若者の環境意識は高い?意識調査から読む関心と行動の違い

若者の環境意識は高い?意識調査から読む関心と行動の違い

若者の環境意識は、問題への関心、将来への不安、実際の行動を分けて見る必要があります。 環境を気にかける回答が多くても、それだけで環境配慮型の商品が選ばれる、地域活動に参加するとは言い切れません。

この記事では17〜19歳を対象とした環境意識調査をもとに、数字が示すことと示さないことを整理します。若者との取り組みを考える企業・自治体・教育機関が、関心を日常の経験や参加の機会につなげるための視点も紹介します。

一般社団法人リジェネレーション代表理事 右近宣人

右近 宣人 / Ukon Norihito

一般社団法人Re-Generation 代表理事|次世代との対話・共創

1999年生まれ。神戸大学法学部卒業後、2022年に関西電力へ入社。新ビジネス創造コース1期生として新規事業開発に携わり、2023年6月に一般社団法人Re-Generationを設立。

企業・自治体と若者をつなぐ対話・共創プログラムを企画・運営。NECとの社会価値探究プログラムや、SMBCなどとのワークショップに携わる。神戸・三宮や兵庫県三木市でのまちづくり、福井県庁との政策立案ワークショップなどを通じ、若者参画と政策提案を支援。

学生との面談経験と、企業で次世代向けの事業を考えた経験を原点に、若者との対話を大切にしている。

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若者と環境をテーマに取り組みたい方へ

環境への関心を、日常の経験とつなぐ

若者が身近な暮らしから環境の問いを考える学びを設計。講義や対話のテーマを整理し、参加者が自分の言葉で考える機会をつくります。

  • 日常と環境の接点を探す
  • 学びと対話を組み合わせる
  • 参加者の問いを具体化する

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コンテンツ

若者の環境意識は「関心・認識・行動」の三つで捉える

環境意識は、三つに分けて読む。関心:知りたい・気になる。認識:影響や不安を感じる。行動:実際に何をしたか
意欲や認識を、購入率・参加率に読み替えない

「若者は環境意識が高い」という言葉には、異なる意味が含まれています。気候変動を重要だと思うこと、自分の生活にも影響すると考えること、環境に配慮して行動することは、関連していても別の状態です。

確認すること 質問の例 結果から分かること
関心 環境問題について知りたいか テーマへの興味
認識・感情 生活への影響や不安を感じるか 問題の捉え方
行動 最近、何を・どのくらい行ったか 回答者が申告した実践

「何かしたい」と「先月参加した」を同じ指標にすると、企画を見直す場所が分かりにくくなります。関心はあるが行動できていないなら、知識を増やすだけでなく、時間・費用・選択肢・一緒に取り組む相手を確認する余地があります。

また、17〜19歳の結果はその年齢層の回答です。大学生、働く20代、子育て中の人まで一括して説明する場合には、それぞれの生活条件を捉える資料が必要です。 世代区分と年齢を整理する際は、Z世代・ミレニアル・α世代の違いと比較の注意点を参照できます。

環境意識調査で分かる、生活への影響と不安

割合を読むときは、分母も確認。57.5%:生活への影響を見込む、回答者1,000人のうち。85.9%:影響に不安を感じる、影響を見込む575人のうち
日本財団・第69回調査(2025年)/対象17〜19歳

日本財団の第69回18歳意識調査「環境」は、2025年3月14〜17日に、全国の17〜19歳の男女1,000人を対象にインターネットで実施されました。気候変動が将来の自分の生活に影響すると考える回答は、合計で57.5%でした。出典:日本財団・調査概要と結果

さらに、その影響を見込む575人に限ると、不安を感じる回答は合計で85.9%です。この二つは分母が違います。「若者全体の85.9%が不安を感じている」と読み替えることはできません。

項目 割合 回答対象
将来の自分の生活に気候変動の影響があると思う 57.5% 調査回答者1,000人
将来の気候変動の影響に不安がある 85.9% 影響があると思う575人

この調査からは、気候変動を遠い話だけでなく、自分の将来に関わるものとして受け止める回答者がいることが分かります。一方、全年代を同じ条件で比較した調査ではないため、これだけで「若者は他の世代より環境意識が高い」とは判断できません。

