若者が参加するまちづくりを進めるには、募集する経路と、参加した後に声を活かす仕組みを一緒に考える必要があります。「若者の意見を聞きたい」と呼びかけるだけでは、何を期待されているか、参加して何が変わるかが伝わりにくいためです。
高校生、大学生、働く若者、地域を離れた人では、使える時間や地域との接点が異なります。本記事では、自治体や企業が若者参画を企画するときの、対象者の考え方、募集、対話、継続の設計を解説します。

自治体・デベロッパー・エリア運営のご担当者へ
若者とつくる
都市開発・まちづくりを、
リジェネレーションと。
学生や若者との接点づくりから、参加しやすい対話の場の設計まで。募集・当日の運営・実施後のつながりを、地域の目的に合わせて組み立てます。
- 若者の声を可視化
- 地域の未来を共創
- 企画から運営まで
神戸・三宮、三木市などの実践事例と、支援内容・進め方をご紹介しています。
若者に参加してもらう目的を具体化する
目的には、利用者の声を知る、地域の将来像を考える、企画を一緒につくる、地域の担い手を育てるなどがあります。目的によって、参加してほしい人と、参加後の関わり方が変わります。
例えば、駅前施設の利用を考えるなら、まちづくりに関心がある学生だけでなく、普段その駅を使いながら施設には立ち寄らない人も対象になります。地域活動の担い手育成なら、継続して関われる条件や、参加者が学びたいことを確かめる必要があります。
若者の意見を聞いたことと、若者全体の意向を把握したことは異なります。参加者の範囲を記録し、声を聞けていない層を把握しましょう。
「参加してほしい理由」を主催者側でも言葉にする
若者の意見を計画に反映したいのか、地域との接点をつくりたいのか、企画を担う人を育てたいのかによって、必要な期間と役割は変わります。例えば計画への意見聴取であれば、どの論点をいつまでに検討するかが中心です。担い手育成であれば、本人が経験できる作業や、相談できる相手を用意する必要があります。
両方を目指す場合も、同じアンケートでまとめて評価せず、意見をどう使えたかと、参加者が何を学び次に何をしたかを分けます。目的を募集段階で説明すると、参加者も自分の関わり方を選びやすくなります。
対象者を、年齢と地域との関わり方で整理する

| 観点 | 検討する例 |
|---|---|
| 年齢・生活段階 | 高校生、大学生、就業中、子育て中など |
| 地域との関係 | 居住、通学、通勤、出身、訪問経験など |
| 現在の参加 | 活動経験がある、関心はある、接点がない |
| 利用状況 | 頻繁に使う、ときどき使う、使わない |
| 参加の条件 | 日程、移動、費用、オンライン対応など |
属性を細かく決めることが目的ではありません。企画の判断に必要な違いを選びます。小規模な対話ですべての層をそろえられない場合は、今回聞く人と、別の方法で補う人を分けましょう。
地域との関わり方によって、聞ける経験が違う
| 対象 | 聞きたい経験の例 | 参加条件で確認したい点 |
|---|---|---|
| 地域に住む高校生 | 通学、放課後、休日の過ごし方 | 学校行事、帰宅時刻、保護者等への案内 |
| 地域の大学に通う学生 | 移動、居場所、地域との接点 | 授業日程、長期休暇、交通手段 |
| 地域外へ進学・就職した人 | 離れて気づいた魅力や不便 | オンライン参加、帰省時期 |
| 地域で働く若手 | 働く場所と暮らす場所の関係 | 勤務時間、休日、職場との調整 |
地域との関わりが異なる人を混ぜることには、見方を広げる利点があります。ただし、地域外の人の意見だけで居住者の生活条件を判断しないよう、発言の背景を残します。年齢だけで「若者の声」を一つにまとめないことが、活用しやすい記録につながります。
募集経路は一つに絞らず、届く相手の違いを見る

学校、学生団体、地域団体、SNS、施設内の案内などでは、届く人が異なります。学校経由なら担当者との調整、団体経由なら活動目的との接点、SNSなら参加条件と申込までの分かりやすさが重要になります。
| 募集経路 | 活かせる接点 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 学校・教員 | 授業や地域学習との関係 | 行事・試験時期、校内の手続 |
| 学生団体 | 既存の活動や関心 | 団体の目的、役割、参加負担 |
| 地域団体・施設 | 日常の利用や地域活動 | 常連以外にも届くか |
| SNS・ウェブ | 関心や地域を軸とした案内 | 誰が見る媒体か、条件が明確か |
| 現地での案内 | その場所の実際の利用者 | 時間帯による利用者の違い |
特定のネットワークで集まる人には、関心や行動の共通点がある場合があります。一つの経路で集めた参加者の声だけで、若者全体を説明しないようにします。学生団体の特徴と企業・自治体との連携も、募集先や協働相手を考える際の参考になります。
「参加してください」の前に、参加する理由を伝える
若者側にも、地域を知りたい、仲間をつくりたい、関心のある課題に取り組みたいなどの理由があります。主催者が得たい成果と、参加者が得られる経験の両方を明確にしましょう。
例えば、募集文には「地域の将来について意見交換します」だけでなく、「普段の困りごとを地図に書き込み、担当者と改善案を考える」など、当日にすることを書きます。必要な準備、所要時間、費用、成果の使い方も伝えます。
若者を無償の作業要員として扱わず、求める役割に応じて、謝礼・交通費や活動負担を検討します。運営補助、意見提供、企画の共同実施は異なる役割です。募集時点で曖昧にしないことが、参加後の認識のずれを減らします。
募集文に入れると参加を判断しやすくなる情報
募集文では、テーマと日時に加えて、当日に何をするか、準備や専門知識が必要か、誰と一緒に取り組むかを具体的に伝えます。成果物の公表や写真撮影を予定するなら、その扱いも事前に案内します。参加費、交通費の扱い、途中参加の可否、服装や持ち物など、申し込む前に知りたい条件もそろえましょう。
例えば「まちづくりに関心がある学生募集」だけでなく、「駅前で放課後を過ごすときの困りごとを話し、現地を歩いてアイデアをまとめる」とすると、自分の経験を話せそうか判断できます。これは募集文の記載例です。実施できる内容だけを載せ、意見が必ず採用されるなどの約束は避けます。

