持続可能なまちづくりとは?SDGs11を地域の課題と行動につなぐ

持続可能なまちづくりとは?SDGs11を地域の課題と行動につなぐ

持続可能なまちづくりとは、今の暮らしを支えながら、将来の世代も安心して暮らせる住環境・地域のつながり・運営の仕組みを育てていくことです。環境負荷を減らすだけでなく、住まい、移動、防災、公共空間、文化、地域経済を一緒に考えます。

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」は、その課題を見落とさないための手がかりになります。ただし、事業にSDGsの番号を付けるだけでは、地域の困りごとは解決しません。「誰が、何に困っているのか」を確かめ、担当者・予算・振り返り方まで決めることが必要です。

この記事では、自治体や企業の担当者に向けて、目標11と地域課題の関係、国内の取り組み、住民や若者の声を実際の施策につなぐ進め方を整理します。

一般社団法人Re-Generation 代表理事 右近宣人

この記事の筆者

右近 宣人 / Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|若者参画・地域共創

若者参画を専門に、企業・自治体とともに都市開発・まちづくりの共創プロジェクトを企画・運営。神戸・三宮での対話を原点に、大阪・うめきた、佐賀の中心街、兵庫県三木市などで、若者の視点を地域の未来につなぐ場づくりに取り組む。

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として、脱炭素や社会課題領域の新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

現場で得た知見をもとに、日本経済新聞社大阪本社・大阪商工会議所共催シンポジウムで登壇。全国市街地再開発協会の広報誌「CITY in CITY」vol.36の座談会にも参加し、次世代とともに進めるまちづくりのあり方を発信している。

まちづくりから始まった、右近宣人の想いとリジェネレーションの歩みを知る →

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  • 次の検討への整理

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コンテンツ

持続可能なまちづくりとは?暮らしと地域を次の世代につなぐ取り組み

暮らしを支える3つの視点。環境:自然・資源を守り、負担を減らす。社会:誰もが使え、参加できる地域へ。経済・運営:財源と担い手を整え、続ける

まちの持続可能性を考えるときは、「環境を守れるか」「誰もが暮らしに必要な機会を得られるか」「取り組みを続けられるか」の3つを確認すると、検討すべきことが見えてきます。

確認する側面まちづくりで考えること担当者が確かめたい問い
環境自然・資源の保全、廃棄物、移動や建物の環境負荷地域の環境を損なわず、将来の負担も減らせるか
社会住まい、移動、安全、居場所、参加する機会年齢や障害、収入、住む場所によって利用しにくい人はいないか
経済・運営仕事、財源、維持管理、担い手の継続整備後の費用と役割を引き受ける仕組みがあるか

例えば、公園を緑化しても、暑さを避けて休める場所や入りやすい動線がなければ、利用できる人は限られます。維持管理を一部の住民に任せきりにすると、その人が活動を休んだときに続かなくなるかもしれません。設備の整備と同時に、使いやすさと運営も設計します。

また、「住み続けられる」は、全員に同じ土地への定住を求める意味ではありません。進学・就職・介護などで暮らし方が変わっても、必要なサービスや人とのつながりにアクセスできることが大切です。地域に戻る人、新しく来る人、通う人の視点も含めて考えましょう。

サステナビリティ自体の意味やSDGsとの違いはサステナビリティの基礎解説、まちづくり全体の目的と進め方はまちづくりとは?目的と進め方で詳しく説明しています。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」を地域の課題に置き換える

SDGs11を地域の問いにする。目標を知る:住まい・移動・防災・参加など。現状を確かめる:誰が、どこで困っているか。改善を選ぶ:暮らしの変化から施策を考える

目標11には、住まいや交通、防災などに加えて、市民が計画や運営に参加することも含まれます。国連が示す目標11のターゲットを手がかりに、地域で確かめたい問いへ置き換えると、次のように整理できます。

主なテーマ・関連ターゲット地域で確かめる問いの例
住まい・基本的なサービス(11.1)安全に暮らせる住まいを、無理のない負担で確保できるか
移動(11.2)車を使えない人も、通学・通院・買い物ができるか
参加型の計画・運営(11.3)住民が計画に関わり、実施後も意見を伝えられるか
文化・自然の継承(11.4)地域の文化や自然を保ち、次の担い手につなげられるか
災害への備え(11.5、11.b)被害を減らし、支援が必要な人を含めて暮らしを守れるか
都市の環境負荷(11.6)ごみの発生・処理や大気の状態を改善できるか
緑地・公共空間(11.7)子どもや高齢者、障害のある人も安全に利用できるか
都市と周辺地域のつながり(11.a)中心部だけでなく、周辺や農村部との関係も考えているか

上表の問いは、公式ターゲットを参考にした地域での検討例です。ターゲット全文や公式指標を転載したものではありません。目標11には、このほか後発開発途上国の建築を支援する11.cもあります。

ここで大切なのは、すべての番号に事業を割り当てることではなく、見落としていた困りごとを見つけることです。例えば「駅前をにぎやかにしたい」という企画でも、座る場所、家から駅までの移動、夜間の安全、周辺住民への影響まで視野を広げると、優先する施策が変わります。

