サステナビリティ推進は、方針を掲げた後に「誰が判断し、誰が実行し、いつ何を確かめるか」を決め、日常の業務と年度計画へ落とし込む仕事です。推進部門だけで全施策を抱えるのではなく、経営・事業部門・関係者の役割をつなぎ、進捗に応じて計画を見直します。
「委員会はあるが施策が進まない」「担当者になったものの、年間計画の作り方が分からない」。この記事では企業・自治体の担当者に向けて、方針、体制、実行計画、KPI、振り返りをつなぐ方法を整理します。経営戦略や重要課題の選定そのものより、決まった方向性を実務へ移す場面に焦点を当てます。

サステナビリティ推進・CSRのご担当者へ
方針を、若者と考える
実践の機会へ。
Re-Generationは、企業・自治体と若者をつなぐ対話、環境学習、地域共創のプログラムを企画・運営しています。取り組みの目的と参加者を整理し、学びや共創の場を具体化します。
- 若者との接点づくり
- 目的に合う対話設計
- 企画から運営まで
企業・自治体と若者をつなぐ取り組みと、目的別の支援内容をご紹介しています。
サステナビリティ推進は、方針と日々の業務をつなぐこと

方針が抽象的なままでは、各部署は「自分たちが何をすればよいか」を判断できません。一方、イベントや報告書づくりだけを先に進めると、活動が方針とどうつながるかが見えにくくなります。推進担当には、上位の方針と現場で実行できる仕事の間をつなぐ役割があります。
国連グローバル・コンパクト、GRI、WBCSDによる「SDG Compass」は、SDGsの理解、優先課題の決定、目標設定、経営への統合、報告という5つの段階を示しています。この記事の進め方はこの資料を参考に、方針がある組織の実務向けに整理したものです。すべての組織に同じ順序や会議体を求める制度ではありません。出典:UN Global Compact・The SDG Compass。
まず確認したいのは、方針や重要課題のうち、今回の計画でどこまで実行するかです。重点課題がまだ承認されていない場合は、担当者の判断だけで全社の優先順位を確定せず、経営や所管部門へ決定を求めます。同時に、既存施策の一覧や必要な情報を集める準備は進められます。
推進担当者が作る最初の成果物は、立派な資料よりも「目指す変化・対象業務・責任者・年度内に決めること」をそろえた一枚の整理表です。環境、調達、人事、事業、地域連携など、どの部署の仕事に関わるかを明らかにしてから、施策の数や開催日を決めましょう。
推進体制は、承認・調整・実行・確認の役割で設計する

推進体制に唯一の正解はありません。専任部署、兼務担当、部門横断の会議体など、組織の規模と課題に合う形を選びます。ただし、誰が実行するかと、誰が予算や方針変更を決めるかは分けて確認する必要があります。「みんなで担当」では、課題が起きたときの判断が止まりやすくなります。
| 役割 | 主に担うこと | 先に決めること |
|---|---|---|
| 経営・事業責任者 | 目的・資源・優先順位を承認する | 予算、判断する会議、変更の承認範囲 |
| 推進担当・事務局 | 計画を整理し、部署間を調整する | 進捗の集め方、相談先、報告様式 |
| 実行部門 | 業務に施策を組み込み、記録する | 担当者、工数、実施期限、協力先 |
| データ・説明の確認担当 | 数字や社外説明の根拠を確認する | 記録の保存場所、確認手順、公開前の確認者 |
この表は役割分担の例です。小規模な組織では同じ人が複数を兼務して構いません。その場合も、推進担当が独断で予算を使ったり、測定した人だけで社外向けの効果を判断したりしないよう、責任者による確認の機会を設けます。
事業部門には、方針の説明だけでなく「既存業務のどこを変えてほしいか」「どの情報を、いつまでに共有してほしいか」を具体的に伝えます。例えば調達担当に関わってもらうなら、調達先の現状確認なのか、基準の見直しなのかで、必要な権限と時間が変わります。
自治体では庁内の所管課と事業実施者に加えて、予算・契約・広報などの手続きを確認する部署も整理します。外部パートナーが企画運営を担う場合でも、施策の採否や説明責任を持つ主体は明確にしておきます。地域の協働体制を詳しく考えたい場合は、地域共創の進め方も参考になります。
年間ロードマップは、決定日から逆算してつくる