自治体・デベロッパー・エリア運営のご担当者へ
若者とつくる
都市開発・まちづくりを、
リジェネレーションと。
学生や若者との接点づくりから、参加しやすい対話の場の設計まで。募集・当日の運営・実施後のつながりを、地域の目的に合わせて組み立てます。
- 若者の声を可視化
- 地域の未来を共創
- 企画から運営まで
神戸・三宮、三木市などの実践事例と、支援内容・進め方をご紹介しています。
対話では、経験を話せる問いと返答できる相手を用意する
プロジェクトの概要:三木市主催の「市制70周年記念 若者ミーティング」は、地域資源を学び、10年後の三木市を若者と考える参加型事業です。市内1大学・5高校の約50名が参加し、2023年8月〜2024年7月に協議・フィールドワークを重ね、周年記念式典で発表しました。リジェネレーションはワーク設計、職員への事前レクチャー、進行、発表へのフィードバックを支援しました。確認できる結果は検討・発表の実施であり、定住者増加を測った事例ではありません。出典:事業概要・担当範囲・発表内容。
大人が先に正解や完成案を示すと、参加者がそれに合わせて発言する場合があります。最初に個人で考える時間を設け、普段の行動や具体的な経験から聞いていきます。
「若者が住みたいまちとは」と大きく聞く前に、通学、買い物、友人との時間、仕事との関係など、暮らしの場面を分けてみましょう。地域に住み続けるかどうかは多くの条件に関わるため、一度の対話の満足度だけで定住効果を説明することはできません。
三木市の若者ミーティングは、地域を題材とする学びと企画検討をつないだ実践です。三木市の事例は、若者が考える時間と、周囲が支える役割の両方を検討する参考になります。
発言の負担を下げる進行の工夫
行政職員や専門家が同席すると、参加者が正解を探してしまうことがあります。最初は最近の経験を個人で書き、その後に少人数で共有すると、発言の準備ができます。「若者としてどう思うか」よりも、「最後にこの場所を使ったとき、どこで迷ったか」と聞く方が、具体的な経験を集めやすくなります。
発表が得意な人だけが代表にならないよう、文章、図、付箋など複数の表現方法を用意します。進行役は意見を褒めて終わらず、どの経験からそう考えたか、ほかの場面でも同じかを確認します。参加者の言葉を大人側の都合のよい表現へ置き換えないことも大切です。
福井の「Fukui Z世代わかものサミット」では、自己紹介で「今の気分」「福井といえば?」を聞く進め方を示し、進行・記録・資料作成・時間管理・アイデア出しの役割を設けました。未来像を話す際も、その背景にある経験を共有するよう促しています。自己紹介と役割分担、原体験を聞くワークの記録は、参加者が話す入口を考える参考になります。
参加後に、意見の扱いと次の選択肢を返す