SDGs11だけで完結させる必要もありません。地域の課題は、健康、教育、働く場、気候変動などとつながっています。まず地域で改善したい状態を言葉にし、その後で関連する目標との対応を確かめる順番にすると、番号合わせに陥りにくくなります。

国内事例に学ぶ、暮らしの仕組みと住民参加のつなぎ方

事例から仕組みを学ぶ。富山市:公共交通と居住・都市機能をつなぐ。下川町:住民の将来像を計画・事業につなぐ

他地域の事例からは、取り組みの形だけでなく、どの課題を、どの仕組みで結びつけているかを読み取ります。ここでは、交通とまちの構造を考える富山市、住民と将来像をつくる下川町を取り上げます。

富山市:公共交通と、住まい・都市機能を一緒に考える

富山市は、人口減少や高齢化を見据え、公共交通を軸に居住や都市機能を集めるまちづくりを進めています。現在の方針には、公共交通の活性化、公共交通を意識した居住、拠点づくり、都市空間の管理が位置付けられています。出典:富山市「コンパクトなまちづくり」。

公共交通については、路面電車の南北接続などとともに、周辺地域のコミュニティバスや地域自主運行バスへの支援なども示されています。中心部と周辺部では必要な交通の条件が異なることを踏まえた取り組みです。出典:富山市「公共交通活性化」。

この事例から学べるのは、移動の手段と、住まい・目的地の配置を一緒に検討する視点です。自地域で応用する際は、鉄道の有無だけでなく、通学や通院の時間帯、乗り継ぎ、運行費、周辺地域からのアクセスを確認します。交通施設を導入すれば同じ効果が得られる、と考えないことが大切です。

下川町:住民と描いた将来像を、計画と事業につなげる

北海道下川町は、町民委員らによる検討と意見募集を経て、2018年に「2030年における下川町のありたい姿」を公表しました。将来像から現在を振り返り、総合計画などの計画と事業につなげる考え方が示されています。出典:下川町「2030年における下川町のありたい姿」を策定しました。

その将来像には、人や資源の循環、文化の継承、子どもと未来世代などの視点が盛り込まれています。住民が議論しやすい地域の言葉で、複数の課題を結びつけている点が参考になります。出典:下川町のSDGs紹介ページ。

自地域でも「どのような暮らしを残したいか」を住民と考えた後、担当部署や事業との対応まで整理すると、将来像を日々の判断に使いやすくなります。ここで紹介したのは計画や実施の仕組みであり、住民参加だけで人口や経済の課題が解消したという評価ではありません。

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  • 若者との接点づくり
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地域の課題から施策へ進める5つのステップ

課題を施策にする5つの手順。1 課題を具体化:場所・時間・当事者を確かめる。2 望む状態を共有:優先順位を決める。3 施策を比較:費用と負担も検討する。4 責任と資源を決定:担当・予算・期間を整理する。5 試して見直す:継続・変更・終了を判断する

最初から大きな構想をつくるよりも、具体的な暮らしの場面を起点にすると、関係者が行動を選びやすくなります。次の手順は、自治体・企業・住民が協働する際の進め方の例です。

  1. 課題を場所・時間・当事者で具体化する。「交通が不便」で止めず、「夕方に帰宅する高校生が、乗り継ぎの待ち時間をどこで過ごしているか」まで確かめます。既存統計や計画に加えて、現地観察、聞き取り、アンケートを組み合わせます。
  2. 望む状態と優先順位を共有する。「誰が、どのように暮らせるようになればよいか」を決めます。緊急性、影響を受ける人、困りごとの深さ、実行可能性で比較し、少数の人の困難も人数だけで後回しにしないようにします。
  3. 複数の施策を比べる。施設の新設、既存空間の改修、開館時間の変更、案内の改善などを並べます。整備費だけでなく、維持費、利用できない人、別の場所への影響も確認します。
  4. 実行の責任と資源を決める。決定する人、運営する人、協力する人を分け、必要な予算と確保方法、管理者との調整、実施期間を記録します。「地域で協力する」という表現だけで役割を終わらせません。
  5. 小さく試し、継続・変更・終了を判断する。試す前に現状を記録し、利用者と利用していない人の両方から確かめます。評価日と次の決定者を決め、結果に応じて運営や予算を見直します。

例えば、「高校生が放課後に待ち時間を過ごせる場所が少ない」という課題なら、次のように1枚へ整理できます。これは特定地域の実績ではなく、企画を組み立てる例です。

設計する項目記入例
確かめたい課題下校からバス出発まで、安全に過ごせる場所があるか
声を聞く相手利用予定の高校生、利用しない生徒、保護者、施設管理者、近隣住民
試す施策既存施設の一角を放課後に開放し、座席・案内・利用ルールを調整
責任・費用主管部署と施設管理者が判断。見守り・清掃・光熱費を見積もり、実施前に財源を確定
確かめる変化利用状況、安心して過ごせるという声、利用できない理由、運営負担
次の判断試行終了時に高校生と運営側で振り返り、時間・ルール・継続条件を決定

