私たちの生活を取り巻く自然環境について理解を深め、人間社会が直面している課題への対応策を学ぶプロセスが「環境教育」です。「環境教育とは簡単にいうと何か」という疑問に対しては、「地球の環境を守るための知識を身につけ、自ら考えて行動できる人を育てること」と表現できます。
この記事では、環境教育の基本的な意味や歴史、SDGsとの関係性といった基礎知識から、主要な5つの実践テーマについてわかりやすく解説します。また、企業や自治体が次世代と連携して取り組んでいる具体的なプロジェクト事例や、よくある質問も紹介しています。
環境教育プログラムの企画や、社内外での啓発活動に関心のある担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
右近宣人1999年生まれ 神戸大学 法学部卒業
学生時代、NPO法人en-courege 9期 本部メンバーとして、事業/組織づくりに携わり、メンバー3700名・会員8万名規模に拡大
2023年6月 大企業で新規事業に関わる中、 Z世代・若者と企業・自治体が繋がるプラットフォームを創るため、 一般社団法人Re-Generationを設立。大企業に勤める傍ら、起業も同時に行う「第3の働き方」を行う。
全国のZ世代/α世代を対象としたプログラムを企画・運営を行っている。
環境教育とは?わかりやすく簡単に解説

環境教育は、知識を詰め込むことだけが目的ではなく、自然との触れ合いを通じて環境への愛着を育み、日常の行動を少しずつ変えていくための土台作りとしての役割を持っています。まずは、環境教育の目的や歴史的な背景について解説します。
環境教育の目的と必要性
環境教育の主な目的は、一人ひとりが環境に対する責任を自覚し、持続可能な社会の実現に向けて具体的な行動をとれるようにすることにあります。
地球上では気候変動や資源の枯渇、生物多様性の低下など、さまざまな問題が進行しています。こうした事象の原因の多くは人間の経済活動や日常生活に由来しており、社会全体で対策を講じることが求められています。
法律や制度の整備だけで全てを解決することは難しいため、社会を構成する人々が環境への配慮を前提とした意思決定を行えるように、学びの機会を提供し続けることが必要とされています。
環境教育の歴史とユネスコが掲げる「5大目標」
環境教育という概念が国際的に広く共有されるようになったのは、1977年にユネスコ(国連教育科学文化機関)とUNEP(国連環境計画)がジョージア(当時のソ連)で共催した「トビリシ会議」が契機とされています。世界で初めての環境教育に関する政府間会議であり、ここで採択された宣言の中で、環境教育の目標として以下の5つが掲げられました。
- 関心・気づき:環境とその問題に対する意識と関心を持つこと
- 知識:環境やその問題に関する基本的な理解と経験を得ること
- 態度:環境に対する価値観を持ち、環境保全に参加する意欲を育むこと
- 技能:環境問題を特定し、解決策を見出すための能力を身につけること
- 参加・行動:問題解決に向けて、自発的かつ積極的に行動する機会を持つこと
これらの目標は、現在でも日本を含む各国の環境教育の基盤として活用されています。
出典:独立行政法人 国際協力機構(JICA)『環境教育ボランティア 活動ハンドブック』(pdf)
環境教育と環境学習の違い
環境分野の学びを表す言葉として、「環境学習」もよく使われます。両者は似た文脈で使用されますが、「誰が学びの中心にいるか」に違いがあります。
「環境教育」と「環境学習」の違い
- 環境教育:教員や専門家などの指導者が、学習者に対して環境に関する知識や技能を「教える」こと
- 環境学習:学習者自身が自らの関心に基づいて課題を見つけ、主体的に「学ぶ」こと
環境教育は、学校の教員や専門家などの指導者が、学習者に対して体系的に知識や技能を「教える」側面に重点が置かれています。一方の環境学習は、学習者自身が関心のあるテーマを見つけ、自発的に「学ぶ」プロセスを指します。
指導者が基礎的な環境教育を行ったうえで、徐々に学習者の主体的な行動(環境学習)へ移行していくのが理想的な流れとされています。
環境学習について詳しくは、以下の記事も合わせてご覧ください。

