナッジ・ユニット(BEST)、山口県DAY1実施レポート、神戸・三宮実施レポート。確認日:2026年10月3日。



