脱炭素ゲームは、温室効果ガスの排出や社会の選択を、体験しながら考える学習の方法です。カードゲームやシミュレーションを使う場合は、学びたい内容に合う教材を選び、実施条件を確認し、体験後に選択の理由や現実との関係を話す時間を設けます。
自治体・企業・学校で活用を検討する方に向けて、教材の選び方、運営の確認事項、振り返りの問いを解説します。特定のゲームを購入・体験したい方は提供元の公式案内へ、学習全体の企画を考える方は対話と実践へのつなぎ方を確認してください。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
体験を、自分の言葉で
考える学びにつなぐ。
高校生・大学生が環境と日常の関係を考える、体験・対話を組み合わせたプログラムを設計します。
- 高校生・大学生の学び
- 体験と対話の設計
- 企画・運営の支援
ゲームで何を学びたいかを、先に決める

ゲームの名称を先に決めるより、参加者にどのような経験をしてほしいかを整理します。排出と活動の関係を捉える、異なる立場で判断する、他者と協力する、といった目的です。目的に合う体験ができるかは、公式の教材説明や体験会で確認しましょう。
| 学習の目的 | 比較する教材の特徴 | 振り返りで確認すること |
|---|---|---|
| 排出と活動の関係を考える | 活動が環境に与える影響を扱う | 選択と結果の関係を説明できるか |
| 立場の違いを理解する | 異なる役割や目標を持つ | 他者の判断の背景を考えられるか |
| 協力の方法を考える | 交渉や共同の選択がある | 一緒に取り組むための条件を挙げられるか |
SDGs全体を扱うゲームと、カーボンニュートラルに焦点を当てるゲームでは、主な学習内容が異なります。環境という共通の言葉だけで選ばず、どの仕組みを扱い、どの問いを残せるかを見比べます。
ゲームは現実の一部をモデル化した体験です。ゲーム内での結果を、参加者の実際の排出量や、地域施策の効果測定と同じものとして扱わないようにします。基本用語の確認には、カーボンニュートラルの意味も参照できます。
教材の公式案内で、人数・時間・運営条件を確かめる

参加者の年齢や人数、必要な机や広さ、読み書きの量、進行役の条件を確認します。体験だけの時間で会場を押さえると、説明や振り返りが不足することがあります。教材が指定する進行を尊重し、学習全体の時間を見積もりましょう。
株式会社プロジェクトデザインのカードゲーム「2050カーボンニュートラル」は、組織や個人の活動と、社会全体のカーボンの状態を扱うシミュレーションゲームです。公式説明では、参加者が組織のメンバーとしてチームを組み、他のチームと交渉しながら活動します。詳しい内容は提供元の案内で確認できます。
同社のゲーム活用の手引きでは、公認ファシリテーターとして自分で運営する方法と、運営事務局へ依頼する方法を案内しています。必要な時間・人数・費用・実施方法は、企画の条件を伝えて提供元へ確認してください。リジェネレーションの本稿は、特定ゲームの公認資格や提供実績を示すものではありません。
| 確認する項目 | 提供元に伝える情報の例 |
|---|---|
| 目的と対象 | 学びたい内容、年齢、参加経験 |
| 人数と時間 | 予定人数、説明と振り返りを含む総時間 |
| 会場と配慮 | 机配置、音響、端末、参加者への配慮 |
| 教材と運営 | 利用許諾、進行役、依頼方法、見積もり条件 |
企画書には、教材名と提供元、確認日、運営方法、別途調整が必要な条件を残します。開催日が先の場合は、正式な依頼時に条件の変更がないかを確認しましょう。
ゲームと組み合わせる解説資料やワークシートは、脱炭素教材の選び方で、対象者・学習目標・出典・利用条件を確認できます。
説明・体験・振り返りを、一つの学習として設計する