ロードマップは活動日を並べた予定表だけではありません。何を確かめた後に、誰が次の判断をするのかを見えるようにするものです。予算要求、契約、取引先との調整、学校の学期など、組織や相手の都合に合わせて逆算します。
| 時期の例 | 主な仕事 | 次へ進むための判断 |
|---|---|---|
| 1〜3か月 | 既存施策・情報を整理し、責任者と対象を決める | 対象と範囲、使える予算・工数を承認 |
| 4〜6か月 | 優先施策を小さく実施し、記録を集める | 継続の条件、追加で必要な情報を確認 |
| 7〜9か月 | 現場の負担や参加者の反応を踏まえ修正する | 拡大するか、内容を変えるかを判断 |
| 10〜12か月 | 実施と変化を振り返り、次年度案をまとめる | 継続・変更・終了と次年度の資源配分を決定 |
これは初年度の設計例であり、標準の所要期間ではありません。すでに施策がある組織は、初めから振り返りに入ることもできます。逆に調達や設備の変更を伴う場合は、検証や合意に年度をまたぐ期間が必要なこともあります。急いで形式だけの完了を作るのではなく、判断に必要な条件を明確にします。
各施策には、実施日とは別に「準備が整ったかを確認する日」と「結果を判断する日」を置きましょう。例えば秋に若者との対話を開くなら、夏までに意見の活用先と参加条件を決め、開催後に所管部門が検討する会議を確保します。事後の会議がなければ、意見を集めても次の業務へ渡せません。
進捗管理の単位は、作業を細分化し過ぎず、遅れると次の工程が止まる節目を中心にします。担当者と期限に加えて、前提条件や依頼先を書いておくと、「連絡待ち」と「社内判断待ち」を分けて対処できます。

サステナビリティ推進・CSRのご担当者へ
目的と活用先から、
実践の形を考える。
若者の経験や関心を、企業・自治体のテーマとつなぐ対話を企画しませんか。参加者との接点づくり、問いの設計、当日の運営まで、目的に合うプログラムを検討します。
- 若者との接点づくり
- 目的に合う対話設計
- 企画から運営まで
企業・自治体と若者をつなぐ取り組みと、目的別の支援内容をご紹介しています。
施策・担当・KPIを、一つの実行計画でつなぐ

施策が多くても、方針とのつながりと担当が不明確では実行が進みません。一つの施策につき、目的、対象、実施内容、責任者、期限、必要な資源、確認方法を同じ表に置くと、抜けを見つけやすくなります。KPIは別の報告用一覧に閉じず、次の判断に使える形で施策と結びつけます。
| 計画項目 | 地域と若者の対話プログラムの記入例 |
|---|---|
| 目的 | 次年度の地域プログラムで、若者が参加しにくい要因を改善する |
| 対象・施策 | 対象条件を定めた参加者と、経験・困りごと・改善案を話し合う |
| 役割 | 地域担当が責任者、推進担当が調整、企画運営者が進行・記録 |
| 期限・資源 | 募集、開催、社内検討、返答の時期と担当工数・予算を確保 |
| 実施の確認 | 募集条件に合う参加状況、対話・記録の実施、返答の完了 |
| 変化の確認 | 改善案が何に反映されたか、参加上の課題がどう変わったか |
| 判断 | 継続・修正する内容を責任者が決め、次年度計画へ反映 |
上の表は企画例です。参加人数やアンケートの回収数は、実施の量や把握できた範囲を確かめる情報です。それだけで、地域の課題が解決した、若者の行動が変わったとは言えません。目的に対応する変化を別に確かめ、確認できないことは未確認のまま残します。
数値目標を置く際には、現状、対象、期間、データの取り方を先に確認します。初めて行う施策で現状値がない場合は、最初の実施で把握する事項と、把握後に目標を決める時期を計画へ書きます。根拠のない数値を先に固定すると、数字を満たすことが目的になりかねません。
また、担当者の工数と協力先の負担も計画に含めます。測定のために現場の仕事が回らなくなるなら、指標を絞るか既存の記録を活用する方が現実的です。ここでは指標の網羅的な設計ではなく、「何の判断に使う情報か」をそろえるところまでを押さえましょう。
企業・自治体との実践に学ぶ、計画を動かすための工夫

サステナビリティ全体の推進体制と、個々のプログラムの運営は同じものではありません。ただし、担当や節目を具体化する工夫は、個別の実践から学べます。ここではRe-Generationが関わった3つの取り組みを、実行計画の観点で見ていきます。
兵庫県:最終発表と、途中の支援を計画に組み込む
兵庫県主催の「ひょうごZ世代 里山・里海環境リーダー育成プログラム」では、Re-Generationが企画運営を担当しました。2025年5〜9月の活動には、ワークショップ、里山・里海でのフィールドワーク、メンタリング、中間発表があり、最後に国際フォーラムで提言を発表しました。出典:兵庫県の実施レポート。
実行計画へ応用できるのは、集合日だけでなく、その間に参加者が進める作業と相談先まで設計することです。発表日だけを設定するのではなく、案を見直す機会と支援を入れると、途中で必要になる仕事を把握できます。この事例の提言発表は確認できますが、その後の環境改善を測定した結果とは区別します。
NTT東日本:現状と理想の違いから、行動を考える