数字を企画の根拠にする際は、「若者の意識が高いから環境を訴求する」という結論を急がず、どの環境問題を、どんな日常の出来事と結び付けているかを考えます。 集計対象や割合の分母は、Z世代の統計データの読み方に沿って確かめましょう。

環境への関心があっても、行動は生活条件に左右される

行動の背景にある条件を確かめる。選べるか:価格・場所・交通手段。参加できるか:時間・費用・申し込み。続けられるか:負担・習慣・周囲との役割
理由のランキングではなく、対話で確認する観点

同調査では、環境配慮型の商品の購入やボランティア活動が、環境問題の解決に効果的だと思うかも尋ねています。これは効果への認識であり、購入率や参加率を表す数字ではありません。出典:日本財団・第69回調査

「良い取り組みだと思うのに、選ばなかった」という経験を聞くときは、意識の低さと決めつけず、選べた条件を確かめます。以下は対話で確認するための整理であり、全国調査の理由ランキングではありません。

場面 確認したい条件 対話で聞く例
商品を選ぶ 価格、入手できる店、品質、説明の分かりやすさ 最後に迷った商品は何か。どこで選択が変わったか
移動する 距離、所要時間、交通手段 その方法以外に、現実的な選択肢はあったか
地域活動に参加する 日程、交通費、申し込み、同行者 興味を持った後、どの段階で参加を迷ったか
日常で続ける 習慣、家族との役割、負担 続けやすい日と難しい日は何が違うか

例えば、環境に配慮したい人でも、生活圏に選べる商品がなければ購入しにくくなります。企画側にできるのは、意欲を繰り返し尋ねることだけではありません。選択肢を見つけやすくする、体験の費用や時間を明確にするなど、具体的な条件を整えることです。

商品や価値の伝え方まで考える場合は、サステナブルマーケティングの記事も参考になります。 企業への共感と購入・参加の違いは、非財務的価値を若者との対話で確かめる記事で整理しています。

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現場で知り、考え直す環境の学びへ

フィールドワーク、ワークショップ、メンタリングを組み合わせ、知識の理解からアイデアの整理・発表までの流れを検討します。

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若者の環境意識を、経験と対話につなげた取り組み

身近な経験から、環境への問いへ。日常:自分との接点を考える。現場:地域の人・環境に触れる。対話:気づきを持ち寄る。提案:取り組みを具体化する
山口県・兵庫県の実施事例から整理した企画の視点

意識調査は全体像を把握する材料です。個々の関心がどんな経験につながるかは、実際に学び、現場を見て、話し合う機会から確かめられます。

山口県:日常と環境課題の接点から始める

山口県の環境プログラムで日常生活を書き出す参加者のワークシート
山口県・未来環境アクション学生プログラムDAY1の実際の活動写真。実施内容・写真の出典

山口県主催の「やまぐち未来環境アクション学生プログラム」では、Re-Generationが事務局とワークショップ設計を担っています。2026年8月2日のDAY1には、県内の高校生・大学生等が参加し、県・環境省・エシカルバンブー株式会社の三つの立場から環境課題を学びました。

その後のワークでは、起床から就寝までの行動を「衣・食・住」などの視点で書き出し、それぞれが環境に与える影響を整理。食品ロス、衣類の廃棄、交通など、本人が関心を持ったテーマを言葉にして共有しました。

ここで形にしたのは、生活の振り返りと、環境への影響・関心を整理したワークシートです。環境への関心がどの日常行動とつながるかを、本人の経験から考える機会をつくりました。

詳しい実施レポートを見る

この事例を企画に活かすなら、普段の食事や移動など、参加者が話せる経験から問いを組み立てることがポイントです。事後の行動変化を評価したい場合は、ワークシートでの気づきに加えて、一定期間後に何を実践したかも確認します。 身近な行動から地域へ関わる例は、若者のSDGsへの取り組みと参加方法をご覧ください。

