若者の仕事観はどう変わった?働き方の意識を調査データで読み解く

若者が働き方や暮らしについて考え、対話する様子を描いたイラスト

若者の仕事観は、「やりがいより給与」「仕事より私生活」といった一つの軸では捉えられません。働く条件への希望、今の職場への評価、将来のキャリアに対する考えを分けて読むことが必要です。

この記事では、若年者の就業意識を扱う公的資料から、仕事観の変化と、その数字だけでは分からないことを整理します。企業・自治体と若者が働くことを考えた実践も紹介します。

一般社団法人リジェネレーション代表理事 右近宣人

右近 宣人 / Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|次世代との対話・共創

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

企業・自治体と若者をつなぐ対話・共創プログラムを企画・運営。NECとの社会価値探究プログラムや、SMBCなどとのワークショップに携わる。神戸・三宮や兵庫県三木市でのまちづくり、福井県庁との政策立案ワークショップなどを通じ、若者参画と政策提案を支援。

学生との面談経験と、企業で次世代向けの事業を考えた経験を原点に、若者との対話を大切にしている。

団体・代表者紹介を見る

若者に仕事の魅力を伝えたい方へ

働く希望と、今の経験を分けて聞く

若者が仕事や生活で大切にすることを、本人の経験から整理。インタビューの対象と問いを定め、企業が接点を考える材料を集めます。

  • 希望と経験を分けて聞く
  • 背景となる生活を知る
  • 接点づくりの問いを整理する

支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

コンテンツ

若者の仕事観を知るには、希望・現状・行動を分ける

仕事観は、3つに分けて読む。希望:何を大切に働きたいか。現状:今の仕事をどう評価するか。行動:転職・継続などの選択
希望と現状、実際の行動は別の情報

仕事観とは、何のために働き、働くうえで何を大切にするかという考え方です。給与や安定、仕事内容、成長、生活との両立など、複数の希望が組み合わさっています。

調査を見るときも、「仕事を選ぶときに重視すること」「現在の仕事への満足」「転職したい気持ち」「実際に転職した経験」を区別します。たとえば、給与を重視する人が現在の給与に不満を持っているとは限りません。転職希望があっても、すでに転職を決めたとは言えません。

厚生労働省の令和5年「若年者雇用実態調査」は、対象産業の常用労働者5人以上の事業所と、そこで働く15〜34歳の労働者を対象に、2023年10月1日時点の状況を調べています。学生全体の就職意識調査とは対象が異なります。調査概要で対象条件を確認できます。 入社前の学生の会社選びは、Z世代の就活・会社選びと採用接点の記事で別の対象として扱っています。

調査に見る変化:転職希望と、働く条件への関心

転職希望は、前回調査より上昇。2018年:27.6。2023年:31.2
今後「転職したい」若年正社員の割合

転職したい若年正社員の割合は、前回調査より上昇

令和5年調査では、今後転職したいと答えた若年正社員は31.2%でした。前回の平成30年調査の27.6%から、3.6ポイント高くなっています。少なくともこの調査では、職場を変えることを選択肢として考える割合が前回を上回りました。

ただし、この比較は同じ人を追跡した結果ではありません。調査時点の雇用情勢や回答者の構成も異なるため、「若者の忠誠心が下がった」など、性格や道徳の変化へ置き換えることはできません。 比較する数値の対象・時点・設問は、Z世代の統計・調査データの確認点に沿って整理しましょう。

給与と、労働時間・休日への希望を併せて読む

同調査で、転職したいと答えた若年正社員の理由は、よりよい賃金条件を求める回答が59.9%、労働時間・休日・休暇の条件を求める回答が50.0%でした。複数回答であり、全若年正社員のうち59.9%が賃金に不満という意味ではありません。

この結果からは、働く条件を考える際に給与と時間の両方を確認する必要性が読み取れます。数値と対象は厚生労働省の結果公表資料に基づきます。実際の離職の状況は、若者の離職率・推移を扱う記事で区別して解説しています。 転職意向・離職・退職の手続きを分ける視点は、Z世代の転職・退職を捉える記事で説明しています。

成長や働きがいも、生活の条件と切り離さない

令和7年版「労働経済の分析」第3章では、年代による仕事の価値観や継続就業の理由を分析しています。20代・30代では、他の年代と比べ、成長の実感や仕事と生活の両立が継続就業の理由として相対的に重視されることが示されています。

「成長したい」と「休みを確保したい」は両立し得ます。何を学べるのか、どういう支援があるのか、無理なく続けられるかを別々に確認すると、本人の希望を具体的に理解できます。

働き方の価値観は、年齢だけでなく生活・地域・経験で変わる

同じ言葉でも、背景は違う。給与・安定:どんな見通しが必要か。成長・やりがい:どんな経験を望むか。仕事と生活:何を守りながら働くか
給与・成長・両立を、生活の条件とともに聞く

入社前の学生、初めての仕事に慣れようとしている人、転職を経験した人では、同じ「安定」という言葉の中身も変わります。雇用の継続を意味する人もいれば、収入の見通しや職場で相談できることを指す人もいるでしょう。

地域の条件にも目を向けます。JILPTの地方の若者のキャリア変化と職業意識に関する研究は、地方4地域と東京都の調査を比較し、キャリア意識を地域の就業環境とともに捉えています。特定地域の調査を全国の若者の特徴へ広げないことが大切です。

確かめたいこと 具体的に聞く問いの例
給与・生活 収入の見通しを考えるとき、何が気になりますか?
成長 どんな経験ができれば、成長したと感じますか?
働きがい 最近、自分の仕事が役に立ったと感じた場面はありますか?
両立 続けて働くために、生活の中で守りたい条件は何ですか?
将来 次に経験したい仕事や、試したい働き方はありますか?