東京市町村自治調査会の若者参画に関する調査研究では、施策への反映やフィードバック、若者への伴走などが提言として整理されています。詳細は調査研究報告書で確認できます。
実務では、参加者に次の3点を返す仕組みを用意すると、関わりの先が見えやすくなります。
- 聞いたこと:主な意見と、異なる見方があった点。
- 検討したこと:実施すること、追加で調べること、今回扱えないことと理由。
- 次の機会:試行への参加、活動の見学、企画チームなどの選択肢。
全員が運営メンバーになる必要はありません。単発で意見を伝える、時々参加する、中心となって企画するなど、関わり方に幅を持たせます。進学や就職で地域を離れても、無理なく関われる方法を検討できます。
若者の声を次回企画につないだうめきたの例では、2023年7月の対話で、交流への期待とともに、新しい挑戦への不安や、何をしたいかを行動に移す難しさが語られました。その声を受け、同年10月は自分の経験・価値観から未来像と行動を考える企画を実施しています。参加人数だけでなく、聞いた内容が次の場づくりにどうつながったかをたどれる事例です。参加者の声と、その後の企画へのつながりをご覧ください。
返答は、採否だけでなく検討の経過を伝える
意見を受け取った後は、担当者、検討する場、次に知らせる時期を決めます。採用できる案、条件の確認が必要な案、今回の範囲では扱えない案を分け、理由を簡潔に返します。検討に時間がかかる場合は、途中経過の共有にも意味があります。
次の参加機会は、運営を手伝う、試行に参加する、短い調査に答える、情報を受け取るなど、負担の異なる選択肢を用意します。継続参加を希望しない人の意見も同じように扱い、熱心な参加者だけを地域の代表としないようにします。
佐賀駅前の学生マルシェ「さがまる」では、うちわを使った自己紹介・他己紹介の事前交流会を設け、学生が出店・出演や運営を担う本番へ準備を進めました。14団体が活動を持ち寄ったさがまるの開催レポートは、互いを知る機会と、実際に役割を持って関わる機会を組み合わせた具体例です。
参加人数だけで評価しない
募集数に加え、どの経路から参加し、どの層の声が集まり、どの意見を次の判断に使えたかを見ます。継続参加を評価する場合も、参加可能な機会が実際にあったかを確認します。
| 観察すること | 次の改善 |
|---|---|
| 申込はあるが当日参加が少ない | 日程、移動、事前案内の負担を見直す |
| 同じ属性の人に偏る | 募集経路や対象条件を補う |
| 発言する人が偏る | 個人記入、グループ構成、進行を見直す |
| 次回につながらない | 結果の返答と、次の関わり方を具体化する |
| 提案が使われない | 意見を受け取る側の判断過程を整理する |
育成を目的とする場合は、担い手育成のプログラム設計のように、できるようになったことも見ます。幅広い住民参加との関係は、住民参加の手法と課題をご覧ください。
募集から継続まで、どこで参加が途切れるかを見る
応募数、当日の参加数、最後まで参加した人数、次の機会への参加を分けると、見直す箇所を考えやすくなります。応募が少ない場合は案内が届いているか、応募後の欠席が多い場合は日程や事前連絡に問題がないかを確認します。数字の変化だけで原因を決めず、参加者や運営者の記録も合わせて読みます。
参加後のアンケートでは、満足したかに加え、何が分かったか、どの作業を経験したか、次に関わるために必要な条件を聞く方法があります。連絡先を取得する場合は使い方を案内し、継続案内の希望を確認します。案内を受け取ることと、活動への参加を約束することを分けて扱いましょう。
継続参加を支えた例:兵庫県の里山・里海プログラム
プロジェクトの概要:「ひょうごZ世代 里山・里海環境リーダー育成プログラム」は、兵庫県が主催し、リジェネレーションが企画運営を担った、若者と地域の環境をつなぐ学習・提案事業です。2025年5月〜9月、15名が4チームでワークショップ、現地学習、メンタリングに取り組み、「ひょうご里山・里海国際フォーラム」で提言を発表しました。募集時の名称は「ひょうごZ世代 未来社会デザイン」です。出典:約5か月の実施レポート。提言の発表と、その後の政策化・事業化は区別して評価します。

参考になるのは、集合する日だけでなく、現地に出る機会と、チームが案を深める期間を組み合わせていることです。参加者の生活に無理なく収まる日程、途中で相談できる相手、最終的に誰へ伝えるかを募集前に示すと、必要な参加条件を共有できます。
居住者に限らず地域に関心がある人も対象にする場合は、地域外の人を歓迎する理由と、地元で活動する人の経験を聞く工程を示します。若者や地域外の参加者に、既存の取り組みを知らないまま評価する役割を求めないことも大切です。企画の土台はまちづくりの全体像で、継続型の組み方は担い手育成で確認できます。
佐賀のコスメ体験企画:参加から、運営する側へ
サガつくの大学生が企画した佐賀のコスメ体験イベントでは、学生が発案、設計、関係者との調整、当日の運営を担い、高校生ボランティアへの説明も行いました。佐賀青年会議所、佐賀県コスメ産業推進室、企業、専門学校などが協力し、リジェネレーションは後方支援を行っています。
この例では、若者を集めることに加えて、地域の協力者と相談しながら具体的な仕事を進める機会が生まれています。同種の企画を設計するなら、学生に任せる作業と支援側が確認する事項を分け、困ったときに相談できる窓口を用意すると役割を明確にできます。参加者数だけでは見えない「どの作業を本人が経験したか」を記録することも、育成の振り返りに役立ちます。企画から運営までを紹介した実施事例
若者との接点と、参加後の活用を一緒に相談する
リジェネレーションでは、若者の参画を含む調査や対話の企画・運営をご相談いただけます。誰の声を聞き、何の判断に使うかを整理するところから、まちづくり・地域共創の支援内容をご確認ください。
制作・参照情報
本記事は、公開中の実施レポートと、本文中に示した自治体・公的機関等の資料をもとに構成しています。比較表や質問例は企画検討のための整理で、特定の事業の成果を保証するものではありません。リジェネレーションの団体情報・事業内容もご覧ください。

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