「SDGs」や「ESD(持続可能な開発のための教育)」との関係
環境教育は、「SDGs」や「ESD」とも密接に関係しています。まずは、それぞれの言葉の意味を簡単に整理します。
- SDGs(持続可能な開発目標):2015年の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。気候変動や貧困、不平等など、地球規模の課題を解決するための17のゴールから構成されています。
- ESD(持続可能な開発のための教育):SDGsの達成を担う人材を育成するための教育的枠組みです。環境問題に加えて、人権、平和、ジェンダーといった社会・経済的な課題も包括的に扱います。
SDGsには「気候変動に具体的な対策を(目標13)」や「海の豊かさを守ろう(目標14)」といった環境保全に直結する目標が含まれており、目標4の中にはESDを推進することが明確に位置づけられています。
環境教育は、このESDを構成する大きな柱の一つです。自然環境が社会や経済を成り立たせる土台であることを理解し、持続可能な未来に向けて自発的に行動する力を育むという点で、環境教育はSDGsとESDの推進において中心的な役割を担っているといえるでしょう。
環境教育の主要なテーマ

環境教育で扱われるテーマは多岐にわたります。ここでは、学校教育や企業のCSR活動などで実践される機会が多い、環境教育の5つの主要なテーマについて解説していきます。
- ①地球温暖化・気候変動問題へのアプローチ
- ②資源循環・ごみ問題(3R・サーキュラーエコノミー)
- ③生物多様性・自然環境の保全
- ④大気・水・土壌などの環境汚染問題
- ⑤持続可能なまちづくり(コミュニティとの連携)
①地球温暖化・気候変動問題へのアプローチ
地球全体の平均気温が上昇し、異常気象などの原因となる気候変動問題について学ぶことは、環境教育において重要なテーマの一つです。このテーマでは、温室効果ガスの排出メカニズムや、私たちの生活との関連性をデータに基づいて客観的に理解を深めます。
具体的な学習内容としては、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの仕組みの理解や、二酸化炭素の排出を全体として実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に向けた企業の取り組み事例を調査することなどがあります。
また、国際的な枠組みであるパリ協定の目標や、気温上昇がもたらす海面上昇や生態系への影響なども、このテーマにおける環境教育の対象となります。
②資源循環・ごみ問題(3R・サーキュラーエコノミー)
「資源循環・ごみ問題(3R・サーキュラーエコノミー)」は、資源には限りがあることを理解し、大量生産・大量消費から脱却するための方法を学ぶ環境教育のテーマです。
ごみを減らすリデュース、繰り返し使うリユース、資源として再利用するリサイクルの「3R」を基本とし、最近では廃棄を最初から出さない仕組みを作るサーキュラーエコノミー(循環型経済)の概念も取り入れられています。
具体的な活動としては、プラスチックごみの削減や、廃棄されるはずだったものに新しい価値を持たせるアップサイクルの体験などが挙げられます。また、家庭から出る生ごみを減らすために、専用の家庭用コンポストを購入して導入してみるなど、日常の消費行動と環境負荷のつながりを考えることもこのテーマに含まれます。
③生物多様性・自然環境の保全
「生物多様性・自然環境の保全」のテーマでは、人間を含む多様な生物がバランスを保って生きている生態系の仕組みと、その保全について学びます。自然環境が人間にもたらす恵み(生態系サービス)の存在を理解し、開発や乱獲が生態系に与える影響を考察します。
具体的な環境教育の方法としては、学校の敷地内に生き物が定着できるビオトープを作る活動や、地域の川や森に入って水質や生息する生き物を調べるフィールドワークなどが代表的です。自然に直接触れる体験を通じて、地域の自然環境の豊かさや、外来種がもたらす影響などを体感的に学ぶことができます。
④大気・水・土壌などの環境汚染問題
このテーマでは、私たちが健康に暮らすための基盤である空気や水、土が、人間の活動によってどのように汚染されるのか、そしてどう防ぐのかを学びます。
日本では過去に、工場排水などに起因する水俣病や四日市ぜんそくなどの深刻な公害が発生しました。こうした公害の歴史を振り返り、経済発展と環境保全のバランスについて考えることは環境教育の原点の一つとされています。
現在でも発生している都市部の大気汚染や、マイクロプラスチックによる海洋汚染のメカニズムなどを学び、問題を発生させないための社会システムづくりについて考えます。
⑤持続可能なまちづくり(コミュニティとの連携)
「持続可能なまちづくり」は、地域の自然や文化を活かしながら、持続可能なコミュニティをどう作っていくかを考えるテーマです。
具体的には、地産地消の推進による輸送時の二酸化炭素排出削減や、地域の伝統的な農法・文化の継承、自然環境を活かした防災・減災の取り組みなどが含まれます。
また、人や社会、環境に配慮して作られた製品を選ぶ「エシカル消費」を通じて、地域経済をどのように活性化させるかという視点が扱われる場合もあります。地域の人々と協力しながら進める活動が多く、世代を超えた対話が生まれるきっかけにもなります。
環境教育の課題や問題点
現代社会において環境教育の必要性は増し続けており、多くの場所で推進されていますが、いくつかの課題も指摘されています。
学校教育の現場では、教員の業務負担が大きく、環境教育のための専用の時間を確保することが難しいという実情があります。また、環境問題は理科や社会、家庭科など多岐にわたる専門知識が求められるため、指導者の知識や経験によって学習内容の質にばらつきが出やすい傾向がある点も課題の一つです。
さらに、学習の効果がすぐに行動の変化として現れにくく、テストの点数のように定量的に測ることが難しいため、長期的な視点での評価手法の確立が求められています。
日本における環境教育の事例