兵庫県:現地での学びを提言までつなぐ

兵庫県の環境リーダー育成プログラムで付箋を使って話し合う参加者
兵庫県の環境プログラムで議論する参加者の実写真。実施内容・写真の出典

兵庫県主催の「ひょうごZ世代 里山・里海環境リーダー育成プログラム」では、Re-Generationが企画・運営を担当しました。2025年5月から約5か月間、里山・里海のフィールドワーク、ワークショップ、合間のメンタリングを組み合わせています。

参加者は現地の事業者から取り組みと課題を聞き、若者自身の問題意識と地域の課題を照らし合わせて提案を検討しました。最終的に15人が4チームに分かれ、9月27日の「ひょうご里山・里海国際フォーラム」で提言を発表しています。

最終発表の聞き手には行政・企業・研究者・地域の関係者が含まれます。学習した内容を誰に届けるかを先に定め、現地での気づきを外部への提言にまとめるところまで支えた事例です。

詳しい実施レポートを見る

関心を具体的な経験へつなげるには、現地で知る機会と、考えをまとめ直す時間の両方が必要です。この事例で確認できる成果は、継続的なプログラムの実施と提言の発表であり、環境負荷の削減量とは分けて捉えます。 若者が担える役割や意見への応答を考えるには、社会参加の機会づくりと参加条件が参考になります。

企業の取り組み:NTT東日本と、これからの行動を考える

NTT東日本との地域循環ミライ共創サミットで発表する参加者
NTT東日本との地域循環ミライ共創サミットの実際の活動写真。実施内容・写真の出典

2025年7月13日、Re-GenerationはNTT東日本と連携し、同社本社で「地域循環ミライ共創サミット」を開催しました。高校生から社会人までの参加者とメンターを含め、約20人が参加しています。

同社の地域循環型社会に関するレクチャーを受けた後、参加者は都市と地方の現在の関係、理想の関係を図に整理しました。さらに自分の活動と照らし合わせ、これから取り組む行動を考え、最後に一人ずつ発表しました。

企画に活かせる視点:環境への関心を尋ねるだけでなく、本人がすでに関わる活動と次の一歩を結び付ける設計です。企業の知見と若者の経験を持ち寄る場づくりの実績として参考になります。

詳しい実施レポートを見る

若者と取り組む前に、何を確かめればよいか

企画前にそろえたい五つのこと。対象・接点:誰の、どの生活場面か。問い・条件:何を考え、どう参加するか。振り返り:関心・実践・継続を分ける
意識の高さを前提にせず、参加できる道筋をつくる

企画の最初には、次の五つを整理すると、環境への関心を一方的に期待する計画から、実際の経験に合う取り組みへ進めます。

  1. 対象:高校生、大学生、就業者など、誰の暮らしを起点にするか。
  2. 接点:食、移動、買い物、地域の自然など、日常のどの場面と結び付くか。
  3. 問い:知識の確認か、経験の共有か、企画の提案か。
  4. 参加条件:時間、費用、移動、事前知識の負担はどうか。
  5. 振り返り:分かったこと、試したこと、継続していることをいつ確かめるか。

アンケートを行うなら、関心や満足度だけでなく、「何を試したか」「難しかった条件は何か」を分けて尋ねます。回答者の自己申告と、実際に観察した行動も区別して記録すると、次回の改善に使いやすくなります。 対象と質問の設計は、Z世代リサーチの進め方で扱っています。商品や情報の見直しに向けて若者の経験を聞く場合は、若者インタビュー・定性調査の支援もご確認ください。

若者の環境意識を活かすには、意識の高さを前提にするより、本人の暮らしから参加できる道筋をつくることが大切です。 Re-Generationでは、高校生・大学生等と企業・自治体をつなぎ、学び、対話、アイデアづくりを組み合わせたプログラムを企画・運営しています。

若者と環境をテーマに取り組みたい方へ

企画の目的と、学びの成果を整理する

対象者・テーマ・実施期間を確認し、若者が何を学び、何を考えられる企画かを具体化。実施後の振り返りまで含めて支援します。

  • 対象とテーマを定める
  • 実施の流れを具体化する
  • 学びの振り返りを設計する

支援の対象・進め方・実践事例は、サービスページでご確認いただけます。

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