質問の作り方はまちづくりのニーズ調査、課題と将来像の整理はまちづくりのビジョン策定も参考にしてください。

若者や住民の声を、施策の選択と見直しに反映する

声を集めて、判断を返す。参加の条件を整える:時間・費用・方法の負担を確認。施策と影響を比べる:利用する人・負担する人に聞く。理由と次の機会を返す:採用・試行・見送りを説明

参加者を集めることと、声を施策に反映することは別の工程です。募集の前に、「何について意見を求めるか」「何が変更できるか」「誰が判断し、いつ返答するか」を共有します。予算や施設条件が決まっている場合も、その範囲を分かりやすく伝えます。

若者の参加を考えるなら、平日昼間の会議や地域団体を通じた募集だけでは接点を持ちにくい人がいることを踏まえます。学校や大学、地域の居場所などに協力を求め、短い聞き取りやオンライン回答も組み合わせましょう。交通費、開催時間、説明の分かりやすさなど、参加の負担も確認します。

一度参加した人を「若者全体の代表」と扱わないことも必要です。学生と働く若者、中心部と周辺部に住む人では生活が異なります。年齢などの属性情報は、目的に必要な範囲で扱い、少人数の集計から本人が分かる公開を避けます。若者が自分で取り組める活動は、若者が取り組むSDGsの実践例で紹介しています。

両立が難しい論点は、条件を比べて判断する

持続可能性を目指す施策にも、利益を受ける人と負担が増える人がいます。例えば、次のような論点を先に並べると、賛成・反対だけの議論から具体的な調整へ進めます。

施策の例確かめたい負担・懸念比較する条件
道路を歩行者中心に変える配送や送迎がしにくくなる可能性時間帯、乗降場所、代替経路、緊急時の対応
公共施設を集約する周辺地域からの移動負担が増える可能性交通手段、利用時間、出張サービス、費用
広場で催しを増やす騒音や清掃負担、静かに使える時間の減少開催頻度、終了時刻、清掃の担当、通常利用との配分

集まった声は「採用」「条件を変えて試行」「今回は見送り」「追加調査」に整理し、理由・担当・次の確認日を返します。全員の要望を同時に実現できなくても、どう判断したかが分かることは、次の対話の土台になります。手法の選び方や合意形成の進め方は、住民参加のまちづくりで詳しく解説しています。

成果を確かめ、続けられるまちづくりにする

実施と暮らしの変化を分ける。実施の記録:回数・人数・費用など。暮らしの変化:使いやすさ・困難・負担など。次の判断:基準をそろえて、継続や変更を決める

取り組みの評価では、「何を実施したか」と「暮らしがどう変わったか」を分けて確認します。会議やイベントの回数、参加人数だけでは、住みやすさが改善したかまでは分かりません。

テーマ実施状況の記録例暮らしの変化を確かめる例
移動試行した便数、運行費、利用回数目的地に行ける時間帯、乗り継ぎの負担、利用できない理由
居場所・公共空間開放時間、利用者数、管理費安心して使えるか、利用者の偏り、周辺住民や管理者の負担
住民参加参加方法、参加者層、集まった意見意見への回答状況、施策へ反映した内容、継続して関われるか
資源・環境負荷ごみ減量の試行内容、実施費用同じ条件で比較した廃棄物量、分別状況、管理する人の負担

これらは地域の事業を振り返るための独自の指標例です。SDGsの公式なグローバル指標とは区別してください。公式指標の名称・定義・日本のデータは、外務省の目標11指標ページで確認できます。

測定する前に、対象地域、期間、人数の数え方、比較する時点をそろえます。例えば利用者数は「延べ人数」か「実人数」かで意味が違い、季節や天候、開催時間にも影響されます。少数の聞き取りで得た声は地域全体の割合に置き換えず、データと組み合わせて改善の理由を考えましょう。

着手前には、次の5点を関係者で確認してください。

  • 改善したい暮らしの場面と、影響を受ける人が具体的になっているか
  • 参加しにくい人や、施策で負担が増える人の声を確かめる方法があるか
  • 意思決定・運営・維持管理の担当と、必要な予算が整理されているか
  • 試行前の状態と、見直す時期・判断材料を決めているか
  • 集めた声への回答と、次の関わり方を参加者へ伝えられるか

持続可能なまちづくりは、地域の課題を一度の事業で解決しきることではありません。暮らしの変化を確かめ、住民や若者とともに選び直せる仕組みをつくることが、次の世代へ地域をつなぐ力になります。

Re-Generationでは、若者参画・地域共創の支援を通じて、若者との接点づくり、対話の場の企画・運営、地域のビジョンや施策アイデアの検討を支援しています。地域で決めたいことや、声を聞きたい相手の整理からご相談ください。

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若者の声を、地域の将来像や施策を考える材料に。参加者との接点づくり、テーマに合わせた対話、意見や提案の整理を、自治体・企業のみなさまと進めます。

  • 若者との接点づくり
  • 目的に合わせた対話
  • 次の検討への整理

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