体験前には、学習の目的と参加の約束を伝えます。ゲームの正解を当てる時間ではなく、判断の理由や他の人との関わりから学ぶことを共有すると、失敗した場面も振り返りの材料になります。ルール説明や進行は、教材の公式条件と担当ファシリテーターの設計に従います。
体験中は、判断に迷った場面や、他のチームとの交渉など、後で話せる経験を残します。ただし、主催者が独自の記録や問いを加えてよいかは進行役と相談し、ゲームの体験を妨げない方法を選びます。
| 段階 | 参加者がすること | 主催者が用意すること |
|---|---|---|
| 体験前 | 目的や進め方を知る | 公式の説明、会場、参加者への配慮 |
| 体験中 | 役割に沿って判断・交渉する | 進行役と教材、必要な運営補助 |
| 振り返り | 何が起き、なぜ選んだかを話す | 個人で考える時間、共有の問い |
| 現実へつなぐ | 日常や地域に似た場面を挙げる | 資料、関係者の話、次の課題 |
振り返りは、全員が大勢の前で発言する方法だけにせず、個人の記入、小グループ、全体共有を組み合わせられます。発言が速い人だけで結論を決めないよう、考えを書き出す時間を確保しましょう。
体験後の対話を含む学習全体の進行は、脱炭素ワークショップの企画例を参考に、教材が定める時間や運営条件と合わせて設計してください。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
選んだ理由を話し、
暮らしや地域と結びつける。
学ぶ目的に合わせて、振り返りの問い、共有の方法、次に調べる課題を考えます。
- 高校生・大学生の学び
- 体験と対話の設計
- 企画・運営の支援
体験後の対話で、選んだ理由と現実の条件を考える

ゲームの後は、まず経験を整理し、その後に理由を尋ねます。いきなり「明日から何をするか」を聞くと、体験で見えた葛藤や他者との関係を十分に考えられないことがあります。話す順番を分けることで、学びを自分の言葉にしやすくなります。
| 問いの段階 | 問いの作成例 |
|---|---|
| 経験を整理する | 印象に残った判断は何でしたか。どんな結果になりましたか |
| 理由を考える | 何を優先しましたか。その時、どんな情報が必要でしたか |
| 他者との関係を見る | 他の人の選択は、自分の判断にどう関わりましたか |
| 現実との共通点を探す | 学校・職場・地域にも似た場面はありますか |
| 現実との違いを確かめる | ゲームにはなかった制度、費用、生活条件は何ですか |
これらは本稿のための問いの作成例です。各教材に指定された振り返りがある場合は、その構成を確認した上で進行役と調整します。参加者が異なる気づきを得ることを想定し、一つの結論に揃えるために誘導しすぎないようにします。
現実との違いも問いにすると、ゲーム内でできたことを、そのまま生活者に求めることを避けられます。地域の交通、住まい、職場のルールなどを確認し、「変えたい行動」と「変えるために必要な条件」を分けてみましょう。
現実の生活で選びにくい理由をさらに確かめる場合は、脱炭素の意識調査の設問例で、関心・行動・制約を分けて聞く方法を確認できます。
生活や地域を考える実践から、対話のつなぎ方を学ぶ

ここでは、体験から対話や提案につなぐ設計の参考として、リジェネレーションが関わった環境学習の事例を紹介します。以下は特定のカードゲームを実施した事例ではありません。
体験後に調べる課題が生まれたら、次の学習回や地域の活動先を用意します。継続する学びの組み立ては、脱炭素人材育成プログラムの設計でも解説しています。
次の行動と評価を、具体的な場面で確かめる

最後は、試したいことを一つ選び、場面と必要な条件を記します。「環境に良い行動をする」なら、次の通学で移動の選択肢を調べる、職場の担当者に設備の使い方を聞くなど、具体的に何をするかまで整理します。調べることや相談することも、次の一歩になります。
- いつ、どこで、何を試すかを本人が選ぶ。
- 自分でできることと、他の人や仕組みが必要なことを分ける。
- 難しかった場合にも、理由を確かめる方法を決める。
- 結果を共有したい人に、次の学習や相談の機会を案内する。
評価では、満足度、仕組みの理解、判断の理由、その後の行動を分けて記録します。体験直後に意欲が高まったという回答だけで、長期の行動変容や排出削減を示すことはできません。継続する変化を確認する方法は、脱炭素の行動変容を促す施策も参考になります。
ゲームを活用する際は、学ぶ目的と公式の実施条件を確認し、体験・対話・次の問いを一つの学習として組み立てましょう。教材の手配や公認の運営については提供元へ、体験を含む学習全体の企画については支援内容を確認して相談できます。

自治体・企業の脱炭素/次世代支援のご担当者へ
体験後に残す問いから、
学習の企画をご一緒に。
対象者や時間、地域の課題を伺い、学習内容と運営の進め方をご提案します。
- 高校生・大学生の学び
- 体験と対話の設計
- 企画・運営の支援
実施期間や目的に合わせて、単発の脱炭素ワークショップもご覧ください。
主な参照資料:2050カーボンニュートラルの公式紹介、提供元のゲーム活用の手引き、山口の環境学習事例、兵庫の環境リーダー育成事例。確認日:2026年10月3日。