ここからは、環境教育の実践事例として、Re-Generation(リジェネレーション)が企画・運営をサポートし、次世代を担う若者たちと企業や行政、教育機関が連携して行ったイベントやワークショップをご紹介していきます。
事例①:【自治体・学生】瀬戸内未来ビジョンの事例

「瀬戸内未来ビジョン」は、瀬戸内海環境保全特別措置法の制定50周年を記念し、瀬戸内海周辺の自治体と学生が連携したプロジェクトです。
Re-Generation(リジェネレーション)は、約2ヶ月の準備期間を経て、このプロジェクトにおけるワークショップおよび記念式典の企画・運営を全面的にサポートしました。行政の要望と若者の意欲の両立を図るスライド作成やプログラム設計を行い、瀬戸内海の次の50年につながる実践的な環境教育の場を実現しています。
「瀬戸内未来ビジョン」の環境教育事例について詳しくは、以下のページをご覧ください。
事例②:【環境教育プログラム_兵庫県】学生向け環境リーダー育成プログラム「HYOGO GREEN NEXT」の事例

「HYOGO GREEN NEXT」は、兵庫県が主催する次世代の環境リーダーを育成するためのプログラムです。Re-Generation(リジェネレーション)は本プログラムの運営に携わり、県内の大学生や若手社会人を対象に、3日間のワークショップとフィールドワークを組み合わせた実践型の環境教育をご提供しました。
参加者は、兵庫の歴史や地域課題を学ぶとともに、里山・里海の現場に足を運んで事業者の取り組みや課題を直接体験しました。その後、地域の魅力を言語化し、事業の発信方法や拡大方法を検討するマーケティングワークを通して、地域社会や循環経済をデザインするスキルを実践的に学んでいます。
「HYOGO GREEN NEXT」の環境教育事例について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

事例③:「ひょうごZ世代里山里海環境リーダープログラム」の事例

兵庫県が主催し、一般社団法人Re-Generationが企画・運営を行った環境教育プログラムです。
Z世代の視点から地域資源である「里山・里海」の価値を再発見し、未来の担い手を育成することを目的としています。参加した若者たちは、数ヶ月間にわたる定期的なワークショップに加え、現地でのフィールドワークや地域で活動する事業者へのヒアリングを実施し、持続可能な里山里海を実現するためのアイデアをチームごとに検討しました。
最終発表会では、部活動の地域移行と環境保全を掛け合わせた「里山里海部」の創設や、空き家などの遊休資産を活用した「まるごと水族館計画」など、若者ならではの視点を活かした提案が行われました。他にも、自然の中でのストレス解消に着目した「里山×Chill(チル)」や、ボランティア活動を通じたリアルな交流を生み出す「シゼンアイ」といった、社会トレンドとZ世代の価値観を交差させた独自の企画が発表されています。
行政の担当者や研究者、現役の事業者とZ世代が世代を超えて対話を行い、単なる学習にとどまらず、地域課題の解決に向けた具体的なアクションを共創する実践的な場として機能しています。
「ひょうごZ世代里山里海環境リーダープログラム」の環境教育事例について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

