企業の非財務的価値とは、本稿では売上や利益だけでは捉えきれない、信頼、人材、顧客や地域との関係、環境・社会への取り組みなどの価値を指します。Z世代との接点では、企業が大切にすること、実際の行動、生活者の受け止め方をつなげて考えることが重要です。
「Z世代は社会貢献を重視する」と一括りにするだけでは、ブランドが選ばれる理由は分かりません。本稿では、非財務的価値を企業の宣言だけで終わらせず、若者との対話を通して具体的に確かめる視点を整理します。

商品企画・マーケティングのご担当者へ
企業の姿勢が、どう理解されるかを確かめる
若者の経験から、取り組みへの関心・理解・疑問を聞き取ります。理念や活動のどの部分が生活とつながるか、企画前の問いを整理します。
- 経験と関心を聞く
- 理解と疑問を分ける
- 企画の問いを整理する
支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。
非財務的価値を、理念・行動・関係性に分けて考える

企業の理念や環境方針は、考え方を伝える入口です。それに対応する日々の行動があり、顧客や従業員、地域との関係の中でどう受け取られるかまでを見ていくと、具体的な価値を説明しやすくなります。
| 観点 | 企業が整理すること | 受け手に確かめること |
|---|---|---|
| 理念 | 何を大切にし、何を優先するか | 言葉の意味が伝わるか |
| 事業・活動 | どの課題に、何を実施しているか | 自分の生活や関心とどう関わるか |
| 関係性 | 対話、対応、情報共有をどう続けるか | 信頼できる点、疑問や不満が残る点 |
非財務的という言葉は、事業成果と無関係という意味ではありません。一方、社会的な取り組みを行っただけで売上や好意度が高まったと断定することもできません。実施状況、受け止め方、事業上の変化を分けて記録します。
Z世代の価値観を、世代のイメージから決めつけない

同じ取り組みでも、参加した経験がある人、情報を初めて知る人、その課題が身近な人では受け止め方が違います。「環境に関心がある」という言葉の背景にも、学校、仕事、家族、地域などさまざまな経験があり得ます。 年齢を限定した調査と実際の行動を分ける視点は、若者の環境意識と行動の条件で説明しています。
まず本人の経験を聞き、その経験の中で何が大切だったかを確かめます。そのうえで、企業の取り組みをどう理解し、どこに疑問を持つかを聞くと、企業が伝えたい価値との共通点やずれが見えてきます。
リジェネレーションの実践 / NEC
企業の社会価値を、参加者自身の問いと結びつける

2024年9〜10月、リジェネレーションはNECと、関西・九州・東北で「2030年の自分と未来社会」を考えるプログラムを実施しました。参加者は自身の経験や価値観を言葉にし、社会課題を探索したうえで未来の社会像を構想しました。
この実践から考えること(筆者の考察)
参加者が自身の経験や価値観を言語化してから未来社会を考える構成は、企業の考えを一方的に説明する以外の接点づくりを示しています。ブランドの文脈へ応用するなら、企業の価値を知る前後で、何を理解し、どんな問いを持ったかを分けて確かめます。
若者と企業が接点を持ち、社会価値を日常の経験から考える背景があります。レクチャー、過去・現在の経験の整理、未来像の構想と発表を組み合わせた実施内容を、企業の姿勢を対話で理解する方法として参照できます。
ここで得た発言から、すべてのZ世代が同じ価値観を持つとは言えません。テーマへの関心や参加条件、当日の説明と進行も含めて読み取ることが必要です。
商品企画・マーケティングのご担当者へ
伝えたい価値と、読み手の判断材料をそろえる
取り組みの説明や体験案を、対象となる若者との対話で確認。伝わっていない点と実際の取り組みへの疑問を分け、改善の論点をまとめます。
- 説明の伝わり方を聞く
- 根拠への疑問を整理する
- 改善点を具体化する
支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。
取り組みを伝えるときは、実施事実と成果を分ける