これらは対話の問いの例です。「どれを最も重視するか」だけでなく、その背景にある経験を聞きます。仕事以外も含めた全体像は今の若者の特徴・価値観の記事、企業の魅力の伝え方は若者に選ばれる企業と採用広報の記事で扱っています。 問いを伝えて本人の経験を聞く際には、Z世代との会話・コミュニケーションの組み立て方も参考になります。

若者に仕事の魅力を伝えたい方へ

仕事の魅力を、対話と体験で確かめてもらう

若者が自身のキャリアを考える機会と、組織や仕事への理解を結び付けます。社員との対話や仕事のテーマに触れる体験を、採用接点として設計します。

  • 若者のキャリア観を理解する
  • 仕事のテーマに触れる
  • 社員との対話を設計する

支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

企業・自治体の実践:若者が働く未来を具体的に考える場

働く未来を具体的に考える。福井県:仕事・私生活・居住地を考える。NEC:価値観から自分と社会の未来へ
企業・自治体との対話と体験の実践

福井県:自分の幸せとキャリアを一緒に考える

福井県と実施した「Fukui Future Summit キャリアデザイン編」では、大阪・東京の2拠点で計42人が参加しました。県職員の話を聞き、過去の経験を振り返る個人ワークとグループでの対話を通じ、自分の好きなこと・得意なこと・やってみたいことを整理しています。

さらに、働くこと、私生活、居住地を掛け合わせて、将来を考えました。リジェネレーションは設計・集客・運営を支援しています。仕事の希望を単独で聞くのではなく、暮らしとの関係を言葉にした事例です。キャリアデザイン編のレポートで具体的な流れを紹介しています。

福井県とのキャリアデザインワークショップの様子
福井県・キャリアデザイン編の大阪会場で県職員の説明を聞く参加者の実写真。実施内容・写真の出典

NEC:仕事と社会の未来を自分の価値観につなぐ

2024年9〜10月、関西・九州・東北で実施したNECとの社会価値探究プログラムでは、参加者とメンターを含む約80人が、企業の社会課題への視点を学びました。自身の経験や関心を起点に2030年の未来像を構想し、チームで発表しています。リジェネレーションはNECと共同で企画・運営し、働く未来や社会への関わり方を対話で具体化する機会をつくりました。

具体的な仕事や社会のテーマに触れることで、本人が大切にしたいことを話すきっかけになります。これは共創プログラムの事例であり、採用数や定着率の改善を示す実績として紹介するものではありません。NECとの実施レポートをご覧ください。

NECとのプログラムで講義と対話に参加する若者
NECとのプログラムで講義と対話に参加する若者の実写真。実施内容・写真の出典

若者の仕事観についてよくある質問

仕事観を、採用接点へつなぐ。調査で知る:集団の傾向を把握する。対話で聞く:経験と希望を具体化する。体験で確かめる:仕事内容と期待をすり合わせる
傾向を知り、本人の希望を確かめる

若者は出世や成長を望んでいないのでしょうか?

一律には言えません。昇進、専門性の向上、新しい経験など、成長の意味も人によって異なります。管理職になりたいかという質問だけで、学ぶ意欲全体を判断しないようにします。

ワーク・ライフ・バランスを重視するのは、仕事への意欲が低いからですか?

両立への希望だけで、意欲の高低は判断できません。継続して働く条件を整えたいという希望も含まれ得ます。職場で意欲が下がっているように見える場合の確かめ方は、Z世代の仕事のモチベーションを扱う記事で詳しく紹介しています。

仕事観の調査を採用に活かすには?

調査で得た傾向を、そのまま自社に関心を持つ人の希望とみなさず、本人との対話で確かめます。知りたい仕事内容や働く条件を整理し、社員・職員と話したり仕事のテーマに触れたりできる接点へつなげていきましょう。 対象と質問を具体化する手順は、Z世代リサーチの設計と進め方をご覧ください。

若者に仕事の魅力を伝えたい方へ

若者と組織が出会う接点を、目的から設計する

対象となる学生・若者に何を知り、考えてもらうかを整理。キャリアを考える体験や社員交流を組み合わせ、採用広報の企画を具体化します。

  • 対象と伝えたい魅力を定める
  • 対話と体験を組み合わせる
  • 企画の流れを具体化する

支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

コンテンツ