全国の学生団体 協賛・共創プラットフォーム「コラジェネ!」

Z世代など若い人のなかには、環境問題をはじめとする社会課題に取り組みたいと考えていても、「何から始めればよいかわからない」「活動資金やノウハウがない」と悩む人も少なくないと思います。そうした学生の活動を後押しするのが、Re-Generation(リジェネレーション)が運営する学生団体向けの協賛・共創プラットフォーム「コラジェネ!」です。
「コラジェネ!」では、環境問題や社会課題に対して熱い想いを持った学生団体に対して、活動資金の協賛や、企画の伴走支援、メンタリングを無料で提供しています。また、同じような目標を持つ全国の他団体との連携をサポートすることで、学生たちが自ら考え、社会に対して発信していく実践的な学習の場を広げる役割を担っています。
「コラジェネ!」について詳しくは、以下の特設ページをご覧ください。
環境教育に関するよくある質問(Q&A)

ここからは、環境教育に関するよくある質問にお答えしていきます。
Q. 環境教育はいつ頃から始まりましたか?
A. 国際的な枠組みとしての出発点は、1977年にユネスコとUNEPが開催した「トビリシ会議」とされています。
一方、日本国内における歴史を振り返ると、1960年代から70年代にかけて深刻化した公害問題を背景に、被害を防ぐための「公害教育」や、身近な自然に親しむ「自然保護教育」として始まりました。
その後、地球温暖化などの地球規模の課題が広く認知されるにつれて、現在の包括的な環境教育へと発展してきました。
Q. 学校以外の場所でも環境教育は行われていますか?
A. はい、学校教育にとどまらず、社会の多様な場で実践されています。
例えば、企業が従業員向けに行うサステナビリティ研修や、自治体が主催する地域住民向けの自然観察会、NPO法人による環境保全活動などがあります。また、子どもだけでなく、大人や社会人を含めたあらゆる世代を対象に、環境教育は行われています。
Q. 企業が環境教育に取り組む意義は何ですか?
A. 従業員の環境への理解を深めることで、日々の業務における省エネルギー化や資源の有効活用といった具体的な行動につながります。
また、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する経営が社会から求められる現代において、社内での環境教育の実施は、企業活動の持続可能性を高め、ステークホルダーからの信頼を得るための基盤となります。
環境教育に関するご相談ならRe-Generation(リジェネレーション)へ
環境教育は、知識の習得にとどまらず、持続可能な社会に向けて自ら考え行動する人材を育成するための基本となります。地球温暖化から地域の自然保護、ごみ問題まで、環境教育で扱うテーマは幅広く、対象者の年齢や地域課題に合わせたプログラム設計が重要です。
また、教室での座学だけでなく、フィールドワークや課題解決型のワークショップを取り入れることで、参加者の当事者意識を高め、より深い学びへとつなげることができるでしょう。
なお、企業や自治体で次世代に向けた実践的な環境教育プログラムを企画したい、あるいは若者のアイデアを取り入れた共創プロジェクトを実施したいとお考えの場合は、外部の専門機関と連携することも手段の一つです。Re-Generation(リジェネレーション)では、Z世代の視点を活かし、企業や自治体と若者をつなぐワークショップや教育プログラムの企画・運営を支援しています。
Z世代の視点や考え方を活かした環境教育イベント・ワークショップの開催をご検討中の企業様や自治体の担当者様は、ぜひ以下から詳細な資料をご覧いただくか、Re-Generation(リジェネレーション)までお問い合わせください。
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