NTT東日本と連携した2025年7月のプログラムでは、都市と地方の現在の関係、理想の関係、今後のアクションプランを順に考えました。参加者は自分の活動と未来像を照らし合わせ、取り組みたい行動を整理しています。出典:NTT東日本との実施レポート。
組織の計画でも、「理想の姿」と「今の仕事」の間を埋める問いが役立ちます。例えば「地域との関係を深める」という方針なら、現在どんな接点があり、誰と話せていないかを確かめ、次の行動に落とします。参加者の行動案を、そのまま企業が実施を決めた施策として扱わないことも大切です。
三木市:実施前に、職員と進行の考え方をそろえる
三木市の「市制70周年記念 若者ミーティング」では、Re-Generationが高校生に向けたワークの設計や運営を支援し、職員への事前レクチャーや発表内容へのフィードバックも担当しました。出典:三木市の実施レポート。
担当者間で進め方を共有する準備も、実施計画の一部です。外部へ運営を依頼する場合でも、行政や企業の担当者がどこで関わり、何を確認するかを合わせておく必要があります。若者との対話そのものの設計は、ステークホルダーエンゲージメントの進め方で詳しく解説しています。
定例会議では、報告の後に「次の判断」を残す

会議が活動報告だけで終わると、担当者は次に何をすればよいか分かりません。進捗を共有した後に、予定との違い、対応案、必要な判断、次回までの担当と期限を決めます。会議の頻度は一律に増やさず、施策の節目や判断が必要なタイミングに合わせます。
| よくある状態 | 確認すること | 次の対応の例 |
|---|---|---|
| 施策が遅れている | 作業量、前提条件、判断待ちのどれが原因か | 範囲を絞る、資源を追加する、判断者へ上げる |
| 実施したが変化が分からない | 目的に合う情報を集めているか | 聞く項目や確認時期を見直す |
| 現場の負担が大きい | 追加業務と既存業務が重なっていないか | 記録様式を共通化し、役割や頻度を調整する |
| 部署間で合意できない | 争点と、決定できる人が明確か | 選択肢と影響を整理して責任者に判断を求める |
議事録には「引き続き検討する」だけを残さず、未決事項、必要な情報、その情報を集める人、決定日を記載します。判断できなかった場合も、何が不足しているかが分かれば次の作業を進められます。うまくいかなかった施策を止めることも、資源を必要な取り組みへ振り向けるための判断です。
社外へ活動を伝える際は、実施記録と変化の根拠を確認し、対象・期間・限界が分かる説明にします。社内向けの速報値を、確認せずに外部公表へ転用しないよう、責任者と確認手順を決めておきましょう。報告内容の整理には、サステナビリティレポートの内容と読み方も参考になります。
着任後の最初の打ち合わせで確認したいこと

担当者になったばかりなら、最初から全社の活動を一人で設計しようとせず、組織として決まっていることと、これから決めることを分けます。次の質問を使い、責任者と関係部署に確認してみてください。
- 承認済みの方針や重点課題は何か。今回の担当範囲はどこまでか。
- すでに実施している活動、契約、集めているデータは何か。
- 予算や方針の変更を判断できる人は誰か。
- 現場で施策を動かす部署と、調整が必要な相手は誰か。
- 年度内に決めることと、外せない期限はいつか。
- 次回の会議に、誰がどの情報や計画案を持ち寄るか。
確認後は、優先する一つの施策を実行計画の形にし、担当・期限・確認方法がそろっているかを点検します。足りない情報がある場合は、調べる作業そのものを計画に入れます。方針、役割、実施、振り返りがつながれば、その経験を次の施策にも活かせます。
若者との対話、環境学習、地域との共創を施策として検討する場合は、企画する目的と、得た声や学びをどこへ活かすかを先に整理しましょう。企業の学習プログラムについては、企業の環境教育の導入・評価も参考にできます。

サステナビリティ推進・CSRのご担当者へ
次の取り組みを、
一緒に具体化しませんか。
若者との対話や環境学習、地域共創の企画について、支援内容と実施事例をご覧いただけます。ご検討中のテーマや参加対象に合わせてご相談ください。
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