「サステナブル」「多様性を大切にする」といった言葉を使う際は、具体的な行動や対象、取り組みの範囲を説明します。企業全体の取り組みなのか、一つの商品やイベントに関する話なのかを明確にすると、読者が判断しやすくなります。 商品・サービスの環境価値を具体化する際は、サステナブルマーケティングの根拠と伝え方も参考になります。
数値がある場合も、何を数え、どの期間と範囲を扱ったかを添えます。参加者数は参加の規模、感想はその場の受け止め方を示しますが、長期的な行動変化や社会全体への効果を直接示すとは限りません。
| 伝えたい内容 | 一緒に示したい情報 |
|---|---|
| イベントを実施した | 時期、対象、主催・協力の役割、実施内容 |
| 参加者から反応があった | 誰に、いつ、どの方法で聞いたか |
| 改善があった | 何を、どの条件や期間と比較したか |
| 今後目指すこと | 達成済みの事実と、目標・計画の区別 |
企業側が示したい数字だけでなく、読む人が「自分に関係がある」「判断に使える」と感じる情報を確かめましょう。説明の分かりにくさと、取り組みそのものへの疑問は分けて整理します。 説明を読んだ人の理解は、Z世代に届くデザイン・コピーの確かめ方に沿って確認できます。
共感・購入・参加を分けて、次に確かめる条件を見つける

企業の姿勢に共感することと、商品を買うこと、イベントに参加すること、継続的に関わることは、それぞれ違う判断です。好意的な反応が得られたときほど、どの段階まで確認できたかを明確にします。
たとえば「活動は良いと思うが、参加する時間が取れない」という場合、活動の価値への否定と受け取らず、参加条件の問題として検討できます。商品なら価格や使いやすさ、活動なら時間や場所など、実際に動く条件を聞きます。 社会的な活動の参加条件は、若者の社会参加を難しくする負担と企画の工夫で詳しく扱っています。
リジェネレーションの実践 / ロート製薬・U-FINO
望ましい未来の構想と、現在の行動条件を分ける

2024年4月21日、グランフロント大阪・ナレッジキャピタルで、ロート製薬、U-FINOとリジェネレーションがU30世代を中心に実施したプログラムには、参加者とメンターを含め約35人が集まりました。うめきたの次世代人材の育成を背景に、再生医療のレクチャーを受け、現在の一日を起点に2050年の暮らしを構想しました。チームごとに考えをまとめ、発表とフィードバックを通してアイデアを深めました。
この実践から考えること(筆者の考察)
将来の暮らしを考える対話では、大切にしたい価値や望む体験の仮説を広げられます。その構想に共感したことと、現在のサービスを利用することは別の問いです。ブランド施策でも、共感の理由を把握した後に、具体的な行動を選ぶ条件を確かめる進め方が参考になります。
商品を選ぶ場面に焦点を当てたい場合はZ世代の消費・購買行動の記事へ、共創を商品企画へ接続する場合は商品開発の記事へ進んでください。
対話で得た疑問を、説明と実践の改善に戻す

若者との対話で得た疑問は、すべて広報表現の工夫で解決できるとは限りません。伝わっていない事実があるのか、取り組みの範囲が足りないのか、相手の生活と結びついていないのかを分けて、社内の担当へ渡します。 対象者・問い・記録方法を整理する手順は、Z世代リサーチの設計と進め方をご覧ください。
- 企業が伝えたい価値を、具体的な行動で説明できるか。
- 参加者や顧客がどう理解したかを確認しているか。
- 好意的な発言だけでなく、疑問や距離を感じた理由も残しているか。
- 実施、反応、行動、事業成果を分けているか。
- 得た意見をどう扱ったか、参加者へ返しているか。
対話の進行や意見の整理はZ世代との対話・共創の記事で解説しています。リジェネレーションの活動例と支援内容はZ世代マーケティング・リサーチ支援LPをご覧ください。企業と若者の接点を、互いの理解と次の実践につなぐ設計からご相談いただけます。
商品企画・マーケティングのご担当者へ
共感の理由と、選択する条件を次の判断へ
企業の姿勢への共感だけでなく、購入・参加・継続を選ぶ条件を聞き取り。若者インタビュー・定性調査を通じ、次に確かめる仮説を整理します。
- 共感と行動を分ける
- 選択を妨げる条件を聞く
- 次の仮説をまとめる
支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。




